動物を保護すれば、そのケアや新しい飼い主探しに追われるように時間が過ぎます。遺棄であることが明らかな場合については、警察はすみやかに告発を受理し、国民に余計な労力や心労をかけさせるべきではないと思います。

警察の反応がにぶいのは、遺棄が当然のようになっている地域だから取り締まれないという意識があってのことなのかもしれませんが、そのような地域こそむしろ、遺棄が犯罪であることを警察が積極的に示さなければならない地域なのではないでしょうか。

この警察の怠慢が、結果として犯罪を助長し、不幸な動物を数多く生んできたとも言えます。

現実には、敷地内に動物を捨てられて困った人など、遺棄によって迷惑を被ったと感じた人も数多くいたはずで、迷惑防止の観点からも取り組まれなかったことは誠に不思議です。

今回、警察への働きかけに時間も労力もとれなかったことが非常に悔やまれますが、子犬たちを保護した直後、偶然環境省へ申し入れに行く方々が身近におり、下記の要望書を託す機会を得ました。

法律がないも同然の運用であった旧・動物保護法時代からの負の遺産ではあると思いますが、遺棄の取り締まりについても、そろそろ国として対策をとってほしいと思い、焦りの見える文面ではありますが、転載いたします。


2008年2月26日

環境省自然環境局総務課
動物愛護管理室 御中

動物の遺棄に対する警察の対応について

2月17日、埼玉県比企郡■■■に行った際、へその緒のついた子犬7匹が入った段ボール箱を見つけ、現在新しい飼い主探しを行っている者です。段ボールの中には、保温のためかボア裏地のベストが入れられており、生まれたての子犬をあきらかに誰かが意図的に遺棄したのは間違いない状況でした。(別紙参照)

「動物の愛護及び管理に関する法律」第四十四条3項に「愛護動物を遺棄した者は、五十万円以下の罰金に処する」とあり、環境省、地方自治体等が飼育動物の遺棄は犯罪である旨普及啓発も行っているところかと存じますが、現地を所管する埼玉県警小川警察署生活安全課へ通報したところ、「捜査できない」ことを理由に、刑事告発の受理を断られました。

動物虐待も同様かと思いますが、現場で警察が対応しなければ、社会的には法律の罰則はないも同じだと思います。

今回実際に遺棄された子犬を保護して感じるのは、いったいどれだけの人が新しい飼育家庭を探そうと考えるかということです。このような遺棄がなくならなければ、行政施設での殺処分を今後10年で半減させるという環境省動物愛護管理基本指針の目標の実現は難しいと感じます。

そして、遺棄の抑止のために、法律の罰則に実効性を持たせる必要があると考えます。ぜひ動物の遺棄に関して、環境省から警察庁へ、全国的に犯罪としての告発を受理するよう要請して頂くことはできないでしょうか。たとえ遺棄した人がみつからなくても、警察が事件として扱うだけで、今後の抑止力になると考えます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

※別紙省略