※日本において「動物実験がほとんどできない」などという事実はないので、いかに大げさにことを言いふらしている研究者がいるかが露呈しています。
そもそもティッシュエンジニアリングなら、必ずしも動物は置く必要ないと説明すればいいのに、どうして反対運動のせいになってしまうのでしょうか。

 
第154回国会 衆議院決算行政監視委員会第三分科会 3号 平成14年07月22日

○山田(敏)分科員 民主党の山田敏雅でございます。 (※注:すでに民主党を離党しています。)

 本日は、医薬品の副作用の被害者の救済についてお伺いいたします。

 その前にちょっと、若干、一つ質問させていただきたいんですが、私は、経済産業委員会で、新しい産業の創造ということで、バイオインダストリー、特に遺伝子工学とか細胞工学、そういうものを日本の将来の大きな産業にするべきだという議論を一生懸命やっているんですけれども、先日、アメリカのボストンに行ってまいりました。そこで、私は実は二十年前に留学しておったんですけれども、そのころの町と今のボストンの町は本当にさま変わりしまして、昔の港町で倉庫が全部空っぽだった場所が、今ニューヨークの摩天楼のような高層ビルになっております。これは、上から下まで全部バイオインダストリー、特に遺伝子工学を使った、大きな世界的な企業が全部集約して、それがアメリカの大きな力になっているわけです。

 そこで、我が国の状況はどうかということで、先日、ティッシュセンターというところに行ってまいりました。これは、経済産業省が全く新しい形の研究体制をつくるということで、細胞に関する研究、遺伝子工学も含めて、これの新しい研究所ができました。三十億円ぐらいの設備なんですけれども、そこに行って、研究者の方と意見を交換してまいりました。

 そこで大変重要な問題が提起されましたので、大臣、ちょっと本来の議題の前に一言聞いていただきたいんですが、そこにお医者さんがいらっしゃいます。もちろん、最先端の技術を研究していらっしゃるんですが、肝心なところに来ると、動物実験が必要になります。我が国の、その研究所に行きまして、動物実験の場所を見せてくださいと言いましたら、ありません、実は動物実験はできないんですと。新しくできて、日本じゅうから研究者が集まってきて、これからやろうというときに、その施設はありませんと。どうしたんですか。動物愛護団体のすごい反対があります、申し入れ書もありますと。

 世界じゅうで動物愛護団体はだんだん過激化がされて、イギリスなんかでは非常にテロ的なこともやる人もいる。我が国においても、大阪大学の医学部で、動物実験の場所に不法に侵入をして、かぎを破って中に入って写真を撮ったとかこういうことがあって、せっかく最先端の技術をやろうと思うと、これは動物実験が難しいんです。ほとんどできない。これじゃ日本の、確かに動物がかわいそうだというのはあるんですが、多くの人の命を救おうと思ってやっていらっしゃる研究が全く進まなくなってしまう、こういうことなんです。

 ちょっと質問書を出させていただきましたけれども、大臣、ひとつ、これは経済産業省だけの問題でやっても全然前に進まない。ぜひ厚生労働省、これは大臣の方でしっかりしたことを考えていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣 それは、御指摘のとおりだというふうに思います。

 日本もバイオ、これからおくれた分を取り返さなければならないわけでありますし、ある意味では日本が今後最も大きく進むことのできる分野でもあるというふうに思います。

 もちろん、そういうバイオの面を進めていこうと思いますと、中にはやはり動物実験の必要なこともございますし、そこを抜きにして、やはり薬にいたしましても新しいバイオ製品にいたしましてもできない分野があるわけでございます。したがいまして、動物愛護ということには最も気を使っていかなければなりませんし、それは大事なことではございますけれども、やはり人間の生命にかかわります分野をさらに進めていきますためにはどうしてもそこは乗り越えなければならない点でございますので、私たちも経済産業省とよく連携をさせていただきまして、そして前に進むように努力をしたいと思います。

○山田(敏)分科員 御答弁ありがとうございました。現場の研究者の方も強くそのことを申されておりましたので、きょう、この場でお伝えいたしました。

(以下略)

戻る