食肉摂取で胃癌発症が増加(リンク切れ)

Medscape Medical Newsより。

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牛や豚など赤身肉の摂取が非噴門部胃癌を増加させており、特にヘリコバク
ターピロリ陽性例でその傾向が顕著であったとする欧州のコホート研究結果が報
告された

Laurie Barclay, MD
Medscape Medical News
Reviewed by Gary D. Vogin, MD

(以下、一部引用)

【2月28日】 牛や豚など赤身肉の摂取が非噴門部胃癌を増加させており、特に
ヘリコバクターピロリ(H. pylori)陽性例でその傾向が顕著であったとする欧
州の前向きコホート研究結果が『Journal of the National Cancer Institute』
3月1日号で報告された。

欧州の10カ国に住む年齢が35-70歳の521,457例の男女が、EPICコホートへの登録
時に、食事および生活習慣に関する情報を提供した。Cox比例ハザードモデルを
用いて、食肉摂取量と噴門部胃癌、非噴門部胃癌ならびに食道腺癌発症との関連
を評価した。また、コホート内症例対照研究によって、H. pylori抗体と食肉摂
取量との相互作用についても評価した。

平均6.5年間の追跡調査期間中に、胃癌330例、食道腺癌65例の診断がなされた。
非噴門部胃癌の発症リスクは、総食肉摂取量(1日摂取量100g増加あたりの補正
ハザード比[HR] 3.52;95%信頼区間[CI] 1.96-6.34)、赤身肉摂取量(50g増加
あたりHR 1.73;95% CI 1.03-2.88)、および加工肉摂取量(50g増加あたりHR
2.45;95% CI 1.43-4.21)と有意な関連があった。

※ 監修者注:本論文では食肉を赤身肉(牛、豚、羊肉など)、鳥肉(鶏、七面
鳥、家鴨など)、加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージ、ハンバーガー、肉団
子、パテなど)に分類して被験者に質問をし、それらの総和を総食肉摂取量とし
ている。

「総食肉摂取量、赤身肉摂取量および加工肉摂取量は、特にH. pylori抗体陽性
の被験者では非噴門部胃癌のリスク増加と関連していたが、噴門部胃癌でが関連
が認められなかった。欧州では胃癌、食道癌患者の5年相対生存率が低い(23%、
10%)ことを考えると、発癌リスクファクターの同定とコントロールがこれらの
腫瘍の発症を減らす最も有効な方法である」と著者らは述べた。

EPIC試験は、欧州委員会、Ligue contre le Cancer、Societe 3M、Mutuelle
Generale de l’Education Nationale、Institut National de la Sante et de
la Recherche Medicale (INSERM)、ドイツ癌エイド、ドイツ癌研究センター、
ドイツ連邦教育・研究省、デンマーク癌協会、スペイン保健省、スペインの参加
地域の政府および機関、英国癌研究所、英国医学研究審議会;英国脳卒中協会;
英国心臓財団;英国保健省;英国食品規格庁;ウェルカム・トラスト(英国);
ギリシア保健省;ギリシア教育省;イタリア癌研究協会;イタリア国立研究会
議;オランダ福利厚生スポーツ省;オランダ保健省;オランダ予防基金;LK研究
基金;Dutch ZON(Zorg Onderzoek Nederland);世界癌研究基金;スウェーデ
ン癌協会;スウェーデン科学評議会;スコーネ地域政府(スウェーデン);およ
びノルウェー癌協会より、資金提供を受けた。

J Natl Canc Inst. 2006;98:345-354

監修者注:本研究の主目的は肉食による胃・食道の腺癌の発症の増加の証明です
が、とくにその傾向は豚、牛などの「Red Meat」に強く、鶏肉では弱かったとい
う内容です。また、論文では食肉全体と加工肉によるリスク増加が大きく、鶏肉
では少なかったため、考察では「Red Meat」のヘモグロビン鉄が病態に関与して
いるのではないかという推論が述べられています。以上よりタイトルなど一部で
赤身肉とあるのを食肉に変更しております。