学術会議の委員会も傍聴できるということで聞いてきました。最近の論文不正行為の横行に危機感を持って作られた委員会です。

感想としては、動物実験と同じで、自主規制固持路線かな~という印象。
「日本の科学者はちゃんとやっている」と見せることができる程度の自主規制を、科学者の自立性を保つために、うんぬん、ってところでしょうか。(つまり規制や社会からの介入が起こらないような仕組みづくりを……ですね。動物実験についての議論と似通ったところがあると感じました。)


委員会の達成目標としては、とりいそぎ昭和55年に学術会議が出した「科学者憲章」が時代に合わなくなってきているため、改訂版を総会に提案すること、また新たに科学者の行動規範を定めること、疑義のあった場合に公正に対処することのできる組織作りについての検討を行うこと、などが挙げられていました。


資料はいろいろあって面白かったのですが、ひとつ海外の事例としてイギリスの例が挙げられていました。英国Office of Science and Technologyの下にある審議会The Council for Science and Technologyが”Universal Ethical Code for Scientists”というものを出しているとかで、私は知らなかったのですが、そこに「animals」という単語が入っていたのです!! 
さすがイギリス!!!


http://www.cst.gov.uk/cst/business/files/ethical-code-letter.pdf


Respect for life, the law and the public good
・ Ensure that your work is lawful and justified.
・ Minimise and justify any adverse effect your work may have
 on people, animals and the natural environment.


説明にも委員の議論にも、特にこの部分についての話は出てきませんでしたが、日本も「科学者憲章」を改定するのなら動物(および環境)についての配慮も入れてほしいものだーーー!と強く思います。

それから、中にひとり面白い委員の人がいて専門は何かな?と思ったら、法学政治学研究科の先生でした。 その人の出している意見書によれば、 研究者の人たちは、「ミスコンダクト」を「不正行為」と表現するのは嫌なのだそうです。「違法行為」と混同されるからだそうで。(へ?)

「FFP(ねつ造、改ざん、盗用の略)」なんて言っても一般国民にはわからないのだから、もっともわかりやすい「不正行為」 という表現を使うべきだと言っていたのには激しく同意です。

そのほか科学者の不正を正すための動き:


理化学研究所プレスリリース:
「科学研究上の不正行為への基本的対応方針」制定のお知らせ
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2006/060123/index.html

科学技術・学術審議会総会(第18回)の開催について:
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu0/news/06012401.htm
(あと、文部科学省もこの問題に対応するための特別委員会を設置するそうです。 この日はこれだけだったら傍聴しに行く必要はないかなぁ?どうかなぁ?)
 
 こちらも報道されました。
 研究の不正防止で特別委 文科審議会(2月2日)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060201-00000181-kyodo-soci


産総研、研究者の不正防止へ行動規範を策定-判断基準を共有化 http://brain.newswatch.co.jp/emkt/jst/16044/nknkogyo2006011900161.html


 産総研 研究者行動規範
 http://www.aist.go.jp/aist_j/information/code_of_conduct/code_of_conduct.html


 OECD、科学者の不正行為防止の指針作成へ
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060126AT1G2502E25012006.html