http://www.mizuho-ir.co.jp/seminar/nedo060210.html
経済産業省の新規施策として平成18年度からはじまる、「高機能簡易型有害性評価手法開発」について、みずほ情報総研が何やらNEDOから調査を委託されているらしく、その一環のワークショップでした。あきらかに研究者対象という感じでしたが、せっかくなので行ってみました。午前中の学術会議の傍聴と30分しか間がなかったので、昼抜き(T_T)。きっと、あちこちからひっぱりだこのエライ先生方も、こんなスケジュールで生活しているんでしょうね……。で、行ったらもう会場は満員! ほんとに出口からあふれそうなところで聞いていました(^^ゞ。こういうテーマに関心が高くなってきているのはうれしい限りです。


が、それにしてもしかし。代替法学会の人以外は、決して、絶対に、一言も、「動物が減らせる手法なんですよ」とか、「動物愛護の視点からも」なんて言葉は口にしません。つまり、「期間が短く、低廉で、確実な試験方法が必要になるから、in vitroやトキシコゲノミクスを検討するのだ」という立場を崩すことはありませんでした。よほど「敵」を喜ばせたくないのか、ほとんど動物擁護派についてはシカト路線です。動物実験に反対している人のためになんかやってあげているわけではありません、ってな感じでしょうか。まぁいいんだけどさぁ……


ただ、代替法の不思議なところは、動物実験と同じ結果がでるかどうかをバリデーションするところです。そうではなくて人間への作用と同じでなければ意味がないと思うのですが……とずっと思っていたのですが、やはりそういう質問をした臨床系の方がいました。回答としては、まさにそのとおりで、臨床のデータを持つ人に学会に戻ってきてほしい、みたいなことでした。ただ、人間のデータとの比較というのは、なかなか一概にはむずかしいというのも、また本当なんでしょうね……。


物質の複合作用についても調べるべきというのも、本当にそうなのだけど、ただそれについては気が遠くなるほどの組み合わせがあり、きりがない……という印象も。


どうにもこうにも、まず私たちが化学物質にたよる生活をしているところが問題なんですよね。


で、「もう新しい化学物質なんていらないよ」って言ってみたりするけど、ただ、欧州のREACHという化学物質規制は、すでに氾濫している何万もの化学物質のうち、本当に使うものについては製造者が安全性を立証しなければならないという規制なんですよね。


つまり、そんなに使われていないような化学物質は、安全性立証にかかるコストと利益が見合わないので、企業が手続きをしてこないだろう、だから使われていない化学物質は見捨てられるし、市場に出回る化学物質の数は大幅に減るはずである、という政策になるわけで……。


これがあるから、今回のこの新規事業も始まるみたいですね。たくさんの化学物質を使いたい企業にとっては、安くて短期間に結果の出る方法がOECDで認められれば、とてもうれしい! そしてその開発に何億円もの税金が投下されるなんいうことは、ほんとうにウハウハなんだと思います。(どこかからそういう力が働いているよねぇ~きっとねぇ~)


とわかっていつつ、でもやっぱり、動物実験が減るのならいいか……、とか思ってしまうところが、足元見られてる感じですね。(ネズミのために5億円出せる女? いやいや私が出すわけじゃないが…… っていうか、メーカーで出し合えば?という気もするが……)


ちなみに、いまNEDOではこのプロジェクトについて、ご意見募集中です。
http://www.nedo.go.jp/nedopost/h18_3/index.html

高機能簡易型有害性評価手法の開発 詳細
http://www.nedo.go.jp/nedopost/h18_3/data/18np3-bio6-a.pdf
http://www.nedo.go.jp/nedopost/h18_3/data/18np3-bio3-b.pdf
http://www.nedo.go.jp/nedopost/h18_3/data/18np3-bio6-c.pdf


参考までに今日のプログラムです。













































【プログラム】


13:30~13:35  

「高機能簡易型有害性評価手法開発プロジェクトについて」
NEDO技術開発機構 バイオテクノロジー・医療技術開発部 化学物質管理技術グループ


主任研究員 鈴木 一規 氏


 

 

13:40~14:15  

「化学物質の安全性評価と動物実験代替法の動向について(欧米の動向を中心として)」
財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所 遺伝毒性部部長 田中憲穂 氏


14:15~14:50  

「ハイスループットな毒性スクリーニング法の必要性と開発の可能性について(免疫毒性の観点から)」
東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野 教授 相場 節也 氏


14:50~15:05  

「in vitro有害性予測試験手法の開発プロジェクトについて」
NEDO技術開発機構 バイオテクノロジー・医療技術開発部 化学物質管理技術グループ
主査 小畑 政道 氏


15:05~15:30  

休憩(コーヒーブレイク)


15:30~16:05  

「化学発がん物質の臓器特異性とトキシコゲノミクスによる発がん性予測」
名古屋市立大学大学院医学研究科 実験病態病理学 教授 白井 智之 氏


16:05~16:20  

「トキシコゲノミクスを活用した発がん性予測試験手法の開発プロジェクトについて」
NEDO技術開発機構 バイオテクノロジー・医療技術開発部 化学物質管理技術グループ
主査 小畑 政道 氏


16:20  

終了