アメリカで非常に論争を呼んできたチンパンジーの実験施設に、いま再び問題が浮上しています。
アメリカ・ニューメキシコ州のアラモゴードにあるホロマン空軍基地では多くの実験用チンパンジーが使われてきました。初めて宇宙へ飛ばされたチンパンジーも、ここで訓練されたチンパンジーです。
カールソン財団がチンパンジーを管理していた頃、その虐待的な状況が問題となり、研究室は封鎖されました。2001年、半数のチンパンジーがサンクチュアリの管理下へ移され、実験用に残された200人のチンパンジーも、新しい経営体制の下で状況が改善され、侵襲的な実験には使われなくなっていました。
彼らもサンクチュアリに送られるものと思われていたのですが、なんと、チンパンジーの「所有者」であるNIHは、飼育に経費がかかりすぎるため、彼らをテキサス州サンアントニオの医学研究所(SNPRC:Southwest Foundation for Biomedical Research/National Primate Research Center)に送ろうとしています。侵襲的な実験が行われていますし、チンパンジーを傷つけたり殺したりすることもできる施設です。この夏に15匹を移し、2011年1月に残りを移す計画です。
アラモゴードのチンパンジーたちをサンクチュアリへ引退させるよう、PETAがメールアクションを呼びかけています。
Save Chimpanzees From Cruel Experiments
参考:
NM chimps may undergo testing in Texas
http://www.krqe.com/dpp/news/health/nm-chimps-may-undergo-testing-in-texas

宇宙に最初に飛ばされたチンパンジー「ハム」についてはWikipediaにも記載がありました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%A0_%28%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%BC%29
なんだかすごいことが書かれています。

ハムの飛行は『月をめざした二人の科学者』(的川泰宣著、中公新書)によれば、ハムを打ち上げたレッドストーン・ロケットは燃料を予定よりも早く使い切ったため、脱出用のタワーロケットが点火され、軌道が大きく狂い、さらに電気系統の故障も重なり、「ライトの瞬き方に応じてバナナを支給するシステム」は大混乱を生じ、ハムは信号に対して正しくレバーを押し続けたにもかかわらず、電気ショックばかりを見舞われる悲惨なことになった。海面に落下した時の衝撃も大きく、カプセルに大量浸水し、救助された時も半ば溺れかかった状態で、カプセルから出された後、半狂乱となったハムは、人といわず物といわず、ところかまわず噛み付くありさまであったという。

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アラモゴードは、初めて原爆実験が行われたところでもありますね…。