バイオリソース整備戦略作業部会の第10回を傍聴してきました。「今後のバイオリソース整備のあり方について(案)」というとりまとめの案が出てきていて、その内容について検討していました。
要するに文科省が予算獲得したいから、そのための会議かな~という印象ですが、もう最終回だったのか、はっきり聞こえなかったけどなんだかそんな感じでした。
あり方案は、まだ「まとめ」の部分を主査の先生がこれから書くとのことでしたが、パブリックコメント等はとくにないそうです。
動物福祉の話なんて、入ってたりするのかなぁ…と少し期待、半ばあきらめ気味モードで行ったのですが、何だか…全く逆の心配をしなければならないレベルでした orz
「戦略部会報告書に盛り込むべき内容の骨子(案)」という資料にこんなことが書いてあったんです( ̄Д ̄;
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「~盛り込むべき内容の骨子(案)」というタイトルですが、これは委員から「盛り込むべき」と出た意見を掲載しているだけであって、文部科学省が「盛り込むべき」と考えているわけではないそうなんですが、なんだかまぎらわしいタイトルじゃありませんか?
ちなみに、「これまでの部会における委員からの意見」では、こう書いてあります。
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日本のこの遅遅として進まない現状で何が危険になるんだろ??と思いますが、それよりさらに勘ぐってしまうのが、委員の意見では「動物愛護が~」となっているのに、文科省がピックアップして作った「盛り込むべき内容の骨子(案)」の方は、「動愛法が~」となっていることですね。
何だかニュアンス違うじゃーんと思って議事録を見てみると、こんな感じ。
【田中調整官】(中略) また、その他、このリソース事業をめぐります、現在の一つ大きな社会的な状況の変化といたしまして、幾つかの点が、動物愛護法との関係について言及をしていただいたものがあります。
 これはショウジョウバエ、カイコ、メダカのほうが直接書かれていたのですが、現在、ご案内のとおり、哺乳類のリソースが、いわゆる3Rの観点から非常に使いにくくなっている。また、環境省においても現在規制強化の方向で議論が進んでいるといった状況を踏まえて、哺乳類に実験をする前のスクリーニングとして、今申し上げましたショウジョウバエ、カイコ、メダカといったものの需要が現在非常に高まりつつあるといったことが、状況の変化としてご報告をされたところです。

 こういった点も含めて、マルチリソースの研究者についてどう対応していくのかといったところについて、やはり幾つかのところが言及をされておりまして、そういった動物愛護の観点だけではなく、研究費の観点からも、なかなか高いリソースにいきなり行くのは大変なので、こういった非常にnナンバーが稼げる安いリソースということで、ショウジョウバエ、メダカ、シロイヌナズナといったところを、逆にそういった高いリソースを使う前のスクリーニングに、nナンバーを増やすのに使うような事例が最近増えていて、さっき言ったところが、やはり一から自分のところでリソースをつくり直すよりは、このナショナルバイオリソース事業のほうから簡単に質の高いリソースが手に入るといったところで需要が伸びてきている実態があるといったことのご報告をいただきました。

(中略)

【勝木委員】(中略) 例えば動物愛護の観点から云々とおっしゃったけれども、これはものすごく広くとらえられてしまいますから。今、環境省がやっているのを見ても、これは大変危険な状況にある。むしろ反科学かもしれないと私は思うぐらいで、学問の観点から批判する必要がある。数がどうとか経済的なことがどうとかいう書き方をすると、大変誤解を招きます。
どっちかというと、「動愛法が~」というまとめ方の方が正しかったですねヽ(´・`)ノ でもたったこの一言でも「盛り込むべき内容」として入ってしまうんだからすごいですよ。
それにしても、もしそれが反科学だったら、今動愛法改正で議論しようとていることよりもっと細かいレベルのことを法律でやっているEUやアメリカの方が科学が進んでるのは説明がつかないですね。
たった一行だけど、何となく環境省の苦労がしのばれるのでありました;;
これまでの作業部会の経過はこちらだそうです。
バイオリソース整備戦略作業部会
http://www.lifescience.mext.go.jp/council/committee002.html
関係ないけど、第8回ではニホンザルのNBRPについての資料が配布されたようです。
各リソースからのヒアリング回答資料 
ニホンザル

クリックしてn774_09.pdfにアクセス

各リソースからのバイオリソース整備戦略に係るヒアリング調査の概要(取りまとめ様式)回答資料
ニホンザル

クリックしてn774_40.pdfにアクセス