愛は寿命をのばす―からだを癒すラブ・パワーの実証的研究愛は寿命をのばす―からだを癒すラブ・パワーの実証的研究

作者: ディーン オーニッシュ
出版社/メーカー: 光文社
発売日: 1999/02
メディア: 単行本


 
著者は、アメリカの心臓病治療の第一人者と紹介されています。愛(と食事も?)で心臓病を癒すための本。

 

この本の83ページに面白いことが書かれていました。「人間にとって動物の愛情は恵みだが、逆もまた真である」として、実験用ウサギの動脈硬化症についての論文(『サイエンス』1980年)が引用されているんです。

 

概略ですが……


遺伝的には同一のウサギにコレステロールの多い餌を食べさせた。予想としては、動脈硬化症の発症率はほぼ同じだと思われたにもかかわらず、実際には結果は違い、血栓の多いウサギと少ないウサギがいた。

 

違いの理由は何だったのか?

 

ウサギは、天井まで積み上げられたケージに入っていた。高いほうのケージのウサギのほうが動脈硬化がひどかった。はじめはよくわからなかったが、観察していると、ウサギの世話をする技術者が、下のほうのケージのウサギとは遊んでやっても、高いほうのウサギとは遊んでいなかった。

 

もしやこれでは?と考えた研究者たちは、ウサギと遊んでやるグループと、餌・水をやるだけのグループに分けた実験で追試を行った。その結果は、無視されていたウサギに比べて、愛情をかけられたウサギでは、血栓が60%もすくなかった! 血圧やコレステロール値などは同一であり、生理学的条件からではない、「何か」が作用したのだろう……

 

この実験について、この本の著者は

 

「言い換えれば、研究者は触ったり、話しかけたり、なでたり、遊んだりして、愛情をかけてやった。それから、ウサギを殺して、動脈硬化症の発症率を調べたわけである(私が動物実験を好かない理由のひとつはここにある……)。」

 

と書いています(!)

 

ウサギが実験者をすぐ覚え、やってくると争って関心を引こうとしたというのもちょっと胸をつまらせる部分でした。