昭和56年 感染症による飼育員死亡
94-衆-文教委員会-3号 昭和56年02月27日
○山原委員 私学の問題についてはそれでおきまして、少し細かい問題について幾つかお伺いをいたしたいと思います。
一つは、先日、札幌医大の附属病院におきまして、東本貢さん、これはこの医大の中央実験動物室飼育員でございますが、いわゆる韓国型出血熱で亡くなっておられます。高熱と肝臓、腎臓障害で亡くなっておられるわけですが、この現状、五十年ごろより東北大学あるいは和歌山、神戸その他において出ておりまして、しかも、この病気というのは、御承知のように、非常に強烈な病原の一つになっておるわけでございますが、簡単にこの実態とそれに対する対策を報告していただきます。
○松浦(泰)政府委員 先生御指摘のとおり、最近、札幌医大におきまして、韓国型流行性出血熱にかかられまして、その方が先日お亡くなりになられまして、大変残念に思っております。
これにつきましては、戦後、大阪市の方で相当数の患者が発生しまして、その対策が講じられたことがあるのでございますが、大学関係の実験動物施設におきまして、そういう患者が出ましたのは昭和五十年ころからでございます。
その状況につきましては、五十年から五十三年までの間にそういう症状が出まして、検査の結果、陽性というふうに判明した方が四十九人、五十四年度におきまして七人、五十五年度におきまして七人、合計五十年以降六十三人の患者が発生いたしております。
そこで、これにつきましては、従来、その実態が必ずしも正確に学問的にも解明されていなかったのでございますが、文部省にあります科学研究費補助金によりまして、その関係の学者約二十人余りの研究班を設定いたしまして、解明をしていただいておるわけでございます。
その五十四年度の科学研究費補助金によりまして出ました結果につきましては、その研究班から注意事項等を各関係の大学等にお送りしますとともに、また私ども、そういう関係の国立大学等の動物実験施設施設長会議を招集しまして、その結果を伝え、また別途五十四年四月二十五日付をもちまして、学術国際局長名をもちまして「動物実験における人獣共通感染症感染事故の防止について」という通知を各国公私立大学長、関連機関にいたしております。
ただ、五十四年度の研究結果におきましては、なお十分な解明ができなかった点がございますので、五十四年、五十五年の二カ年計画によりまして、科学研究費を約二千万円これに投入しまして、同様の研究班をつくり、研究を進めていただいておるところでございます。
現在、まだ研究成果は正式には報告を得ておりませんが、先生御指摘のような事態もございますので、二月五日、中間的な結果を、その研究班の方から日本実験動物学会において発表していただいております。
なお私ども、その結果を踏まえまして、今後とも、さらにその辺の指導を徹底してまいりたいと思っております。
ただ、この病気は人から人には感染しないのでございますが、いま御指摘のような実験用のネズミ、ラットのようなものから感染する。そして特に注意すべき事項は、その動物等からの排せつ物等が人体に入りますとそれにかかるというような病気でございますので、ともかく清潔にしまして、あるいは消毒を徹底しまして、そういうものが人体に入らないようにするということが、現在のところ一番大切な事項のように聞いております。そういうところから、公立大学等におきましては、そういう実験動物施設の改築等も順次進めておるような段階でございます。
○山原委員 お聞きしますと、最も危険な危険群と呼ばれているものでございまして、感染の経路その他の研究、同時に、もちろんこれは公務災害になると思うのですが、そういった点についての十分な配慮、しかも多発とまでは申しませんけれども、六十数名ということになりますと、これは大変な数字でございまして、そういう意味での対策を十分に立てていただきたいと要請をいたしたいと思います。
(以下略)