林原『破綻』
一言で言うと、林原の本経営者による言い訳本なのですが……
最初、粉飾も何もなかったと主張するのかと思ったら、借入金についての粉飾自体はあったし、税金を払わなくていいように資産を計上しないなどの細工も行っていた。でも、事業自体は優良だったんだ、ということを訴えたいようですね。
要するに、ちょっと悪いことはしてたけど、それくらいは見逃して企業を生かすことのほうが大事でしょう?という考え方です。具体的には、銀行の対応が悪かったために倒産してしまった。
確かに、ことが明らかになってからの顛末は、不満はあるのだろうなと感じましたが、1か所、「動物愛護」という言葉が出てきたので、びっくりしました。
林原は、ハムスターを使うインターフェロンの生産方法を開発したのだけれど、動物愛護の見地からか、大腸菌を使った遺伝子組み換え法に負けてしまったそうです。
でもこれ、実際には、すでに遺伝子組み換え法が主流だったのに、そこにあえてハムスターを生体を使う製法を開発した流れだと思いますけどね…。
この「代替、代替」の流れの中で、わざわざそんな非倫理的な方法を後から考えて、売れると思うほうがおかしいと思うのですが、その辺、林原に国際感覚があったとはちょっと思えませんでした。
日本国内の雰囲気で考えていると誤ってしまう典型ではないかと思います。