※いまや環境副大臣!! 田島一成議員の、動物愛護法改正時の質疑です。「小沢委員長」とあるのは、同じくいまや環境大臣となられた小沢鋭仁議員。答弁している当時の環境大臣は、小池百合子議員です。

 

第162回国会・衆議院環境委員会 14号 平成17年06月07日

(略)

○小沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田島一成君。

○田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。

 きょうは環境保全の基本施策に関する件ということで、一時間もちょうだいをしてしまいました。大変皆さんにはつらい時間かもしれませんけれども、どうぞよろしく御答弁をお願いしたいと思います。

 私、今回は一般質疑ということでありますし、また、つい先ほどの本会議で、動愛法の一部改正、衆議院を全会一致で通過を見たところでもあります。この先、参議院の方に送付をされ、いよいよ改正法のもとで新たな動物の愛護、そして管理に関する施策が具現化されていくものというふうに期待を申し上げ、この一時間を使いながら、動物の愛護と管理に関しての質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは本当にクールビズで、私もこんなラフな格好をさせていただいているのが本当にいいのかなと思うくらい、大変気楽に質問させていただけるのを大変うれしゅう思っておりますが、今回のこの動愛法、改正をさせていただいた経緯は、それこそ五年後の見直し、そういうタームでもあり、また、相次ぐトラブルを何とかして解消していかなければならない、そんな思いからの議員提案でありました。

 提案者という立場もしっかりと踏まえながら、それでも、今回の法改正の中に盛り込めなかった部分や、また次回の見直し等にしっかりと議論をつないでいく、そんな質疑と応答にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 冒頭、大臣に、今回の動愛法の改正全般についてですが、これまでの動愛法に加えて、この改正点等々を見ていただいた中で、どのようにお感じになっていらっしゃるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○小池国務大臣 今おっしゃいましたように、動物愛護管理法、もともと議員立法で、平成十一年の法改正が行われて、施行後五年の改正ということで、各党それぞれの皆様方が、御協議の上、改正案をまとめられたということでございます。

 そして、その改正案のポイントでございますが、私ども、四点挙げさせていただきたいと思います。

 まず一点は、動物愛護管理施策を総合的に推進するための計画制度を創設されたこと、二点目が、動物取扱業を適正化すること、そして三番目が、個体識別措置の推進、四番目に、動物を科学上の利用に供する場合の配慮事項の充実といった四点などの課題について幅広く取り上げられたものと考えております。つまり、動物愛護管理施策の一層の充実に資するものと認識をいたしております。

 この改正案、先ほど衆議院を通過いたしまして、またこの後、参議院ということでございますが、成立した暁には、環境省といたしまして、その趣旨を踏まえまして、適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 適切な運用というのは、もうこれは決まり文句でありますので、今さらお尋ねするのも本当にやぼな質問かもしれません。しかし、これまでの動愛法のもとで、現状、さまざまなトラブルが起こってきた。このことは、恐らく大臣以下、環境省の皆さん、また関係する省庁の皆さんも御認識をいただいているところというふうに思います。とりわけトラブルの中で非常に多い件数が、動物取扱業にまつわる事件ではなかったかというふうに思います。

 一九九九年の成立した段階で附帯決議をつけさせていただいたというふうに先輩から聞いております。この六つの検討事項を一つ一つ本当はひもといていくといいんですけれども、一番最初の点については、今回、動物取扱業を届け出制から登録制にするということで、この改正でほぼ果たされました。

 2もそうなんですけれども、やはりまだ、動物取扱業の範囲の拡大という点をよくよく考えてみると、例えば、最近ではもうインターネット上での取引というものが非常に多くなってきた、こうした社会現象ということを背景にいたしますと、仲介業であるとか代理業といったものも含めることとなって一応の実現はできたかというふうに思うんですけれども、インターネットの例えばオークションにかかる動物を引き続いて出品していくということが往々にして考えられます。そういった中で、インターネットのオークションの主催者であるとかプロバイダーの協力なしでは、なかなか、こうした登録義務の周知徹底ということを図ることは非常に難しいかと思います。

