日本ではいま、医薬部外品・化粧品に関して、申請等の際、動物実験代替法がどこまで有効なデータとして認められているのでしょうか?

●使うことのできる動物実験以外の方法

JaCVAMが政府に提案した試験法を承認申請のときに使うことができます。進行状況はJaCVAMのホームページにアップされています。(2014年時点で動物実験以外の試験法が12。LLNAとTG405は、動物実験です)

●Q&Aとガイダンス

代替法の利用については、厚生労働省が以下のQ&Aおよびガイダンスを出しています。Q&Aは、政府の代替法利用に関する公式見解です。詳細はこちら
ガイダンスは、各試験法を利用を促すために、目安となる事項を通知しています。

PDF 事務連絡「眼刺激性試験代替法としての牛摘出角膜の混濁および透過性試験法(BCOP)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンス」について
平成26年2月4日

PDF 事務連絡「皮膚感作性試験代替法(LLNA:DA、LLNA:BrdU-ELISA)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて」
平成25年5月30日

PDF 事務連絡「皮膚感作性試験代替法及び光毒性試験代替法を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて」
平成24年4月26日

PDF 事務連絡「医薬部外品の承認申請資料作成等における動物実験代替法の利用とJaCVAMの活用促進について」
平成23年2月4日

●Q&Aに関する詳細

★1PDF 医薬部外品の製造販売承認申請及び化粧品基準改正要請に添付する資料に関する質疑応答集(Q&A)
平成18年7月19日

★2PDF 事務連絡「化粧品基準及び医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について」
平成26年6月13日

★3PDF 医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について(その1)
平成26年11月25日

平成18年7月、厚生労働省が下記のような質疑応答集を全国の自治体へ通知しました。医薬部外品・化粧品に関してどういった資料が必要なのかが明示され、代替法についても具体的な範囲が示されました。このQ&A(★1)が、現在どこまで動物実験代替法を利用できるかに関する政府の公式な見解となっています。一部は、平成26年6月のQ&A(★2)で補足がなされました。

また、平成26年11月に医薬品医療機器法(改正薬事法)が施行されたことにともない、上記Q&A(★1)のQ11、Q12、Q13、Q22、Q26及びQ37は廃止され、新たに「医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について(その1)」(★3)が出されました。

★1の全文を下記に掲載していますが、廃止された部分は取り消し線で消し、新しい★3のQ&Aへ飛ぶようにしてあります。

平成30年に新しいQ&Aが発出され、平成18年に出されたQ&A(★1)は廃止になりました。下記に内容を記録として掲載しておきます。


 ピンクは私が強調しました

○医薬部外品の製造販売承認申請及び化粧品基準改正要請に添付する資料に関する質疑応答集(Q&A)について

(平成18年7月19日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて
厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)


医薬部外品の製造販売承認申請及び化粧品基準改正要請に添付する資料に関する質疑応答集(Q&A)を別添のとおりとりまとめましたので、貴管下関係業者に対し周知願います。


(別添)

医薬部外品の製造販売承認申請及び化粧品基準改正要請に
添付する資料に関するQ&Aについて

1.医薬部外品の製造販売承認申請について
(1) 安全性に関する資料全般について Q123
(2) 安全性に関する資料に用いる試験の実施方法について
【単回投与毒性試験】 Q45
【反復投与毒性試験】 Q678
【生殖発生毒性試験】 Q9
【皮膚感作性試験】 Q10
【光毒性試験】 Q1112
【光感作性試験】 Q12
【遺伝毒性試験】 Q13
【皮膚一次刺激性試験】 Q1415
【連続皮膚刺激性試験】 Q1617
【眼刺激性試験】 Q1819
【ヒトパッチ試験】 Q20
【吸収・分布・代謝・排泄】 Q21
(3) 新添加物等の安全性に関する資料について Q222324
(4) 効能及び効果に関する資料について Q25262728
(5) 有効成分の配合量の変更に要する資料について Q2930
(6) 用法の変更に要する資料について Q31323334
(7) その他 Q353637

