平成14年 ニホンザルの実験用違法捕獲問題
※ニホンザルの実験用違法捕獲問題について、藤木洋子議員が質疑。
第154回国会 衆議院環境委員会-17号 平成14年06月11日
(前略)
○藤木委員 それでは次に、具体的な問題を挙げて伺います。
二〇〇〇年十二月二十四日の新聞報道で、大学の研究者が、無許可でニホンザルを飼育している複数の業者から猿を購入して、実験動物として使用していることが明らかになりました。業者は、市町村が有害駆除目的で捕獲した野生のニホンザルを引き取ったり、市町村の委託でみずから捕獲したりして、山中で劣悪な環境の中、無許可飼育を続けていたものであります。
業者がやみ飼育を続けていた背景には、有害駆除した猿を実験目的で譲渡する場合、都道府県の中には飼養許可を出さない方針を明らかにしているところもあることや、許可を受ければ施設を整備しなければならなくなること、また、飼養許可を取得すると、毎年一匹ごとの更新費用が必要になることなどの事情がございました。市町村は、捕獲した猿の処分に困って安易に業者に譲り渡し、業者はにせの繁殖証明書をつけて動物商に売っておりました。大学や研究者は、研究のためという大義名分のもと、猿を買い続けていたものです。
この件で明らかになったことは、有害駆除目的で猿の捕獲を許可する際には、捕獲した猿の処分方法を明記すること、あるいは捕獲した猿を飼育、譲渡する場合は許可を受けること、捕獲、飼養許可を出す自治体の判断を第三者が審査、監視できる仕組みの整備などが必要だということだと思うんですね。
そこで、二〇〇一年一月三十一日に、環境省は「有害鳥獣駆除制度及び飼養許可制度の運用について」という自然環境局長通達を出し、文部科学省が「大学等における実験動物の導入について」という、これも研究振興局長通達を出しておりますけれども、簡潔に言うと、それぞれの通達の内容はどんなものでしょうか。環境省、文部科学省、順番にお答えください。
○小林政府参考人 平成十二年の年末に、特定業者がニホンザルを実験動物として売却するために多数飼育して譲渡したという新聞報道があったことから、都道府県に対しまして、こういう類似の問題が再発をしないように、翌年の十三年一月三十一日付で、文書で都道府県に対して要請をしたところでございます。
内容でございますけれども、まず一点目は、有害鳥獣駆除制度に関してですが、捕獲許可申請に際しましては、被害を受けた者からいろいろ要望が出ています。その被害を受けた者の意思をきちっと文書で確認して、それから許可をするようにということでございます。それから、申請の審査に当たりましては、捕獲個体の処理方法についてどういうふうに使うのかということを明確に書かせることによりまして、有害鳥獣駆除を名目として、実験動物用に野生猿の捕獲が行われることなどの不正行為がないように留意しなさいという点でございました。
次に、飼養許可に関しましてですが、そういう捕獲個体を譲渡する場合には、飼養許可証を取得して、譲渡に当たってはこれを添付するように指導しなさい、それから、都道府県の職員とか鳥獣保護員を通じまして巡回調査を実施して、不正飼養の疑義がある場合には立入検査などを行いまして、警察当局との協力関係も得ながら取り締まりに努めなさい、こういう点を文書で指示いたしました。
○坂田政府参考人 先生が御指摘になりました昨年一月三十一日の私どもの局長の通知のことでございますけれども、若干の経緯も触れながら、その内容を御説明申し上げたいと思っております。
先生御指摘のとおり、前年の十二月にそういう趣旨の新聞報道がございまして、その中で、私どもの関係する大阪大学あるいは金沢大学といったような名前も取り上げられておりました。したがって、私どもとしては、直ちに事実関係の調査をしたわけでございますけれども、それらの大学におきましては、業者の方から猿を受け入れるに当たりましては、人工繁殖されたものだという確認をしたという報告を受けております。
ただ、そういうような報道がございましたので、私どもといたしましては、各関係の大学等に改めて注意を喚起する必要があろうかと考えまして、そういう局長通知を発出したものでございます。
内容面といたしましては、まず第一といたしまして、鳥獣保護法等の関係法令に基づく飼養許可証、こういったものについて確認を励行するというようなこと、あるいはまた信頼できる動物供給業者の選定に配慮すること、こういった点を通知文書の中で明確にしたということでございます。
