何やら、がっかりするニュースが入ってきました。
EUのクローン動物規制先送りへ 加盟国との交渉決裂
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9381959FE1E2E2E7EA8DE2E6E2E6E0E2E3E39790E0E2E2E2
2011/4/4
クローン技術で生まれた牛や豚などの動物の生産・流通に関する規制について、欧州連合(EU)が導入を先送りする。2008年から続けてきたEU加盟27カ国政府と、欧州議会による交渉が決裂したため。クローン動物の子孫から生産した食品の米国などからの輸入は今後も認められ、消費者団体などから反発の声も出そうだ。
がっかりですね。この記事によると、「EUでクローン動物の商業目的の利用を全面禁止しているのはデンマークだけ」だそうです。
クローン家畜というと、どうも「食べても安全か」という、ヒトにとっての安全性の話に矮小化されがちですが、動物福祉の面から言えば、死産や、病気、出産直後の死亡なども多いし、非常に問題ある技術だと思います。
欧州食品安全機関(EFSA)の「動物クローニングに関するFAQ(仮訳)」という資料にも、
クローン動物の有意な割合で、主に牛の若齢期や豚の周産期において、動物の健康及び福祉に悪影響がみられており、しばしば重度で致命的な結果となっていた。
と書かれています。
安全性は、無事成長することができた健康と思われる家畜に関して、「従来の繁殖方法による動物に由来するものと差異があることは示唆されない」とされているに過ぎません。
これまでの経緯についてなどは、下記の記事も参考になります。食品の安全性のみに注目すると、あくまでも「ヒトの健康の保護という観点で」しか語られないことになってしまうこともわかります。
欧州委、EU域内における食料生産目的でのクローン動物作出の暫定的な停止を提案
http://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_000254.html
2010年10月27日
家畜の福祉について意識の高いEUですら、規制先送りになるなんて、とても残念です。