2.化粧品基準改正要請について Q38

—————————————–

1.医薬部外品の製造販売承認申請について

(1) 安全性に関する資料全般について

Q1:
どのような毒性試験法に従えばよいか。

A1:
原則、以下の通知やOECDガイドライン等の公的に確立された試験法に従って実施すること。
また、動物実験の実施に際しては、「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針について」(平成18年6月1日科発第0601001号)その他の動物実験等に関する法令等の規定を遵守すること。
・医薬品の製造(輸入)承認申請に必要な毒性試験のガイドラインについて(平成元年9月11日薬審1第24号。以下「医薬品毒性試験法ガイドライン」という。)
・医薬品の遺伝毒性試験に関するガイドラインについて(平成11年11月1日医薬審第1604号。以下「遺伝毒性試験ガイドライン」という。)
・医薬品のがん原性試験に関するガイドラインについて(平成11年11月1日医薬審第1607号)
 

Q2:
動物実験代替試験法による試験成績を申請資料として用いることは可能か。

A2:
OECD等により採用された代替試験法あるいは適切なバリデーションでそれらと同等と評価された方法に従った試験成績であれば差し支えない。
なお、動物実験を実施する場合であっても、被験物質の物理的化学的性質、類似化学物質の情報又はin
vitro試験の結果等から動物に強い苦痛を与えることが予想される場合には被験物質を希釈するなどして動物に与える苦痛を軽減するよう努めるべきである。
 

Q3:
添付が必要とされている安全性試験について、既に承認された品目から類推できる場合、あるいは関係文献等からみて医学薬学上公知と認められる場合等においては、添付を省略することは可能であるか。

A3:

科学的に妥当であると判断される場合、申請に係る医薬部外品の内容に応じ資料の添付を省略することができる。なお、資料の添付を省略する場合にはその理由を具体的に説明した資料の添付が必要である。

(2) 安全性に関する資料に用いる試験の実施方法について

Q4:【単回投与毒性試験】
単回投与毒性試験については、医薬品毒性試験法ガイドラインでげっ歯類及び非げっ歯類の2種以上が求められているが、医薬部外品の申請にあっても2種以上での試験が必要であるか。

A4:
医薬部外品の申請にあっては、必ずしも2種以上必要とはせず、通常、げっ歯類を用いた試験で差し支えない。なお、2種以上の動物で試験を行った場合はすべて提出すること。
以下のような試験条件が参考となる。



試験動物 雄性及び雌性のラット又はマウス。
動物数 1群5匹以上。
投与経路 原則、強制経口投与(投与前一定時間絶食)。
用量段階 急性の毒性徴候を把握できる適切な用量段階を設定する。(ただし、2,000mg/kg以上の1用量での試験で被験物質と関連した死亡を生じなければ、用量段階を設ける必要はない。)
投与回数 1回
観察 ・毒性徴候の種類、程度、発現、推移及び可逆性、用量と時間の関連で観察、記録する。
・観察期間は通常14日とする。ただし、この間に毒性徴候を示し消退しない場合については、さらに観察期間を延長する必要がある。
・観察期間中の死亡例、及び観察期間終了時の生存例は全部剖検する。
・器官、組織については必要に応じて病理組織学的検査を行う。
・毒性徴候及び死亡(遅延死亡を含む)については、可能な限り原因の考察を行う。

経口投与における概略の致死量が2000mg/kg以下の場合、製剤についても実施すること。ただし、配合量等から考慮して安全と推定される場合には省略できる。

Q5:【単回投与毒性試験】
致死量について、概略の致死量ではなくLD50を示すことでよいか。

A5:
致死量については、概略の致死量で示すこと。
OECDの取扱いに従い、2002年12月17日以降に実施されLD50で評価された試験成績は受け入れられない。なお、それ以前に実施されLD50で評価された試験成績を資料として用いる場合、資料概要に2002年12月以前に得られたデータであることを明記し、また概略の致死量(最小致死量)についても記載すること。