 大手の中では、こうした、動愛法に基づいた形で取り扱いの品種を限定している、そんなプロバイダーも実際にはありますけれども、まだまだこのあたりは、網目のような世界でもありますし、際限なく広がっていくだけに、周知徹底が大変難しいのではないかというような、そんな気も正直しております。この点については、周知徹底、口だけではなく、とんでもない問題につながらないような努力をぜひともしていただきたい、そんなふうに思うわけであります。

 さて、この動物取扱業の規制強化については、一定の範囲、踏み込むことができたというふうに思うんですけれども、今後は、この運用について、果たしてその実効性をとることができるかどうかが試されるのではないかというふうに思います。

 中でも、都道府県にいよいよ動物行政の担当職員を設置して、その役割というものが非常に大きくなってくるかと思います。ただ、動物行政にまつわるさまざまな住民のトラブルは、相変わらず絶えませんし、これから先も問題は複雑化、多様化していくことが想像できます。

 そう考えると、この担当職員の人材育成、能力の向上という点が大きな課題であり、環境省のリーダーシップが問われるところであろうかというふうに思いますが、どのような取り組みをされていこうとお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。

○小池国務大臣 法を整え、そしてそれを適切に運用するというのは大変重要なことでございます。そしてまた、御指摘のように、今回の新たなる規制ということ、規制の強化ということで、運用でどれだけ実効性を高められるかは大きな課題であると思っております。その意味では、これから私どもが、周知徹底、そしてまた、それに携わる県の職員の人材の育成などにどのようなかかわりを持っていくかということも一つ大きなポイントだろうと思います。

 ただ、御承知のように、この動物愛護管理法に基づきます事務の多くは都道府県などの自治事務となっているわけでございまして、ここはそれぞれの県の方でしっかり取り組んでいただきたいということではございますけれども、先ほど申し上げましたように、適切な運用を図るためには、自治体の担当職員などの人材育成は重要な課題ということで、今年度から自治体の担当職員などを対象といたしまして動物愛護管理研修を開始することといたしております。

 また、この研修に加えまして、これからも、国と自治体間の情報ネットワークの構築などで情報交換を図っていく、これを推進していく、そしてまた、各種ガイドラインの作成、充実などによって、自治体の方々、担当の職員の方々の業務を支援するということを行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 都道府県によって対応がまちまち、また取り組み状況もまちまちといったこれまでの現状からは大きく一歩を踏み出すことができるだろうと強く期待をしております。ぜひとも、何があってもやはり人材がかなめであろうかと思いますので、その点については、大臣の強力なリーダーシップのもと、環境省が各都道府県とのきっちりとした連携を今以上に取り組みいただきますように、ぜひお願いをしておきたいと思います。

 さて、実験動物の繁殖また販売業者についてであります。

 今回、動物取扱業から除外をしたわけなんですけれども、うわさも含めて、このような場で申し上げるのが適切かどうかわかりませんが、いわゆる飼い猫も含めて、野良猫も含めて、野外にいる猫を捕獲して販売をしている業者というのがあるやに聞いております。こういった業者などの届け出であるとか登録といったことも今回は踏み込むことができませんでした。

 例えば、実験動物の販売業者の組合に加入をしていない個人業者については、一般の取扱業の業者と同じように取り扱うべきではないかというふうに考えるんですけれども、この辺の数字の実態は把握をしていただいているでしょうか。

○小野寺政府参考人 一番最初の御質問の、野外で猫を捕獲して実験動物にする、その実態については、ちょっと調べてみたんですが、把握できませんでした。実験動物協会というのがありまして、そこに数字を聞いたところでは、猫を実験動物にするというのは日本の中では極めてまれ、ほとんどがネズミのたぐいですね。捕捉されているので数百匹の単位だというふうにデータ上はなっております。

