レポートが遅くなっていますが、5月18日、厚生労働省で第31回厚生科学審議会科学技術部会があり、動物実験指針のパブリックコメントの結果が発表されました。


まだ法令の文言合わせ的な微修正があるかもしれないとのことでしたが、この日発表された修正案をもとに、5月末には、学術会議の詳細指針と一緒に各研究機関へ送付するとの説明でした。


パブコメが終わっての修正は、かなりがっかりでした。だまされた!って感じでしょうか。厚生労働省の指針だけが、「動物実験=動物の犠牲を払う手段」ということを認めているので、多少まだよかったのですが、「努めなければならない」が「「努める必要がある」になってしまっていたり、後退しているところがいろいろあったと思います。




変更した部分の根拠は、


1、パブリックコメント結果
2、文部科学省の指針に合わせる


この二つとのことで、「本質は変わらない」という話なのですが、微妙な文言の変更などはどうでしょう、きちんとパブコメ結果と照らしあわせないとわかりませんが、パブコメとは違った力学で変わっているところもあるんじゃないでしょうか。


委員の質問では、「文部科学省と厚生労働省と別に作らなければいけない理由は?」といったものがあり、厚生労働省は「対象の研究機関が違ってくるので、企業秘密の観点から少し違えなければならない」といった内容の回答をしていました。(ハッキリ言うなぁ~) 共通の部分はあるが、各省庁一緒になるのは難しいという話。


出口のところで、各機関が特殊性にあわせた指針を作ればいいのではないかということで、機関にすべて一任の態度ともいえると思いました。


文部科学省と合わせるために変更になったと説明があったのは、


「実施機関の長の責務」の追加
実験委員会の構成の変更
「科学的合理性の確保」の追加


です。


委員会の構成は「動物実験の専門家か実験動物の専門家かどちらかがいればいい」とも受け止められるものを、どちらもそれぞれ必要条件にしたとのことで、これは文部科学省と同じ変更です。ただ、結局両方を兼ねる人でもOKというのも文部科学省と同じで、なんだかな・・・と思ってしまいました。


パブコメの意見は、「動物愛護」の観点を盛り込むべきという意見が多かったとのことですが、愛護は環境省で所管という説明。


計画の内容など詳細を書き込めという意見もあったが、それは日本学術会議の詳細指針で定めるということなので・・という説明でした。


ちなみに、学術会議は、5月25日の幹事会で通ればいよいよ指針の公開です。(傍聴できるかと思ったら、実験指針は非公開の部分でやるということ
だったので傍聴には行っていません。どうして動物実験はこんなにガードが固いの・・・?)


おそらく通らないと6月1日に間に合わないので、通るんでしょうね・・


パブコメも予定調和的に終わっていくし、なんだかもう・・・


関係ないのですが、この日の審議会では、動物実験の話題はあまり委員の方々の関心ごとではないように感じました。動物実験だけを扱う専門部会ではないので、ある意味、無感心な人たちでものごとが決まっていってしまうのは少し残念です。(でも関心のある人って、動物実験擁護推進の立場も明確だから、やっぱりいないほうがいいのかしらん、ビミョー(T_T))


この日は、「戦略研究課題の進捗状況について」という報告があったのですが、これは研究対象が人間で、いかに病気を減らしていくかということに直結していたので、なかなか聞いていて面白そうでした。


こういう話題のほうが議論も活発だったと思います。