Q6:【反復投与毒性試験】
反復投与毒性試験については、医薬品毒性試験法ガイドラインでげっ歯類及び非げっ歯類の2種以上が求められているが、医薬部外品の申請にあっても2種以上での試験が必要であるか。

A6:
医薬部外品の申請にあっては、必ずしも2種以上必要とはせず、通常、げっ歯類を用いた試験で差し支えない。なお、2種以上の動物で試験を行った場合はすべて提出すること。

Q7:【反復投与毒性試験】
反復投与毒性試験は、どのような投与期間、投与経路とすることが適当であるか。

A7:
投与経路は、実使用時の適用経路に準じ選択することが望ましい。なお、皮膚への適用であるが経皮投与が困難な場合においては、経口でも差し支えない。
投与期間は3カ月以上とすること。

Q8:【反復投与毒性試験】
反復投与毒性試験において慢性毒性を示すと推定された場合、どのような試験の追加が必要であるか。

A8:
明らかに慢性毒性を示すと推定されたものについては、12カ月以上の反復投与毒性試験/がん原性組合せ試験を必要とすることがある。

Q9:【生殖発生毒性試験】
生殖発生毒性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

A9:
基本的には医薬品と同様に三試験計画法(SegⅠ~Ⅲ)が望ましいが、単一試験計画法及び二試験計画法の結果に基づき安全性の確証が得られれば、何れかの方法でも差し支えない。

Q10:【皮膚感作性試験】
皮膚感作性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

A10:
In vivo試験法としては医薬品毒性試験法ガイドラインが参考となる。
また、代替試験法としてLLNA法(OECD
Test Guideline 429)がある。

Q11:【光毒性試験】
光毒性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

Q11は廃止⇒新Q&Aへ


A11:
In vivo試験法としては以下のような試験条件が参考となる。
また、代替試験法として3T3―NRU法(OECD Test Guideline 432)がある。

1.試験方法
代表的な方法として次のような方法があげられる。
ア.Morikawa法
イ.Ison法
ウ.Ljunggren法
エ.Sams法
オ.Stott法

2.試験実施要項
上述の試験方法のうちから適切と判断される方法を用いることができる。

試験動物各試験の定めるところによる。
動物数原則、1群5匹以上。
試験群原則、被験物質光照射群、及び適切な対照群を設ける。
光源UV―A領域のランプ単独、あるいはUV―AとUV―B領域の各ランプを併用して用いる。

陽性対照としては、8―メトキシソラレン等の既知の光毒性物質を用いる。

3.試験結果の評価

動物の皮膚反応をそれぞれの試験法に即した判定基準に従って評価する。

Q12:【光感作性試験】及び【光毒性試験】
吸光度測定により紫外部に吸収がない場合には省略することは可能であるか。

Q12は廃止

A12:
紫外部吸収スペクトル(290~400nm)の範囲で吸収極大が認められない場合には省略できるが、280~450nmの範囲で吸収極大の有無を確認すること。この場合、紫外部吸収スペクトルのチャートの提出が必要である。

Q13:【遺伝毒性試験】
遺伝毒性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

Q13は廃止⇒新Q&Aへ


A13:
遺伝毒性試験ガイドラインのⅡに示された方法で行う必要がある。なお、より適した方法がある場合には異なる箇所について科学的根拠を説明すること。
医薬部外品の有効成分又は添加物については、原則、遺伝子突然変異(細菌を用いる復帰突然変異試験)及び染色体異常の有無の確認を目的としたほ乳類の培養細胞を用いるin vitro試験(ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験またはマウスリンフォーマTK試験)が必要である。また、これらの試験で遺伝毒性が疑われた場合、各々の目的に応じた動物の個体を用いるin vivo試験の提出が必要である。
申請品目の特性から考慮して、遺伝毒性試験を必要としないと判断される場合にはその根拠を明記した資料の提出が必要である。

