武田薬品工業の新動物実験施設建設をめぐっては、実験動物の死体の焼却炉が大きな争点になってきているようですが……
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アサヒ芸能2010年8月12日号より
これに関連して、鎌倉市議会が実験動物焼却施設の設置規制を求める意見書を国に提出したとのことです。「かまくら議会だより」より、下記に全文を転載しました
それでですね…確かに焼却炉の規制、「なるほど、それは必要!!」と思いつつ、考えていると訳がわからなくなってくるのは、動物愛護法改正の動きの中で出てきているペット葬祭業規制に関する議論との兼ね合いです。
葬祭業も動物の死体の焼却が関連してくることに違いはないですし…。さらに言えば、今回の改正へ向けた議論の中では、動物実験施設の届出制も検討課題としてあがっています。
しかも、世の中には、
実験動物の死体の焼却と、ペット葬祭業の両方をやっている会社が存在するんです!!(実験動物生産業者です)
たとえば、こちら。
ホクドー
http://www.hokudo.co.jp/pet/pet.html
こういう企業は、実験動物焼却施設規制とペット葬祭業規制が、別々の法律でかかってきたら面倒ですよねぇ、多分…?(違うかなー)
……ということなども、考えなくてはいけなくなってくるのではないかと、ふと思った次第です。
ちなみに、実験動物の死体処理については専門の業者に頼んでいるところが多いと思いますが、そのことについては、下記のサイトに情報があります。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~mmlab/bio/EnvBioAll.htm#memo8
以下、鎌倉市の意見書全文です。近隣で実験動物の死体が焼却されているという「精神的苦痛」が問題とされており、単なる廃棄物問題ではないということがわかります。市議会での質疑の内容も掲載されています。
「かまくら議会だより」
平成22年8月1日号(第210号) より

http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gikai/tayori/main.html
可決した意見書

可決した意見書議会は、地方自治法第99条の規定に基づき、地方公共団体の公益に関することについて、意見書を国会または関係行政庁に提出することがでます。今定例会では次の意見書を可決し、鎌倉市議会として関係機関に送付しました。
実験動物焼却施設の設置規制について
法の整備を求めることに関する意見書

 鎌倉市と藤沢市の市境に製薬の新研究所が建設されている。この施設内には実験動物焼却施設(最大で日量0.9トン焼却可能)の設置が計画されている。住宅密集地に近接して
いることから、近隣住民は環境面・健康面に不安を感じている。

 現在、実験動物焼却施設の設置規制は、直接的な法律の定めがない。1994年8月12日の
厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知により、実験動物が一般廃棄物とされてい
ることから、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第8条、一般廃棄物処理施設の許可に規
定された「都道府県知事の許可」を受けることによって、実験動物焼却施設の設置が可能
となる。この状況下では、実験動物焼却施設が住宅密集地に設置され、近隣住民へ精神的
苦痛を与え、紛争などにつながる可能性が否定できない。そのため、実験動物焼却施設の
設置規制を定める法整備が早急に求められる。

 法整備に当たっては、「生活の場で生きていたものを燃やす」施設である火葬場に関す
る法律や、民間事業者の実験動物焼却施設にかかわる自治体の指導指針・要綱に定められ
ている項目を準用すべきである。つまり「実験動物焼却施設については行政区にかかわら
ず、300メートル範囲内の土地に住む人や事業者に計画を説明し、その後同意書を作成、
許可権者に提出しなければならない」というものである。

 今後、動物を製薬などの実験に使用し、焼却することは回避できないため、以上のよう
な設置規制を法で定めることにより、近隣住民がこうむる精神的苦痛が回避されると判断
する。

 よって、鎌倉市議会は、実験動物焼却施設の設置規制について法の整備を強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成22年6月25日
鎌  倉  市  議  会