○藤木委員 たくさんおっしゃいましたけれども、環境省は、簡潔に言うと、捕獲個体の処理方法について申請書にあらかじめ記入させるということが一つですね。それから、有害駆除を名目に実験動物用に野生の猿の捕獲が行われないようにすること、それから三つ目には、捕獲個体を飼養または譲渡する場合は飼養許可証をとること、これを指導するという通達だったと思います。文部科学省も二つ要件はありまして、飼養許可証の確認をとること、それから信頼できる動物供給業者から適正に取得すること、こういう指示を出されたわけです。
ところが、ことしの二月、滋賀県の愛東町が、ニホンザルの学術研究の目的で捕獲申請を得ながら、申請の内容に反して、捕獲した五匹を滋賀医科大学に譲渡していたことが明らかになりました。この事件は、同町の担当職員が有害駆除と同様に学術目的でも動物実験施設に引き渡せると考えておりまして、引き取ってもらえる際に必要な飼養許可証を交付しないまま国立滋賀医科大に譲渡していた、このことが問題になっております。
脳神経医学研究目的というのは学術研究のための捕獲許可に該当しないし、あるいは、捕獲したニホンザルを飼養、譲渡の許可もとらずに大学に譲渡はできないという問題は、参議院の審議の中で環境省が答弁をしておられるところです。
そこで、愛東町はニホンザルの学術研究の目的で捕獲許可を県から得ていながら、実態は動物実験用に捕獲をしたこと、そして違法に捕獲をしたニホンザルを大学に譲渡したこと、これが問題なわけですね。
しかし、このことだけにとどまりませんで、愛東町は、当初、おりによる捕獲許可を得ないまま捕獲をしておりました。学術研究捕獲としていながら、実態は有害駆除そのものだったわけです。また、大学側も、飼養許可証の添付がないことを知りながら愛東町からニホンザルを譲り受けておりました。そのまま数カ月も無許可で飼養していたわけです。結果的には、大学側も飼養許可証が交付されていなかったために実験には使用せず、生き残った三頭のニホンザルを山に帰すことになりました。しかし、だからといってこれらの違法行為が許されるわけではございません。
ですから、去年一月に環境省も文部科学省も局長通達を出していながら、再びこのような違法行為が繰り返されるということは、趣旨が徹底されていないということになるんじゃないですか。ですから、単に愛東町の担当職員が不勉強だとか、大学側になれ合いがあったんだろうなんて言って済ますことではないと思いますけれども、通達を出された環境省、文部科学省、それぞれお答えをいただきたいと思いますが、いかがですか。
○小林政府参考人 学術研究を目的とする捕獲の許可に関する基準でございますけれども、環境大臣が第九次の鳥獣保護事業計画の基準できちっと定めているところでございます。この趣旨が、平成十三年の一月の通達にもかかわらずまた違反行為がたび重なって行われたということは非常に遺憾だと思っています。このような事案が再発しないように今後とも注意する必要があろうと考えてございます。
現在、野生生物行政担当者会議というのも行っております。改正の鳥獣保護法の説明などもこれから何度も機会があると思いますので、その機会を通じまして、野生鳥獣の捕獲許可とか鳥獣の飼養登録制度の周知徹底に努めてまいる考えでございます。
○坂田政府参考人 この問題、私どもも調査をいたしました。若干の経緯が町と大学の方であったようでございますけれども、私ども、最終的に今承知をしていることにつきましては、例えば町の方、愛東町の方では、やはり滋賀県の許可を得てこのニホンザルを捕獲したわけでございますけれども、その申請の内容が必ずしも守られずに滋賀医科大学の方に譲渡されたという、この点がまずは問題であったんであろうというぐあいに思っております。特に、この点につきましては、ことしの二月八日でございますけれども、愛東町長から滋賀医科大学の学長あてにわび状が出されてございます。その中で、愛東町の方で鳥獣保護法の施行に関しまして判断の錯誤等があったということを認めて陳謝をされておられます。