Q14:【皮膚一次刺激性試験】
皮膚一次刺激性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

A14:
以下のような試験条件が参考となる。なお、皮膚一次刺激性試験を行う前に、物理的化学的性質、構造活性相関又はin vitro試験の結果等から強い刺激性が懸念される場合には適用濃度を薄める等の措置が必要である。
また、invitro試験を実施する場合は、皮膚腐食性試験法(OECD Test Guideline 430、431)が参考となる。

試験動物原則、若齢成熟白色ウサギ、又は若齢成熟白色モルモット。
動物数原則、1群3匹以上。
皮膚除毛正常皮膚。なお、損傷皮膚での用途を訴求する場合、損傷皮膚でも実施する。
投与面積及び用量皮膚一次刺激性を適切に評価し得る面積及び用量。(面積にもよるが、通常、開放の場合は流れ落ちない程度である0.03mL/2cm×2cm、閉塞貼付の場合は6cm2(約2.5cm×2.5cm)の部位に液体で0.5mL、固形又は半固形で0.5g程度とし、さらに投与面積に応じて投与量を増減する。)
投与濃度原則、皮膚一次刺激性を適切に評価するため、無刺激性を示す濃度が含まれるよう数段階設定する。
投与方法原則、24時間の開放又は閉塞貼付。
投与後の処置原則、無処置とするが、必要に応じて洗浄等の操作を行ってもよい。
観察原則、投与後24、48及び72時間に投与部位の肉眼的観察を行う。
試験結果の評価皮膚一次刺激性を適切に評価し得る採点法により判定する。

Q15:【皮膚一次刺激性試験】
皮膚一次刺激性試験の投与濃度について、適用濃度の設定は必要ないか。

A15:
その成分が有する皮膚一次刺激性について確認し、軽度の刺激性が観察される濃度及び観察されない濃度から、適用濃度での安全性が確認されれば、必ずしも適用濃度の設定は必要ない。
比較対照としてすでに医薬部外品又は化粧品に配合されている原料等を用い、相対評価が可能な濃度で試験を実施することにより、適用濃度の設定を必要とせず安全性を確認する方法もある。

Q16:【連続皮膚刺激性試験】
連続皮膚刺激性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

A16:
以下のような試験条件が参考となる。

試験動物原則、若齢成熟白色ウサギ、又は若齢成熟白色モルモット。
動物数原則、1群3匹以上。
皮膚除毛正常皮膚。
投与面積及び用量皮膚刺激性を適切に評価し得る面積及び用量。(面積にもよるが、通常、開放の場合は流れ落ちない程度である0.03mL/2cm×2cmとし、さらに投与面積に応じて投与量を増減する。)
投与濃度原則、連続皮膚刺激性を適切に評価するため、無刺激性を示す濃度が含まれるよう数段階設定する。
投与方法原則、開放塗布。
投与期間原則、1日1回、2週間反復投与(週5日以上を原則とする。)。
投与後の処置原則、無処置とするが、必要に応じて洗浄等の操作を行ってもよい。
観察原則、投与期間中の毎日投与前、及び最終投与24時間後に投与部位の肉眼的観察を行う。

Q17:【連続皮膚刺激性試験】
連続皮膚刺激性試験の投与濃度について、適用濃度の設定は必要ないか。

A17:
その成分が有する連続皮膚刺激性について確認し、軽度の刺激性が観察される濃度及び観察されない濃度から、適用濃度での安全性が確認されれば、必ずしも適用濃度の設定は必要ない。
比較対照としてすでに医薬部外品又は化粧品に配合されている原料等を用い、相対評価が可能な濃度で試験を実施することにより、適用濃度の設定を必要とせず安全性を確認する方法もある。

