※EUでの2009年動物実験禁止などの話題に関連して、動物実験代替法の推進状況について。今はもうちょっとは予算増えているとはいっても、この時点で倍増させたと言いつつ、たった1千万円。スパコンの予算と比べたら、天と地の違いです(TT)

 
第156回国会 参議院厚生労働委員会 15号 平成15年05月22日

(前略)

○谷博之君 (中略)

 時間の関係で、最後にもう一問させていただきたいと思いますが、私はいつも、何度かこの委員会で取り上げておりますけれども、動物実験の在り方についてでございますけれども、欧米諸国では、動物福祉の観点から、いわゆる動物実験に代わる方法の研究機関、これを産学官で立ち上げて随分開発研究を進めているというふうに聞いているわけですが、我が国はこの部分について若干やっぱり取組が後れているというふうに言わざるを得ないと思っています。私たちが掌握しているというか把握している中では、厚生労働科学研究費補助金というのがありまして、毎年一研究ぐらいこの研究費を出しておられるということであります。

 そういう中で、一方では日本動物実験代替法学会というのがございまして、ここでもいろんな研究がされているということであります。資金的にも若干支援も受けているということでありますけれども、こういった組織と今後どのような連携を取ってこの分野について研究を進めていこうとしているのか、あるいはまた、欧米諸国のように、こういう連携をした研究開発機関の設置といったものについても、そういう設置をする考えがあるかどうか、お伺いいたしたいと思います。

○政府参考人(小島比登志君) ただいまお尋ねの動物実験代替法の取組でございますが、我が国におきましては、平成六年から厚生科学研究事業におきまして動物実験代替法の開発、普及につきまして研究を実施しているところでございます。平成十三年度からは、それまでの研究費の額を倍以上の一千万円ということで三か年計画で現在研究を継続しているところでございます。

 具体的には、国立医薬品食品衛生研究所の研究者が主任研究者を務める体制で実施をしておりまして、今後とも、これまでの研究成果を踏まえつつ、引き続き厚生労働科学研究費等を利用いたしまして必要な研究を推進してまいりたいと考えております。

 また、御指摘のございました日本動物実験代替法学会というところも熱心に代替法の研究に取り組んでいただいておりまして、私どもとしては厚生科学研究費とこうした学会活動との連携ということも大変重要だと思っておりまして、それについても進めてまいりたいと思っております。

 御指摘のように、EU、OECDあるいは米国、大分外国の研究が進んでおりまして、私どもも、国際的なハーモニゼーションという観点から、これに立ち後れてはいけないという覚悟でこの研究に進んでおりますし、今後とも、他の国々の状況を見ながら、鋭意この研究に推進をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○谷博之君 実は、この動物実験の代替法の開発は、食品添加物とか医薬品とか、そういう分野、世界的には化粧品の安全試験、安全性の試験等に非常にここで力を入れているというふうなことを聞いております。

 で、OECDではガイドラインを定めておりまして、特に二〇〇九年までには動物実験を行って開発、製造した化粧品の販売輸入を全面禁止すると、こういうふうな措置まで考えているというふうに言われています。したがって、今後、このOECDガイドラインが認めた代替法に積極的に取り組むように薬事法上これは指導していくべきではないかというふうに思うんですが、この点はどういうふうに考えておりますか。

○政府参考人(小島比登志君) 今、先生御指摘のように、医薬品、化粧品の安全性の評価のための動物実験代替法の開発に対しましては、特に化粧品ということを中心に国際的な取組が今進んでおります。

 私どもといたしましても、こうした国際的な動向も踏まえまして、化粧品の安全性評価に対する試験の実施方法については、現在、医薬品の製造承認申請に必要な毒性試験ガイドラインと、医薬品を参考に化粧品も安全性評価をするということになっておりますが、これにつきましても、国際的な状況を見ながら、積極的にこのガイドライン、特に化粧品の安全性評価に使用されるように普及に努めてまいりたいというふうに考えております。

○谷博之君 最後に、環境省の方にちょっとお聞きしたいと思っておりますが、一九九九年に動物愛護管理法が改正になりまして、特にペットショップとか、あるいはブリーダーのような動物を取り扱っている業者が都道府県への届出制になりました。ところが、動物実験施設やあるいは実験動物の繁殖販売業者というのはここから実は除外をされているわけでありますが、その理由は何なのかと。

 そして、もう一つは、全国四十七都道府県の中で兵庫県などは一九九三年から、今言った後者のそういうふうな業界の皆さん方に対してもこれを届出制というふうにしております。こういう意味では、都道府県でもその取扱いが国と若干違うというふうなことも聞いておりまして、今度この法律が二〇〇五年に見直しをされるということになっていますけれども、公衆衛生の観点からもこの除外規定を削除する、こういう検討がなされているかどうか、お伺いいたしたいと思います。

○政府参考人(岩尾總一郎君) 動物取扱業の届出等の措置は平成十一年、先生御指摘のように、議員立法で法改正されまして、このときは愛玩動物、主としてペットをめぐるトラブル等を背景に導入されたものでありましたので、対象となる動物からこの実験動物というのは除かれております。

 御指摘の実験動物の取扱いについては、この動物愛護管理法というのは、動物を科学上の利用に供することを前提として、その利用に必要な限度において、できる限り苦痛を与えないような方法でしろというような規定がなされておりますので、その際の基準といたしまして、実験動物の飼養保管者に対し、生理、生態に応じた適切な設備の設置、麻酔薬の投与による苦痛の軽減などの配慮を求めております。

 環境省といたしましては、まずは実験動物に関するこれらの取扱いが徹底されることが肝要であると考えておりまして、都道府県と連携して関係者に対し周知を図ることとしております。附則に基づく見直しの際には、それらの結果を踏まえて、追加的な措置が必要か否か検討してまいりたいと考えております。

○谷博之君 時間が来ましたのでこれで終わりますが、最後に見直しについてのお話もございました。これは要するに、いわゆる実験用動物が必要とされている、そういう立場の人たちももちろんいるわけですね。ですけれども、それはきちっとやっぱり、そういうふうな業者に対してもこれを、届出制をちゃんとしくことによって、その動物の管理というものをやっぱりしっかりしていくということが大事だと思うので、これは是非前向きに見直しの段階で御検討いただきますように御要望申し上げまして、私のすべての質問を終わらさせていただきます。

 ありがとうございました。

(以下略)

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