最近、毎日小学生新聞の動物実験についての記事が間違っていると研究者の方が主張しているのを聞きました。
しかし……「間違っている」と主張されている部分は、合っているような気がするのですよねえ~~~。日本に欧米のような法規制がないのは本当じゃあないですか。
むしろ、間違っているのは、「年間2千万匹」という数字を市民団体が調べたなどと書いてあるところではないかと思います。
日本でよく言われている「実験動物、年間2千万匹」という数字、かなり一人歩きしている感じがありますが、根拠はどこにあるのか、すでに数字を使っている団体自らが知らないのかもしれないですね……。
この数字は、日本実験動物学会のアンケートの回収率(の低さ)から推測して、集計結果を約2倍にしたのが根拠です。現在のアンケートは使用数の調査ですらないので、あくまで以前のアンケート結果がもとになっています。(これは、「調べ」と書かれている市民団体の前代表にも確認しているので間違いありません。)
つまり、実験動物の使用数を市民団体が調査したという事実はありませんし、そのような調査を行うための基礎的な情報がとれないのが日本です。それこそ、法律がないから根拠資料もないのです。いわゆる先進国では、政府統計があるのがふつうです。
まして、化粧品のために2千万匹も使われていることはありませんので、念のため……。(ときどき誤解されているのでちょっと気になって蛇足の補足です、すみません……)
ということで、「年間2千万匹」という推定のもとになる調査は実験動物学会の過去のアンケートなので、むしろ学会理事長自ら記事の誤りを指摘するのであれば、そちらを指摘したほうがよいのではないかと思ったりしたわけです。(あっ、名指ししちゃった。苦笑) 
あ、そうすると学会のアンケート調査では不十分ということが露呈しちゃいますけど……でも、使用数の国への報告程度であれば、受け入れてくれそうな気配も感じましたので、今後の動きには期待しているところであります。よろしくお願いします。
関係ないけど、あの記事に使われている写真も……(´・`)
あくまで内部告発するために現場を再現したフェイク写真なので、事件当時は再現写真である旨を明記するよう、きちんと伝えたものでした。これも、事件を直接知らない第三者に写真が渡ったときの、一人歩きですね。元の提供者に確認もなく使うというのは。
まあ動物実験の写真なんてそんなのばっかりでしょうけど、もともとの提供者を直接知っている身としては責任を感じ、掲載ページには注意書きを書き加えました。再現写真であることは、もとから書いていたのですが。

東京理科大学で実験動物の不適切な取扱い


また、当時、内部告発を受けたSATCの一員として主に関わってくれたアニマルライツセンターのページもリンク切れになっていたので、修正しました。
http://www.nomoreanimaltests.com/animaltesting/school/00/id=160#.UUUIq5YVnuc
この事件からもほどなく10年……
日本の実験動物の現場は変わったのでしょうか。
確かに「2006年体制」なるものができ、雰囲気は大きく変わったのですが、使われる動物の身に立ったとき、本当に改善されたと言えるのか、疑問は残ります。