Q18:【眼刺激性試験】
眼刺激性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

A18:
以下のような試験条件が参考となる。なお、物理的化学的性質又は構造活性相関等から強い刺激性が懸念される場合には点眼後に洗眼を行う又は適用濃度を薄める等の措置が必要である。

試験動物原則、若齢成熟白色ウサギ。
動物数原則、1群3匹以上。
用量原則、0.1mL(液体)又は100mg(固体)。
投与方法・片方の眼の下眼瞼を眼球より穏やかに引き離し、結膜嚢内に投与し、上下眼瞼を約1秒間穏やかに合わせる。
・他方の眼は未処置のまま残し、無処置対照眼とする。
・眼刺激性を示す物質は点眼後に洗眼を行う。
観察・原則、1、24、48、72及び96時間後に眼の観察を行う。
・角膜、虹彩の刺激反応が認められた場合、その経過及び可逆性の有無について観察を続ける。

角膜、虹彩の刺激反応が認められた場合又は粘膜に使用されることがある製剤の場合で、眼に入る可能性のあるものについては、製剤でも試験を実施すること。なお、最大配合濃度で角膜、虹彩の刺激反応が認められないことを確認すれば、製剤についての試験は省略して差し支えない。
配合濃度又は製剤でこのような刺激反応が認められる場合、あるいは洗い流す用法の製剤で反応が認められる場合には使用時の濃度での評価、既存の医薬部外品又は化粧品との相対評価あるいは洗眼条件での試験を実施し、安全性を確認する方法もある。

Q19:【眼刺激性試験】
ポジティブリスト収載要領(平成13年3月29日医薬審発第325号の別添)の別表の注4に、「当該成分に角膜、虹彩の刺激反応が認められた場合又は粘膜に使用されることがある化粧品に配合する場合には、試験製剤についても実施すること。」と記載されているが、最大配合濃度で角膜、虹彩の刺激反応が認められないことを確認すれば、試験製剤についての試験は省略してよいか。

A19:
差し支えない。

Q20:【ヒトパッチ試験】
ヒトパッチ試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

A20:
以下のような試験条件が参考となる。

対象日本人40例以上。
投与濃度原則、原料においては使用時濃度を考慮して数段階で実施する。
陰性対照通常は溶媒対照又は生理食塩水が用いられる。蒸留水は浸透圧によって皮膚反応を生じる場合があるため、陰性対照として用いるのは好ましくない。
貼付部位原則、上背部(正中線の部分は除く)に閉塞貼付する。
観察・原則、貼付24時間後に貼付(パッチ絆)を除去し、除去による一過性の紅斑の消退を待って観察(通常1時間後、24時間後とするが、皮膚反応の発現状態によっては48時間以後も実施)、判定する。
・判定は本邦基準又はこれに準じた方法により実施する。なお、皮膚アレルギーの判定基準(ICDRG基準等)を用いる場合は、判定項目に弱い刺激反応を追加して判定するとよい。
試験結果の評価皮膚科専門医が紅斑、浮腫等の程度を判定し、評価する。

物理的化学的性質又は非臨床試験の結果等より、物質の安全性を考慮し適切な試験条件を設定すること。なお、試験条件の設定及び評価は、皮膚科専門医の指導のもとに行うこと。

Q21:【吸収・分布・代謝・排泄】
吸収・分布・代謝・排泄は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

A21:
実使用時の適用経路が経皮のものについては、原則、経皮吸収についての資料が必要である。

経皮吸収が認められる場合及び安全係数があまり大きくない場合等については、それに加え必要に応じて分布・代謝・排泄についての資料が必要となる。また、蓄積性が認められるものについては、毒性が遅れて発現する場合があるため、特定の組織や器官への蓄積性について確認した資料が必要である。