一方、滋賀医科大学の方でも何も問題がなかったと言うつもりはございません。やはり反省すべき点があったと思います。本来でございますと、実験動物を譲り受けました時点で、先生御指摘のとおり、飼養許可証を受領すべきであったと思いますけれども、ただ、大学の方は、町の方からすぐにも渡すというようなことを言われた経緯があったようでございます。つまり、早期にそういう飼養許可証が出されるという前提に立って譲り受けたようでございます。したがって、大学の方では、法の趣旨にかんがみまして、その後におきましても再三にわたりまして愛東町に対しまして飼養許可証の提出を要求し続けたわけでございますけれども、結果的には出されなかったというような経緯がございました。やはりこういうことを顧みますと、大学の方でも反省すべき点はあったかと思っております。
したがいまして、今回の事例にかんがみて、我が省といたしましては、当然ながら、滋賀医科大学そのものに対しましては、二度とこういうことがあってはいけないということを指導しておりますけれども、それとともに、国立大学には、動物実験施設協議会、こういうものがございますけれども、こういった会議におきましても今回の事例を示しまして、やはりきちんとした法の遵守、特に昨年一月三十一日の局長通知の内容の周知徹底を図ったところでございます。
今後とも、そういう方向で関係の大学に周知徹底を図っていきたい、こういうぐあいに思っております。
○藤木委員 滋賀県は、二月四日に各市町村に対して、鳥獣捕獲許可制度、飼養許可制度の適正な事務処理に周知し、二月二十六日に愛東町に対して厳重注意を行っております。しかし、こうした事件が発生するのは、ニホンザルを使用する医学実験側の需要があるからなんですね。捕獲をした野生ニホンザルを実験用に譲渡することが商売になっているという側面もあるわけです。国内では実験用猿の供給体制が整備されていないのに、ますます実験用の猿の需要は高まっている。そうした中で、二〇〇〇年十二月の実験用の猿密売事件でも明らかになったように、違法に捕獲した猿を実験用に一匹当たり十五万円ないしは二十万円と、合法的に繁殖された猿でしたら一匹四十万から八十万円かかるわけですが、その半値以下で密売されているわけです。
こうした背景があるわけですから、単に通達を出すだけでは趣旨は徹底されません。二年前の違法捕獲のときも、結局は、業者にすべて繁殖個体だと言い切られて取り締まることさえできませんでした。
ですから、法改正に当たっては、第九条の学術研究目的の捕獲は、従来の目的である鳥獣の保護管理に沿ったものだけを認めるというように明記することが必要です。また、第十九条の飼養の登録及び第二十三条の販売禁止鳥獣では野生のニホンザルの実験用飼養や譲渡を禁止することが、再発を防止し、ニホンザルの保護管理が初めてできるのではないかと思うのですが、環境省、いかがですか。
○小林政府参考人 改正法第九条の捕獲許可ですけれども、その対象を野生鳥獣に限り、それぞれの捕獲目的等に応じて許可を受けることとなっております。また、その捕獲許可の具体的な基準につきましては、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、環境大臣が定める第九次鳥獣保護事業計画の基準というのがございます。改正法では、第三条の基本指針というものに相当いたしますが、それで基準を示しておりまして、野生鳥獣を捕獲しなければ学術研究の目的が達成できない場合に限られるということでございます。
そのほか、二十三条の販売禁止鳥獣に関しましては、生息、捕獲の状況とか流通の実態等を把握した上で、自由な販売とか利用が当該鳥獣の保護にどういう影響を与えるか検討した上で、販売禁止等の必要な判断をしてまいりたいと考えております。
○藤木委員 今言われたように、第九次鳥獣保護事業計画の基準でも、「学術研究を目的とする捕獲は、当該研究目的を達成するために不可欠な必要最小限の捕獲であって、適正な研究計画の下でのみ行われるものとする。」というふうになっているわけですよ。「鳥類の違法な飼養が依然として見受けられることにかんがみ、」「個体管理のための足環の装着等適正な管理が行われるよう努める」ともなっているわけです。
実験動物用に野生のニホンザルの捕獲が行われるなどの不正行為を防止するためには、先ほど私が挙げたような措置をぜひとることが必要だと思います。同時に、再発を防止するための罰則を厳しくすることも重要であります。さきの熊本の密売業者は、一匹二万ないしは三万円でニホンザルを手に入れて、一匹二十万円程度で密売していたということですから、愛東町の違反行為などは、単に厳重注意と始末書の対応だけで処理されるというようなことになっていますけれども、とんでもないことだと思いますね。やはり野生生物に関する違法行為は環境犯罪として厳しく取り締まることが必要です。
