アメリカの実験動物使用数 犬と猫
日本がアメリカから、かなり実験用の犬猫を輸入していることはわかりましたが、それではアメリカでは年間どれくらいの数の犬猫を実験に使っているのでしょうか?
その統計は、アメリカ農務省動植物検疫局(APHIS)のこのページの下のほうに載ってます。
http://www.aphis.usda.gov/animal_welfare/efoia/7023.shtml
2010年
総計 ネコ 21,578匹 イヌ 64,930匹
苦痛なし・薬で緩和なし ネコ 12,830匹 イヌ 39,523匹
苦痛あり・薬で緩和あり ネコ 8,595匹 イヌ 24,710匹
苦痛あり・薬で緩和なし ネコ 153 匹 イヌ 697匹
未使用の動物 ネコ 2,136匹 イヌ 9,368匹
2009年
総計 ネコ 20,160匹 イヌ 67,337匹
苦痛なし・薬で緩和なし ネコ 11,850 匹 イヌ 40,397匹
苦痛あり・薬で緩和あり ネコ 8,130 匹 イヌ 26,158匹
苦痛あり・薬で緩和なし ネコ 180 匹 イヌ 782匹
未使用の動物 ネコ 1,680匹 イヌ 8,525匹
2008年
総計 ネコ 20,305匹 イヌ 70,305匹
苦痛なし・薬で緩和なし ネコ 10,568 匹 イヌ 41,939匹
苦痛あり・薬で緩和あり ネコ 9,155 匹 イヌ 26,912 匹
苦痛あり・薬で緩和なし ネコ 582 匹 イヌ 1,454匹
未使用の動物 ネコ 2,342 匹 イヌ 8,734匹
アメリカでは使用数の年次報告義務があり、その書式には、苦痛のカテゴリ分けにしたがった使用数を記入する欄が設けられています。このUSDAのカテゴリ分けは薬で苦痛を緩和するかどうかに主眼が置かれていて、SCAWやILARの苦痛の分類とは若干コンセプトが違うようですが、もっとも苦痛度の高いカテゴリEの実験も行われていることがわかります。
総計には、「未使用」分は含まれていません。
その他、統計には、モルモット、ハムスター、海棲哺乳類、ヒト以外の大型類人猿、その他の家畜、ブタ、ウサギ、ヒツジ、その他の対象動物の欄があります。
ただし、アメリカの動物福祉法は、マウス、ラット、鳥類は対象ではないので、統計にも含まれないという問題があります。
年次報告書の記入欄について:
動物実験施設がAPHISに提出しなければならない年次報告書の書式(APHIS Form 7023)の使用数一覧表の部分には、以下のような欄が設けられています。
A欄:
動物種名
B欄:
実習・試験・実験・研究・外科的処置等のために繁殖・馴化・飼育されているが、それらの目的のためにはまだ使われていない動物の数
C欄:
実習・研究・実験・試験等が実施されたが、苦痛はなく、苦痛緩和のための薬も使われていない動物の数
D欄:
動物への苦痛を伴う実習・研究・実験・試験等が実施されたが、鎮痛・麻酔・鎮静ための薬が用いられた動物の数
E欄:
動物への苦痛を伴う実習・研究・実験・試験等が実施されたが、鎮痛・麻酔・鎮静ための薬の使用は、それらの実習・研究・実験・外科的処置・試験等の経過や結果、解析に対して悪影響があるとされた動物の数
E欄の動物については、どのような苦痛が生じ、なぜ薬が使われないのか、説明を添付します。
総計欄には、C欄+D欄+E欄の計を記入します。
USDAの苦痛のカテゴリ分けにあわせて年次報告書を作成するためのガイドラインもありました。それぞれのカテゴリがどういう実験を含むのか、もっと詳しく書かれています。
Guidelines for Preparing USDA Annual Reports and Assigning USDA Pain & Distress Categories
http://oacu.od.nih.gov/ARAC/documents/USDA_Reports.pdf