(3) 新添加物等の安全性に関する資料について

Q22:
新添加物(皮膚への用法の場合)を配合する場合の安全性試験には、どのようなものが必要であるか。

Q22は廃止⇒新Q&Aへ

A22:
薬事法施行規則第40条第1項第3号イ、ロ、ハのほか、次の安全性資料が必要である。
当該新添加物が防腐剤又は紫外線吸収剤の場合、この他、反復投与毒性、生殖発生毒性、吸収・分布・代謝・排泄に関する資料が必要である。また、それ以外の新添加物についても、毒性についてより慎重に扱う必要があるものについては、反復投与毒性等の資料が必要である。


試験項目添加物製剤
1.単回投与毒性に関する資料
1)
2.皮膚一次刺激性 〃
3.連続皮膚刺激性 〃
4.皮膚感作性 〃
5.光毒性 〃
2)
6.光感作性 〃
3)
7.眼刺激性 〃
4)
8.遺伝毒性 〃
9.ヒトパッチ 〃

(注)
1) 経口投与における概略の致死量が2,000mg/kg以下の場合、製剤についても実施すること。ただし、配合量等から考慮して安全と推定される場合には省略できる。
2),3) 紫外部吸収スペクトル(290~400nm)の範囲で吸収極大がみとめられない場合には省略できるが、280~450nmの範囲で吸収極大の有無を確認すること。
4) 角膜、虹彩の刺激反応が認められた場合又は粘膜に使用されることがある製剤の場合で、眼に入る可能性のあるものについては、製剤でも試験を実施すること。なお、最大配合濃度で角膜、虹彩の刺激反応が認められないことを確認すれば、製剤についての試験は省略して差し支えない。

Q23:
医薬品又は医薬部外品の有効成分として用いられる成分を新添加物として配合することは可能か。

A23:
有効性を期待して配合することは認められない。最終的には個々のケースで判断せざるを得ないが、当該薬効が示されない分量(最も配合量の少ない承認前例の1/5以下が目安)であれば添加物として取扱うことができる。
承認前例のない医薬品又は医薬部外品の有効成分を添加物として配合する場合、安全性についてはA22の表に示す資料が必要である。医薬品の有効成分の場合、この他、反復投与毒性、生殖発生毒性、吸収・分布・代謝・排泄に関する資料が必要である。なお、医学・薬学上公知であると認められている場合には、それを裏付ける資料を添付することで差し支えない。

Q24:
添加物の配合量を承認前例よりも増やす場合、どのような資料が必要であるか。

A24:

増量した濃度での安全性を担保するため、局所刺激性及び抗原性に関する資料(量にもよるが、原則、皮膚一次刺激性、連続皮膚刺激性、皮膚感作性、光毒性、光感作性、眼刺激性、ヒトパッチ)が必要である。

(4) 効能及び効果に関する資料について

Q25:
効能・効果を裏付ける基礎試験に関する資料にはどのようなものが必要であるか。

A25:
本資料は効能・効果を薬理的に示すものであり、作用機序等が明らかになるような試験成績を示すことが望ましい。また、有効性を確認するため陰性対照に加え、原則、陽性対照(既承認の有効成分等)との比較が必要である。既承認成分との比較は作用の強さが医薬部外品の範囲であるかの判断指標ともなる。

Q26:
新有効成分含有医薬部外品、新効能医薬部外品の場合、ヒトにおける使用成績に関する資料は必要であるか。

A26:
新有効成分含有医薬部外品、新効能医薬部外品については、配合量が妥当であることを確認するために、原則、ヒトを用いた実使用試験を実施する必要がある。

Q27:
ヒトにおける使用成績に関する資料には、どのようなものが必要であるか。

A27:
用法・用量に基づいて試験法を設定し、有効性の他、有害事象の有無等安全性についても確認が必要である。
有効性の評価に際しては、現在の科学的水準を踏まえ、可能な限り定量的な評価法により検討することが望ましい。また、発生した有害事象については、その後の経過を十分に観察し、重篤度・因果関係を確認すること。使用を中止した症例についても重篤度、因果関係の有無、転帰(症状が消失したか等)等についての確認が必要である。

