New guidlines published as mouse models thrown into question
http://www.labnews.co.uk/laboratory_article.php/3432/2/new-guidlines-published-as-mouse-models-thrown-into-question
イギリスで動物実験についてのガイドラインが公表されたが、新しい遺伝子情報によって、マウスは人間の疾病の研究には適さないかもしれないことが示されている。
イギリスで動物実験に資金提供している主な機関のうち5つが、研究における動物の使用についてガイドラインを発表し、英国外の研究機関と共同の場合であっても、福祉基準がイギリスの法規やこの新しいガイドラインにおける原則を踏襲するときだけに資金提供が認められることとされた。
若干の基金が以前にガイダンスを発表したことがあったが、MRC、BBSRC、NERC、ウェルカムトラスト、NC3Rsが合同で、研究における動物の使用や3Rs(代替、苦痛の軽減、使用数の削減)の適用について、共通の原則を作ったのはこれがはじめてだ。
MRCの最高責任者であるSir Leszek Borysiewiczはこう述べている。「この冊子は、資金提供者が、動物と働く人々に何を期待しているかについて、非常にはっきりとしたことを述べている。十分な動物福祉と3Rsの完全な実現は、優良な科学にとって基本的なことであり、また、研究における動物の利用について市民の支持を保つために不可欠なものだ。」
科学的処置において保護された動物を用いる研究は、イギリスでは、内務省が所管する「動物(科学的処置)法 1986」によって定められている。法律は研究者が3Rsを採用するよう求めているが、しかしどうすべきかについては、最小限のことしか含まれていない。
BBSRCの臨時最高責任者であるSteve Visscherは、こう述べる。「基礎科学はしばしば、代替したり、苦痛を削減したり、研究に使われる動物の数を削減したりするための新しい選択肢を示す。しかし、生物医学の多くの重要な領域で、その使用は必要とされるに留まっている。われわれは、科学者がイギリスの基金によって要求される非常に高い標準に取り組み続けるようにするこの誓約を再度強調できるこの機会を歓迎する。」
これらは通常、科学コミュニティのなかで共有される感情だが、米国の新しい研究は、さらにもう少し進んで、マウスモデルが人間の病気に関連しさえしないかもしれないことを示した。
マウスは、ゲノムが85%同一であるために、医学研究ではヒトに代わるものとしてよく使われる。しかし、同一の遺伝子はマウスとヒトで違った振る舞いをしているかもしれないと、ミシガン大の進化生物学者であるBen-Yang LiaoとJianzhi Zhangの研究は示している。
「だれもが、マウスとヒトに共通な遺伝子を欠損させれば同じ表現型を生じると仮定している。そのことが、ヒトの病気を研究するためにマウスを使う基礎となっている」と、 Zhang(生態学・進化生物学准教授)が言う。「我々の研究結果は、それが必ずしも本当でないかもしれないことを示している。」
Zhang と Liaoは、 マウスが同一のものを持っているとすでに研究されている120の重要なヒト遺伝子に注目した。これら120の重要なヒト遺伝子が、マウスにも不可欠であるならば、どれを欠損させても不妊になるか生殖年齢の前に死ぬことにならなければならない。しかし、彼らの実験は予想外の矛盾した結果を示した。
「驚いたことに、120のヒト重要な遺伝子のうち22%は、マウスでは必須ではなかった」と、チャンは言う。「私はいくつかそういうものはあるだろうと思っていた。しかし、パーセンテージがそれほど高いとは決して思っていなかった。」
Zhangは、この研究では、比較的少ない数の遺伝子しか調べていないことを認めており、他の研究者がこの結果を確かめることを望んでいる。しかし、動物実験を代替するため、動物を用いない技術に資金提供をする医学研究慈善団体である Dr Hadwen Trustの科学担当官、Nicky Gordonは、マウスモデルに対するZhangの考え方と同じことを述べている。
彼女は、Laboratory Newsに対してこう述べた。「われわれは、ヒトとマウスで同一の遺伝子が同じ機能を持たないことを長いあいだ懸念していた。何百万もの遺伝子組替えマウスが毎年ヒトの病気の研究のための”モデル”として使われるが、ヒトの患者とこれら研究との関連性は非常に疑わしい。」
Zhang と Liaoの研究は、the Proceedings of the National Academy of Sciencesで読むことができる。