東日本大震災から2カ月が経ちました。震災直後の問い合わせは控えていましたが、そろそろ実験動物の被災状況についても把握がなされているかどうか被災地の自治体に問い合わせてもよいのではないかと思い、電話にて確認してみました。
あくまで動物福祉の立場から被災状況が把握されているかどうかを知りたいので、動物愛護担当の部署に問い合わせを行いました。
岩手県 県民くらしの安全課食の安全安心担当
・県内の動物実験施設は把握していない。
・少なくとも、(津波の被害のあった)沿岸部に大きな動物実験施設があったとは把握していない。
宮城県 食と暮らしの安全推進課
・県内に動物実験施設があることは承知していない。(仙台市内にはあると思うが、仙台市へ問い合わせを)
・県内で被災した動物実験施設があるとは承知していない。
仙台市 動物管理センター
・動物実験施設は所管していないので把握していない。
・特定動物(実験用では特にサル)の飼養許可を出しているが、1年に1回の報告義務で数の増減等を把握しているのみで、立ち入りはできない。報告は3月末の予定だったが(震災で)遅れているので、現在問い合わせ中。
福島県 食品生活衛生課
・動物実験施設は把握していない。
・危険動物を利用する施設のみ把握しているが、警戒区域内にはそのような施設はない。
※福島県は原発警戒区域(いわゆる20キロ圏内)を中心に問い合わせました。
茨城県
・動物実験施設は把握していない。
・(研究施設はかなりあると思うが、逃げたりはしていないのか?の質問には)そういう話はない。

「把握していない」=「わからない」ということで、存在しないという意味ではないです。
何も法律がないので把握されていないのは当たり前のことで、自治体を責めることはできませんが、静岡県のように独自に施設の概要を把握している自治体もあります。条例で届け出を定めている自治体には兵庫県があります。
動物愛護法では、動物を適正に飼育することや、実験動物にできるかぎり苦痛を与えないことだけではなく、動物が人の生命や身体、財産に危害を及ぼすことがないように努めなければならないことも定められているわけですから、やはり非常時のために自治体が動物実験施設を把握するしくみは必須だと感じます。