Q28:
外国で実施された効能又は効果に関するヒトにおける使用成積データは、添付資料として受け入れられるか。

A28:

信頼性に問題がないものであれば審査資料として受け入れる。ただし、メラニン色素、光線に関連する効能及びパーマネント・ウェーブ用剤、染毛剤の効果等人種によって効能又は効果に差異があると思われるようなものについては、日本人での効能又は効果が検証可能なデータが必要である。

(5) 有効成分の配合量の変更に要する資料について

Q29:
有効成分の配合量を承認前例よりも増やす場合、どのような資料が必要であるか。

A29:
増量することの必要性及び妥当性を示す資料が必要である。たとえば、承認前例の量でも効果はあるがさらに効果を増大したい場合、効果を増大する必要性(特に前例の品目とどの程度有効性に差があるのかを明らかにすること)、医薬部外品たる作用緩和な範囲内であるかについての説明とそれを裏付ける資料が必要である。
安全性については、増量した濃度での安全性を担保するため、局所刺激性及び抗原性に関する資料(量にもよるが、原則、皮膚一次刺激性、連続皮膚刺激性、皮膚感作性、光毒性、光感作性、眼刺激性、ヒトパッチ)が必要である。

Q30:
有効成分の配合量を承認前例よりも減らす場合、どのような資料が必要であるか。

A30:

減量しても実使用時に十分に効力を有することを示す説明とそれを裏付ける資料が必要である。

(6) 用法の変更に要する資料について

Q31:
有効成分及び添加物について、洗い流す用法から洗い流さない用法へ変更する場合、どのような資料が必要であるか。

A31:
局所刺激及び抗原性に関する資料(量にもよるが、原則、皮膚一次刺激性、連続皮膚刺激性、皮膚感作性、光毒性、光感作性、ヒトパッチ、医薬部外品の種類によっては眼刺激性等の粘膜刺激性)が必要である。

Q32:
有効成分及び添加物について、皮膚への用法から粘膜への用法(リップクリーム、薬用歯みがき類等)に適用拡大する場合、どのような資料が必要であるか。

A32:
粘膜での刺激性(眼粘膜刺激性又は口腔粘膜刺激性)に関する資料が必要である。

Q33:
有効成分及び添加物について、口中清涼剤以外の医薬部外品として承認前例のある有効成分を口中清涼剤へ適用拡大する場合、どのような資料が必要であるか。

A33:
粘膜での刺激性(眼粘膜刺激性又は口腔粘膜刺激性)に関する資料及び反復経口投与毒性等の資料が必要である。

Q34:
有効成分及び添加物について、浴用剤以外の医薬部外品として承認前例のある有効成分を浴用剤へ適用拡大する場合、どのような資料が必要であるか。

A34:
皮膚温上昇等により皮膚透過性が向上し感作性が高まる可能性があるため、曝露濃度を考慮に入れた上で、必要に応じて抗原性(皮膚感作性)の資料が必要である。
(7) その他

Q35:
医薬部外品に配合する成分について別紙規格を設定する場合、どの程度の規格及び試験方法を設定すればよいか。

A35:
日本薬局方原案作成要領を参考に、必要な範囲において規格及び試験方法を設定されたい。(日本薬局方ホームページ参照:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/yakkyoku/index.html)ただし、有効成分以外の成分については、医薬部外品原料規格別記Ⅱに関する通則、一般試験法等も参考に規格及び試験方法を設定されたい。

Q36:
医薬部外品として承認前例のある成分(有効成分、添加物)をリポソーム等のマイクロカプセル技術を応用し配合する場合、安全性に係る資料が必要であるか。

A36:
マイクロカプセル技術等を用いる場合、皮膚などへの吸収率の変化を考慮し、必要に応じて当該技術の利用による有効性又は安全性に対する影響を評価する必要がある。例えば、吸収率の上昇が少なくないと考えられる場合、有効成分又は添加物を増量する場合に準じた資料が必要である。