ですから、罰則が五十万円程度では再発防止には余り効き目がないと思います。法八十三条での違法な捕獲や飼養についての罰則を厳しくすべきだと思いますが、環境省、いかがですか。
○小林政府参考人 環境犯罪、鳥獣保護法違反に対して厳しい対応をすべきだという点は、御指摘のとおりだと思います。警察当局とも相談しながら、しっかりした対応をとるように努めてまいりたいと思います。
ただ、罰則の量刑に関しましては、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律における罰則の量刑の考え方をそのまま引き継いでございます。なおまた、種の保存法ですとか、他の自然保護関連法律も参考にして罰則を定めておりますので、いろいろな関係法令との比較において、違法捕獲、違法飼養に対する量刑が必ずしも低いというふうには考えておりません。
具体的な量刑としましては、違法捕獲に関しましては、制度の根幹にかかわる規定に対する違反でございますので、最も重い罪として、改正法の八十三条で一年以下の懲役または百万円以下の罰金ということにしておりますし、無登録飼養、無許可で飼養する場合の違反は次に重い罪として、八十四条で六カ月以下の懲役、五十万円以下の罰金としているところでございまして、他の法令等を参考にしながら決めた罰則規定でございまして、妥当な線ではないかと考えております。
○藤木委員 今も、取り締まり、監視に努めるという御答弁でしたけれども、私は、それで再発が防止できるというのは甚だ疑問でございます。それは、地方自治体がみずからの捕獲で、学術研究目的と称して有害駆除で実験用のニホンザルの違法捕獲をやっているのですから、とんでもないことです。
また、九九年の審議の際も、鳥獣保護員の大幅な増員と育成が問題となったにもかかわらず、鳥獣保護員の全国の体制は、九七年で三千三百五十六人、九八年で三千三百六十人、九九年で三千三百八十七人とほとんどふえていないわけです。しかも、三重県の鳥獣保護員の公募などが一部にありましたけれども、狩猟者以外の鳥獣保護員はほとんど拡大しておりません。これでは密猟や違法捕獲を監視するには限界がございます。
ですから、捕獲、飼養許可を出す自治体の判断を第三者が審査、監視できる仕組みの整備が必要だと思いますが、環境省、どうですか。
○小林政府参考人 捕獲や飼養の許可基準でございますが、先ほど御説明しましたように、環境大臣が第九次の鳥獣保護事業計画の基準を定めておりまして、都道府県はその基準に基づいて鳥獣保護事業計画を定めて、それに基づいて適切な運用が図られているというふうに理解をしています。したがいまして、その鳥獣保護事業計画を定める際には、各都道府県におきまして審議会を開いたり公聴会を開いたりしていろいろな人の意見を聞いて、その基準に従って適切に運用がされているので、ある程度の第三者的な判断というのがされているというふうに理解をしております。
○藤木委員 しかし、愛東町の事例を見ても明らかなように、市町村の担当者が鳥獣保護法自体をよく理解していないことが問題になっているわけです。
ニホンザルのような大型の哺乳類は、群れもしくは個体の生息域が複数の市町村にまたがるのが普通だと伺っております。適正な地域個体群の保護管理をするためには、市町村という単位で対応することは不可能です。このような市町村に捕獲や飼養の許可権限を与えてしまったのでは、適正な鳥獣の保護管理を進めることは期待できません。
九九年の審議の際も、都道府県から市町村に捕獲許可権限を移譲する際の適正な運用が問題になったところです。九九年の改正を機会に、岐阜、高知などが全種権限移譲してしまいましたけれども、市町村ではほとんどが現地調査をすることもなく許可を出していると伺いました。これで果たして適正な運用と言えるのか。
また、さきにも示しましたけれども、九九年の審議の際には、調査研究体制の整備、人材の確保が問題になったにもかかわらず、環境省からいただいた資料を見る限り、その後の鳥獣保護センター等への専門家の配置、地域の大学、研究機関及び鳥獣研究者との連携が全く進んでおりません。
