1975年の国会会議録より

大出分科員大出俊安倍国務大臣は当時農林大臣であった安倍晋太郎。

※このときすでに、旧「動物の保護及び管理に関する法律」はすでに成立しています。旧法条文でも動物実験についてすでに「規制があった」という解釈が研究者側からなされることがありますが、それが嘘であることがわかります。大臣が「特段に法律的には規制はございません」と答弁してるんですから~! 旧十一条は、規制じゃないってことです。

 

第075回国会 衆議院予算委員会第四分科会 第4号 昭和50年2月27日

(前略)

○大出分科員 ただいまの農林省の予算に係る問題で質問をいたしたいのでありますが、その前に、文部省の方、厚生省の方がお見えになっておりますから、大臣にまずもって承りたいのでありますが、動物実験というのがございます。科学的な実験あるいは医療的な実験、獣医師さんがおやりになる獣医医療という意味の実験、たくさんございますが、この実験動物の取り扱いにつきまして何か法律上の規制がございますか。実は昨日厚生大臣に質問いたしましたら、総括的には厚生省の所管になるだろう。だが、たとえば獣医師さんが獣医医療という面で実験をする、それは大臣の方だ、あるいはまた国立の病院というようなことになると文部省だ、こういうお話であります。したがって承っておきたいのですが、そういうものでございますか。

○安倍国務大臣 いまのお話でございますが、特段に法律的には規制はございません。

○大出分科員 何にもないのですね。何にもないんだが、それではいけないんじゃないか。

 ところが、欧州各国の例を見ますと非常に細かい規制がありまして、たとえば馬、牛、あるいは犬、ネコ、サルというふうな、人間と非常に近い関係にある動物の科学上の実験、この場合はできるだけ近い動物を使ってはならない。代替し得ない実験の場合、やむを得ないという場合にのみ許可を得て実験をする。しかもそれは的確に報告をしなければならぬ義務を法律上課している。年間四百万頭以上の実験を英国などは、一九六四年ぐらいから調べてみましたらやっております。しかも、それでもその法律が有名無実になってはいかぬというので、英国内務省の中に、それを監視し、調査をし、そして議会に報告をする委員会がプロフェッサーを議長にしてできておりました。逐一報告をしている。ここまで細かいのであります。

 何にもないということで果たして済むか。大臣、どうお思いになりますか。

○安倍国務大臣 やはり動物愛護的な観点から覚まして、そういう問題につきましては考える必要があるのじゃないかと思います。

○大出分科員 きのう厚生省の局長さんが、「諸外国はそうかもしらぬが、わが国はどうもそういう国情にない」こうお答えになりましたから、「それは法律違反になりはせぬですか」と言ったら目を白黒させておりまして、後であわてて言い直しましたがね。いま大臣が言ったようにちょっと変えた。田中正巳さんに、「大臣、どうお考えですか」と言ったら、「いや不勉強でございまして、的確な、責任ある答弁ができないから時間をかしてくれ」というお話だから、「よろしゅうございます」としたのですが、これは私が自分で立案をしてお通しをいただいた法律で申しわけないのでありますが、動物の保護及び管理に関する法律の第十一条に「動物の科学上の利用に供する場合の方法及び事後措置」についてというのがございまして、ここで、試験研究あるいは薬剤の製剤ですね、これは獣医学的な製剤を含みます、そのために動物を利用する場合、「必要な限度において、」という表現をいたしております。これは英国的な意思を入れて、必要な限度において許される。そして「できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない。」これも欧州的な法律の感覚で物を言っておるわけであります。それから「利用に供された後において回復の見込みのない状態に陥っている場合」にはどうするか。それから科学上の利用に供した者の責任、いかに苦痛を与えないかという、そういう動物の処分、これは義務づけているわけでありまして、これは法律上の義務でありまして、私の立案ではありますが、いまは通りましてこの国の法律でありますから、この国の実情で、外国とは違うのでそういうことはできないというようなことをあっさり言われますと、そうすると、この法律はいま現行法ですから……。ただ、私が立案したものですから言いにくいのでありますが、大臣が、動物保護という面で考えなければならぬというお話でございますので、多く申し上げませんけれども、私はやはりここまでまいりますと、この十一条という法律の一番最後に「内閣総理大臣は、関係行政機関の長と協議して、」つまり大臣とも協議する必要があるのであります。「第一項の方法及び前項の措置に関しよるべき基準」を定めなければならない。やがてよるべき基準をお出しいただかなければならぬようになっておるわけでありまして、したがいまして、最近特にいろいろな問題が起こっておりますので、このあたりは一遍御研究を願いたいのですが、いかがでございますか。

○安倍国務大臣 この法律は御存じのように総理府の所管でございますので、総理府総務長官等とも相談をいたさなければならないと思います。

○大出分科員 いま私が質問いたしましたのは、実はこの獣医学的な立場と非常に関係深いのでありまして、英国法もドイツ法もそうでありますけれども、獣医学的な訓練なり教育なりというものを持たずして動物実験というものをやることは非常に危険である。つまり、動物の生命にかかわるわけでありますから、また苦痛という問題と絡むわけでありますから、虐待という問題と絡むわけでありますから、したがって、欧州は日本に対して、大学病院その他が実験動物をそのままほうり投げてえさも与えない、野蛮な国だというので大変キャンペーンを張ったりした時代もあるわけでありまして、日本に小動物の輸出はしない、禁ずべきであるなどと言う。畜産動物でも輸出すべきではないと言う。欧州各国は、畜産動物の輸送その他についても、水をいつ飲まさなければいかぬとか、細かい規定があるわけでありまして、したがって、ここらは獣医学的な面と非常に関係する。昭和二十四年にできた日本の獣医師法という法律がありますけれども、これはカビが生えておりまして、いまの世の中に適合しない。畜産食品の人体に与える悪影響はたくさんございます。たとえばブロイラーなどをつくるときに抗生物質を乱用いたしますけれども、ブロイラーというのはいまどのくらい年間消費しているか、おわかりになりますか。

○澤邊政府委員 約六十万トンの消費があると推定しております。

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