国会議事録検索をしていて下記のような記述を見つけました。今国会衆議院予算委員会第二分科会(平成18年03月01日)で阿部知子さんの発言です。


 私は実は小児科の医者で、特に臨床疫学ということを勉強するために、公務員として、国のお金で、一九九三年から四年にかけてアメリカに留学し、疫学調査、例えば子供のがんが発症したとき、何が他の子と違うのかなどの研究をやってまいりました。アメリカのミネソタというところにあるメイヨークリニックというところにいたのですが、そのときそこで問題になっていたのは、携帯電話を当てる耳の側に脳腫瘍が多くできるのではないかという疫学調査をやっておりました。


 日本は、残念なことに、動物実験とかは一生懸命やるのですけれども、患者さんがある地域に発生して、病気になった人とならなかった人を比較調査する、これを疫学調査というのですが、これはまだまだ、なかなか日本の我が国に定着しておりません。ちなみに水俣病、あれだけ騒がれた水俣病でも、水俣エリア全体の方々の生活様式と水俣病になったかならなかったかの調査は、残念ながら、まだないのです。一方で、動物実験をやって、これだけ水銀を暴露した、そしてこういう症状は出なかったということで多くの患者さんを切り捨てたのですが、ところが、その認定方式に問題があったということも出ているように、動物に起こることと人間に起こることは違ってまいります。


 日本で疫学研究の重要性があまり認知されていないのは非常に残念です。そういえば、水俣病の実験では、400匹目の猫でやっと再現ができたと聞いたことがあります。「猫も水俣病を発症した」と一言で言っても、実は真実は「400分の1」という危ういところにあるわけですね・・・。


 ほんとうは「科学論争」などをやっているひまはなかったし、疫学的知見で事態の対応に当たるべきだったと思います。