ISSP 国際比較調査という、日本からはNHK放送文化研究所が参加している国際的な意識調査があるのですが、この調査では、動物実験についての意識調査もされているのだそうです。
調べてみたところ、環境がテーマになっていたときに、1問ちょこっと入っているだけでしたが、2000年の調査では、「人の命を救うためなら、動物を医学実験に使ってもよい」の設問に賛成した人の割合は、30.8%で、参加した25カ国中、最下位だったと下記の本に書いてありました。(つまり、わたくし的には、日本が[ぴかぴか(新しい)]トップ[ぴかぴか(新しい)]
著者の方は、「基本的に日本人は動物が好きで、人間のために動物を犠牲にするのは良くないという意識を強く持っているようです」と書かれています。
日本は、法制度などは遅れていますが、何だかんだ言っても、長い歴史の中での価値観は衰えていないのかもしれませんね。(科学者が動物の「慰霊」にこだわるくらいですからね~っ(--;)
ちなみに、この数字は、旧動管法時代(総理府が所管)に行われた昭和49年の意識調査の結果より、一層進んでいるような気がします。総理府の質問は、「麻酔などにより苦しませないようにすれば」の条件が入っているので、一概には比べられないとは、思いますが。
https://nezumi.info/archives/2010-12-09-2

日本人の価値観 - 世界ランキングを読み解く (中公選書)

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  • 作者: 鈴木 賢志
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2012/01/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ということで、ちょっと調べてみました。
まず、ISSPのサイト自体はこちらです。
International Social Survey Programme
http://www.issp.org/
■2000年
ISSP 国際比較調査(環境):
International Social Survey Programme 2000: Environment II (ISSP 2000)

http://zacat.gesis.org/webview/index.jsp?object=http://zacat.gesis.org/obj/fStudy/ZA3440
設問は、こんな感じです。
ISSP.gif
「人の命を救うためなら、動物を医学実験に使ってもよい」
選択肢は:
(ア)賛成 (イ)どちらかといえば賛成 (ウ)どちらともいえない 
(エ)どちらかといえば反対 (オ)反対 (カ)わからない 無回答
結果は、英語ですが、こちらにまとめられています。(PDF) 「J」が日本です。ほかの国の略号は、PDFを開いて左側のメニューの「Codebook: Module」をクリックすると出てきます。
調査結果:

クリックしてissp_Codebook.pdfにアクセス

issp2000.gif
(追記:4と5を足すと、37.6%が、「反対」「どちらかといえば反対」と答えています)
日本が一番動物実験に拒否的というのは驚きですが、皆さんここで活動の手を緩めずに、がんばりませう♪
ちなみに、ISSPの調査ではありませんが、以下の意識調査でも同じ設問が使われているようです。2つご紹介します。
■2005年
2005年に行われた下記の調査でも、ISSP調査と共通の設問が使われています。ただし、上記の質問の文章が、「たとえ人の命を救うためであっても,動物を医学実験に使ってはいけない」に変更されています。
総合地球環境学研 研究リポート02
「東アジア環境意識国際比較調査 ―2005年度東京調査と北京調査― 」

鄭 躍軍 編

クリックして02_tokyo_beijing.pdfにアクセス

第6章 東京都の質問文と集計表 より
issp2005ans.gif
「そう思う」と「どちらかというとそう思う」の合計が、30.7%なので、2000年のISSP調査とかなり近い結果です。
■2008年
2008年、NHKが独自に行った調査でも2000年のISSP調査と同じ質問が使われていました。下記に日本語の報告があります。
定着してきた環境意識~「環境に関する世論調査」から~
http://www.nhk.or.jp/bunken/summary/yoron/social/027.html
分析では思いっきり、この設問がすっとばされていますが、一応データは下記のとおり。
issp2008j.gif
「反対」と「どちらかといえば反対」の合計は、28.9%。
「賛成」と「どちらかといえば賛成」の合計は、26.2%。
なんと、使ってはいけない派が、勝ってます。
「どちらともいえない」が、39.4%と、もっとも多いですですけどね^^;
(日本人は、この問題は決めきれていないと見たほうがいいかもしれないですね)
ちなみに、英語論文はこちらです。

クリックして09_no7_08.pdfにアクセス

issp2008.jpg
実生活でも、何となく、3分の1くらいの人は動物実験には(直感的には)否定的という感覚がありましたが、上記3つの調査の結果がいずれもその近辺の数字なので、なかなか興味深いです。