Q37:
医薬部外品の殺虫剤又は殺そ剤で、新有効成分(新殺虫成分)を配合し申請する場合、申請区分は医薬部外品区分1でよいか。また、添付資料はその区分に基づくことでよいか。

A37:
申請区分は以下のとおりである。


 
申請区分
1 新有効成分を含有する医薬部外品
区分1
2 既承認医薬部外品と成分組成、用法、効能、剤型のいずれかが異なる医薬部外品区分3
3 その他の医薬部外品区分2

添付資料については、殺虫剤又は殺そ剤は医薬部外品であっても有効成分が医薬品であることから、「医薬品の承認申請に際し留意すべき事項について」(平成17年3月31日薬食審査発第0331009号)の記の1の(7)に基づくこと。すなわち、新殺虫主剤に係る資料については当該通知の別表1―(2)の区分(1)の資料(ヘの資料についてはGLPに基づき実施されたものであること。)が、新殺虫製剤に係る資料については区分(2)の資料が必要となる。区分(3)に該当する殺虫製剤のハの資料については、原則、申請時には添付を要しないが、承認審査に際して必要に応じ求める場合もある。

2.化粧品基準改正要請について

Q38:
化粧品基準改正要請に添付する安全性に関する資料については、どのような毒性試験法に従えばよいか。

A38:
上記A1~A21に準じて資料を作成すること。


★3PDF 医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について(その1)
平成26年11月25日

(関係する部分のみ掲載)

2.申請資料について

Q17:医薬部外品において配合前例のない添加物を配合する場合の安全性試験には、どのような資料が必要であるか。

A17:新添加物を配合する医薬部外品の種類により、次の安全性試験に関する資料が必要である。

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(注)・新添加物として配合する成分について試験を実施すること。
ただし、ヒトパッチについては、新添加物及び製剤について、それぞれ試験を実施すること。
・口中清涼剤に新添加物を配合する場合は、「口腔に適用する医薬部外品」に示す資料の他、反復経口投与毒性に関する資料が必要である。
・当該新規添加物が、吸収・分布・代謝・排泄に関する試験結果から、全身に移行することが確認された場合、並びに当該新規添加物が防腐剤又は紫外線吸収剤の場合には、反復投与毒性、生殖発生毒性及び必要に応じてがん原性に関する資料の添付が必要である。また、それ以外の新規添加物についても、毒性についてより慎重に評価する必要があるものについては、反復投与毒性等に関する資料が必要な場合がある。
・吸収・分布・代謝・排泄に関する資料について、明らかに全身に移行しないことを科学的根拠に基づき示せる場合は、省略することができる。

Q18:光安全性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

A18:基本的には「医薬品の光安全性評価ガイドラインについて」(平成26年5月21日付け薬食審査発0521第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)を踏まえて実施すること。In vitro光毒性試験法としては、当該ガイドラインに示される3T3 NRU PT(OECDTest Guideline 432)等がある。

Q19:遺伝毒性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。

A19:原則として、「医薬品の遺伝毒性試験及び解釈に関するガイダンスについて」(平成24年9月20日付け薬食審発0920第2号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)に示された方法で行う必要がある。ただし、最高用量は、製剤中濃度を踏まえた実使用における適用部位での曝露量を考慮して選択すること。なお、より適した方法がある場合には異なる箇所について科学的根拠を説明すること。医薬部外品の有効成分又は添加物については、原則として、遺伝子突然変異(細菌を用いる復帰突然変異試験)及び染色体異常の有無の確認を目的としたほ乳類の培養細胞を用いるin vitro試験(ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験またはマウスリンフォーマTK試験)が必要である。なお、in vitro遺伝毒性試験が陽性の場合に、in vivo試験を追加で実施する場合には、適用部位における曝露量を考慮した上で、十分な曝露が得られる用量を選択すること。申請品目の特性から考慮して、遺伝毒性試験を必要としないと判断される場合にはその根拠を明記した資料の提出が必要である。

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