ですから、滋賀県では特定計画の策定を検討しているようですけれども、地方の体制がないままで許可権限だけを移譲するというのでは、鳥獣の保護管理ができないのではないかと、九九年、私は伺ったんですね。その際に指摘したとおりになっているんじゃないですか。大臣、どうですか。
○大木国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、環境省が都道府県に対して、また都道府県がその市町村に対して、人材育成計画ということでいろいろ指導しておるというわけでありまして、九九年にたしか附帯決議もついておりまして、それはしっかりしろということですから、それに向かって前進はしていると私は思います。
例えば、今の滋賀県におきましてもいろいろと、そういった人材の育成とともに、特定鳥獣保護管理計画の策定に当たりましては、学識経験者等、言うなれば専門家もいろいろと含めて検討会を設置するということでやっておられるというふうに聞いております。
確かに、今の現状が何点かというのはいろいろと御意見もあると思いますが、そういうことで、これはいつまでも地方はだめだといってほかっておいたのでは体制はできないわけでございます。これは、四十七都道府県あるいは全国に三千幾つあります自治体をこちらで全部手をとり足をとりということではなくて、やはり地元においてそういった人材を育成していただきまして、しかもそれは、問題というのは、やはりその地域地域での実情に応じたいろいろな計画をつくり、判断をしていただくということが望ましい姿だと私は思いますので、今、百点でないという御意見があるかもしれませんけれども、私どもとしては実態に合った、地方にできるだけお任せというよりは、放置という意味じゃなくて、やはり地方の御判断あるいはその能力というのをさらに生かしていただいて、問題を解決していただきたいというふうに考えております。
○藤木委員 それではだめですね。捕獲許可だとか飼養許可の権限を有する愛東町の違反行為というのは重大な問題なんですね。
第九次鳥獣保護事業計画の基準でさえも、「許可権限の市町村長への委譲」の項では、「当該種の生息数及び分布等を踏まえた広域的な見地からの判断の必要性、市町村における鳥獣の保護管理の実施体制の整備状況等を勘案した上で、地域の実情に応じて適切に市町村に委譲され、円滑に制度の運営が図られるよう努める」、こういうふうになっているわけですよ。ですから、市町村の担当者が鳥獣保護法や保護管理を実際に知らないという現状では、市町村への許可権限の移譲をするということは間違いです。
ですから、単に都道府県や国の支援、法の趣旨の周知徹底だけではニホンザルなどの保護管理ができないという現状なんですから、捕獲、飼養許可権限については、もう一度市町村から都道府県に移して保護管理を進めるべきだと思いますが、大臣、どうですか。
○大木国務大臣 捕獲とか飼養許可等の権限の今の移譲の問題でありますが、第九次鳥獣保護事業計画の基準をつくって、その基準に基づいて、市町村における鳥獣保護管理の実施体制等を勘案しながら、都道府県が地域の実情に応じて適切に判断してもらうというのが今の体制でございまして、今の市町村への権限移譲というのは、私は、その方向としては決して間違っていないと思うんです。
ですから、これは先ほども申し上げましたけれども、それぞれのレベルにおいてのまた人材の育成ということは努力してもらいたいと思いますし、特に、必要に応じ都道府県から市町村への助言ということがきちっと行われるように、そういう形につきましては、環境省としても引き続き、適正な行政が行われるようにということで、技術的な支援あるいはその他もろもろの助言等を行ってまいりたいと思いますが、私は、今の方向をもう一遍逆行させるということについては、必ずしも現状に見合ったいい措置だとは考えておりませんので、残念ながら、今のお話につきましては、御意見は伺いましたけれども、今のところそれを逆行させるということは考えておりません。
○藤木委員 保護管理ができない鳥獣保護はないわけですから、逆行ではなくて、実態に合わせた措置をとるべきだということを私は申し上げたんです。
まだ質問が残っておりますけれども、また次の機会にぜひ議論をさせていただきたいと思います。
(以下略)