荻窪にあったVegan Peace Hearts Cafeの元店長さんがカフェで始めた「討論!雑談!交流会」、今は会場がカフェではないのですが、先日久しぶりに参加してきました。
『実践の環境倫理学』でベジタリアンについて書かれた、田上孝一さんの講演会だったのですが、いやー、なんかすごくイイ感じの刺激を受けました。楽しかったです。感謝です。
ちなみに、テキストは「動物権理論の実像」(岡山人権研究所「人権21」2007/12より)。
読むと難しいかもしれないけど、お話はとてもわかりやすかったです。シンガーのような功利主義的な考え方と、権利論は立場が違うのだということ、英語でAnimal rightsというときに、そういった厳密な権利論を指す場合と動物擁護運動全てを漠然と指す場合と両方あることなど、ぜひぜひ広く知られてほしいお話が満載でした。
自分もピーター・シンガーの著書に影響を受けてこの世界を知ったので大きな口をたたけたものではありませんが、どうも日本はピーター・シンガー止まりで、生命倫理などでも動物のことはほとんど切って捨てられている感があるような気がしていたんですよね。だから、最新の倫理学や哲学の知識をお持ちの方からアニマルライツ論のお話が聞けたのはとてもラッキーでした。
著書でベジタリアンについて書いたら、日本ではいたって不評だったというお話はショックでしたけど、でも海外では、動物というのは哲学の関連分野では主要なテーマのうちの一つになっていて、ベジタリアン支持者が多いそうです。
そもそも動物という「他者」がいて初めて「人」について自覚して語れるところもあると思うので、哲学から動物論というのは切り離せないと思うんですけど、なんだか日本の学問的状況は寒そーな感じですね・・・。(たぶん日本は、法学者も、矮小化された部分でしか「動物の権利」という言葉を受け止めていないと思います。)
あと、私は実は、動物実験をしている人たちに、この話を聞いてほしいなーと思ったんですよね。動物実験への批判も、ただの「動物かわいそう論」ではなく、長きに渡る哲学的考察の歴史が背景にあるということを知ってほしいなと思うんですよね。(敵を知れっていうかね)
そういえば、一ついい話をされていましたよ。『環境の倫理』で動物実験を擁護しているマイケル・アレン・フォックスは、その後立場を逆転させて、今は動物実験全廃論に回っているそうです。(あら~♪)
交流会は、ブログも立ち上がったとのことで、今後の活動が楽しみです。
討論!雑談!交流会ブログ
http://ameblo.jp/animaru-kouryu/
田上孝一さんのホームページ
http://www.kk.iij4u.or.jp/~tagamimp/

実践の環境倫理学―肉食・タバコ・クルマ社会へのオルタナティヴ

実践の環境倫理学―肉食・タバコ・クルマ社会へのオルタナティヴ

  • 作者: 田上 孝一
  • 出版社/メーカー: 時潮社
  • 発売日: 2006/08
  • メディア: 単行本
Deep Vegetarianism (America in Transition (Philadelphia, Pa.).)

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  • 作者: Michael Allen Fox
  • 出版社/メーカー: Temple Univ Pr
  • 発売日: 1999/06/30
  • メディア: ペーパーバック