先日、地球映像ネットワーク神楽坂で、「サルたちのサバイバル」というドキュメンタリーを見てきました。アフリカ西部で「ブッシュ・ミート」として狩られる野生動物、とくに大型霊長類の問題を追ったドキュメンタリーです。私たちが同情を感じやすい、悲惨なアフリカの霊長類たちの現状を追った第1部から、現代社会の根深い問題に迫る第3部まで、3部構成になっていました。

正直言って、とても考えさせられる内容でした。欧米の動物保護団体の活動家として出てくるカール・アマンさんは、日本にも来たし、アフリカ現地で活動する活動家として、いわゆる先進国では評価は高いと思います。

でも、本当に現地の目で見るとどうなのか。

はっきり言って、WSPAのような白人の動物保護団体が現地でやっていることが、現地ではとてもピント外れになってしまっていて評価されていないという現実が、このドキュメンタリーでは描かれていました。本当にお金を落とすべきところにお金を使っていない、その姿は、確かに私の目にも、甘えた白人のおままごとに映ってしまいました。アフリカにも行ったこともなくこんなことを言うのは本当に失礼だけれども、それくらい衝撃的な内容でした。

興味深いのは、欧米の捕鯨反対やイルカ猟批判に対して日本人が言っていることとまったく同じことを、アフリカの現地の人たちが言っていることです。一瞬、これはまったく日本と同じ状況ではないか…と思ってしまうんです。

ただ、アフリカの森に住む人々が、日本人と決定的に違うのは、自分たちも森とともに滅びゆく民なのだということを知っていることだと思います。文化が滅びるとか、そんなレベルの話ではない。現実に命の危険にさらされ、「絶滅」の危機にある。これは日本とは何かが決定的に違うと感じました。

森のサルたちが狩られるのは、フランス企業の森林伐採によって、現地の人たちの生活が壊されていることが原因です。そのために、狩猟によって手っ取り早くお金を作る手段がとられている。(サルは高く売れるから)

そして、動物保護団体は問題の尻拭いのところでしかお金を落とさず、現地の人々に「獲るな」という・・・。

問題の根は、もっと大きすぎるところにあり、たしかに何をやっていいのかわからない。

もちろん、長い間つながれっぱなしで飼育されるチンパンジー、狩猟によって孤児になる大型霊長類の子どもたち、彼らはどうしようもなく不幸だし、彼らを救う活動も確かに必要なのだとは思います。でもそれだけではいけないのだということを痛切に感じました。

そして。

打って変わって下記の映像は、今日CFTさんに教えてもらった、インドネシアのオランウータン保護の取り組みについての講演です。

この中に、たくさんの孤児たちを救ってきたことに対して、会場から拍手が湧くのだけど、この方が「違う!」といって否定するシーンがあるんです。私も、「サルたちのサバイバル」を見ていなかったら、この方の痛切な表情の意味がわからなかった。そんなことを思いました。

そして、すばらしい森林の回復力。生物の多様性を尊重することによって、人と動物が暮らせる環境の再生を実現させることができるのだと、明るい気持ちになる映像です。

くしくも、結論は・・・現地の人々に利益があること、それがオランウータンの保護につながる、ということでした。

ウィリー・スミッツの熱帯雨林再生計画 
(日本語字幕は埋め込めないようなので、字幕版はここをクリックしてください)