昨日、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」主催のクローン家畜食品反対集会に行ってきました。バイオハザード防止の運動で知られている科学者の方がまず講演し、ここまではっきり体細胞クローン技術に異論を唱えているとは知らなかったので、大変心強く思いました(サルの実験に関わっていたとはいえ、科学者側からの意見なので)。キャンペーン代表からの、厚生労働省と畜産草地研究所がそれぞれ出している報告書についてのお話なども面白かったです。
クローン家畜については、現時点で非常にコストがかかるため、直接食肉にするのであれば到底採算が取れるわけがなく、どうしてこのような技術が国策として進められていこうとしているのかわからない……という疑問をみな共有しているように感じました。
ひとつ採算がとれる分野があるとしたら、非常に優秀な種牛のクローンをつくることくらいではないかとのことでしたが、その種牛の精子はじゃあぜーんぶ同じなのか?という質問には、なるほど~と思いました。仮に遺伝子が同じでも、育った環境などで結果は違ってくるわけだし…(その前にかける雌牛は違うわけだし?)
クローンでわざわざ畜産する意味って何だろう?
おそらく単純に、「そういう技術を研究してみたい」という欲望のようなものに税金が払われているのではないかと思うわけですが……
厚生労働省・熊谷リポートの結論部分に、クローンが「人類の長年の夢」と書かれているという話も、なかなか衝撃的でした。「それは科学者の夢でしかないだろう」という指摘に大きくうなずくとともに、いったいどうして同じ社会に生きていてそこまで価値観を異にしてしまうのだろうと不思議に感じるのでした。学校を卒業して大学へ進学して、さらに大学院…という道のりの中で、とても狭いコミュニティが持っている価値観を、まるで全世界共通の価値観のように感じるようになってしまうのでは…?と思わざるを得ませんでした。
どうやったら阻止できるのか、という質問にはとても切実なものを感じたのですが、でも、これからこうしていこう!という盛り上がりまではなかったかもしれません。
「なんでこんなものが出てくるのかさっぱり理解できない」ということは、裏を返すと「こんなものにもわざわざ反対運動しないといけないのか、まいったな」ということでもあるのかな…なんて思ったり。
遺伝子組み換え作物であれば、モンサントのような収奪企業の姿も見え、ターゲットがあるので運動も盛り上がるのかもしれませんが、クローン家畜は一体どこの誰が儲かる仕組みになっているのかわからず、「敵」(失礼)の姿が見えにくいんだと思います。
もともとは遺伝子組み換え動物由来の医薬品を大量生産させるためにクローン技術が求められたという話も出てきて、あ、そうだそうだ、そうだった、とか思うのですが、もし医薬品だったら、この会場に来ている人たちすべてが反対してくれるのかどうかは心もとないな……とも思います。
やっぱり牛肉を食べている人たちの問題意識なんだろうな……みたいな。先日国がひらいた説明会で、ある生協の人が「牛肉のイメージダウンにつながるのではないか」と言っていましたが、やはりこの機に乗じて、牛肉を食べること自体が問題視されるようになればいいなと思います。