厚労科研費の「生物資源・創薬モデル動物研究推進事業」―。
何となく気になる文字が入ってますが^^;、先日行ってきた「医学・創薬研究を支えるヒトと昆虫の生物資源」というセミナーは、ここからお金が出ているのに、従来の実験動物の話ではなくて、一味違っていたように思います。
そもそも、ヒト由来の組織や細胞についての話と、実験動物としてのカイコについての話を一つのセミナーで扱うなんて、「話がバラバラやん?」と思えなくもないですが、この両極端にも見える2つの方向性って、もしかして「実験動物をなるべく使わないとしたら、どういう方向がありうる?」っていう話なんじゃないか???という気がして、行ってみたわけなのでした。
で、そうはっきり言われていたわけでもないような気もするのですが、でも、人間の患者さんから実際に手術のときに切り取った組織などから研究のために試料を保存しておこうという「バイオバンク」の話をした人は、レジュメにこう書いていました。
「ヒトを生物として研究できる基礎的な技術と知識が充実した現在、動物愛護のために実験動物でではなく、ヒトで研究せよということすらある」
そして、カイコでまずスクリーニングすれば、研究にかかる費用もマウスの数も抑えることができるとした人は、動物実験の3Rにもかなうことを堂々と発表していました。(おぉ!)
日ごろこんなブログをやっているワタシは、「科学的にヒトの病気に迫ろうとするとバイオバンクの方向に話が行くだろうし、実験動物を使うことの倫理面を考えると昆虫の利用に行くんだろうな」と勝手に解釈させていただいたり…するのでした。
バイオバンクは、ヒトからとった試料を研究利用するということで、倫理面などの問題があることはそれは確かだと思うのですが、でも、これをしないで人間の病気に迫れるのか?とすら、やはり私は思います。
実際の保管場所の写真では、イギリスは「施設」という感じでしたが、日本だと「部屋の片隅」程度で、あまりの差にびっくりしました。社会が医学研究に求めるところのニーズが違うからなのかな・・・なんて、これまた勝手に想像してしまうのでありました。
それから、カイコのモデルを使って研究しているけれども、長年病理医として働いていた方のお話は興味深かったです。
まず、マウスに移植して得られた株化培養細胞と、実際のヒトの臨床組織は、一目見て違いがわかるほど全然違っているという話。移植されたものは、生き残った細胞だけが増えるためか、非常に単調だけれども、実際のヒトの組織はとても複雑な構造を持っているそうです。マウスで増やしても、臨床の状況は失われてしまっている。これは一つ興味深い話でした。
もう一つは、ジーンチップテクノロジーにも限界あるという話で、これも、複雑な構造を持つ組織で試すのと、チップでの解析とでは結果が合わないことがあるという話で、そこからカイコを使う話につながっていったのですが、でもこうもおっしゃっていたんですよ。
「vitroで効く薬がマウスでは効かない。マウスで効いた薬は腐るほどあるけど、ヒトでは効かない。」
この根本的な問題をどう解決しようとするのがよいのでしょうねぇ。
ちなみに、マウスよりカイコの結果のほうがヒトに近い場合もあるそうで? 意外でした・・・。
関係ないですが、やっぱカイコも注射とかされてるところは、ちょっち・・・。むぎゅー;;と思ってしまいました。
カイコは、マウスと違って「おとなしい」って言われてたのは印象的です★
(なんだか急にカイコが可愛く思えてくるではないですか~、その言い方^^;)