 また、その上、野良猫の場合は、実験としての適性、つまり病気の問題とか、いろいろな環境が特定できないということがあって、我々の感じでは大きな広がりにはなっていないと思いますが、御指摘のように、団体に所属していない、はっきりしない形で何かルートがあるという可能性もないことはないと思いますので、気をつけていきたいと思います。
 大手のところについては大体のことがわかっておりますので、既に我々の中で基準をつくって、実験動物の飼養保管の基準というのは既にありますし、今後も改定したいというふうにも思っておりますので、その徹底を図ってまいりたいと思います。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 不明な部分も確かにありますので、私も何か非常に弱腰のような質問しかできていないんですけれども、事実であるならばやはり問題であろうかというふうに思いますので、ぜひともそのあたりの実態把握にお努めをいただきたいと思います。

 この動物取扱業の登録制の導入についてなんですけれども、例えば、行政の指導であるとか勧告に従わない場合、登録の抹消等々の措置をとるわけなんですけれども、これだけでは一般の国民に、この動物取扱業者が適正な取引また行政の指導、勧告をしっかりと受けた正しいところなのかどうなのかというところが非常にわかりにくい。ここがこういった問題で行政の指導や勧告を受けていないんですよということを消費者に対して明らかにしていくということが、ある意味では、この登録制導入とともに、国民に対してその状況をしっかりと明かす、また、それがある意味、インセンティブとなって業者の努力目標として取り組みがさらに深まっていくのではないかというふうに思うんです。

 例えば、勧告等々に従わず登録を抹消されてしまった、そういった業者の名前を公表するであるとか、そういった取り組みについてはどうあるべきだというふうにお考えか、お聞かせいただけませんか。

○小野寺政府参考人 今御提案いただいた改正案の考えでは、まず登録した人は登録証を、例えば小売店だと掲げるということになっております。また、都道府県に登録業者の台帳というんですか、登録簿の原簿というのがあって、それはだれでも閲覧できるという組み立てになっておりますので、登録をもし万が一取り消された場合には、一般的な情報公開請求というのはもちろん対象になりますし、台帳の確認というのはだれにでもできる、そういう組み立てになっております。

 それから、小売店の場合ですと、登録証が、掲げているものが掲げられなくなるということになります。それ以上の、つまり、積極的に、登録取り消し業者について例えばインターネットその他の手段をもってやるかどうかについては、ちょっと今後研究させていただきたいと思います。今でも、知りたいという意思があれば知り得る仕組みになっていると思っております。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 前向きな御検討をいただいたというふうに受けとめたいんですけれども、実際に、登録証掲示というのでも、それこそネット上の販売取引業者なんかは、やはりどれだけでも抜け道はできてしまうんですね。一度それをネット上で画像として上げてしまえば、取り上げられて手元になかったとしても、それは画像として残るから信憑性は非常に高くなってしまう。動物取引をネット上でやられる方が、その台帳を一々開いてごらんになられるのかどうかというような点も考えると、非常に難しいでしょうし、ましてや屋号を変えられたりとかした場合についても、当然いろいろなトラブルがあろうかと思います。

 もうお答えは結構ですから、ぜひ前向きな、こうしたトラブルが起こってからではどうしようもないということも含めて、消費者にわかりやすい情報を開示していくという点をぜひお願いをしたいと思います。(発言する者あり)

 力強い応援のメッセージもいただいたところで、虐待の定義についての確認をちょっとさせていただきたいと思っています。

 御承知のように、二〇〇四年の二月、滋賀県の近江八幡で、動物取扱業者の近所の住民からの苦情で、行政と警察、そして愛護団体の三者がその動物取扱業者に出向いて現場を確認したところ、犬十二匹の死骸が放置をされ、そして残り三匹が極度の衰弱状態にあったという、そんな事件がありました。去年の話であります。これは実は、行政も当初は告発をする予定だったんですけれども、後々わかったことに、犬の死因というのは伝染病であった、そういったこともありまして、結局は告発をしないということにおさまってしまいました。

 こうした状況を見ても、犬の病気をそのままにして放置させ、いずれ衰弱死をさせていく、こんな事例が報告されているわけなんですけれども、残念ながら、行政は手をこまねいてきたようなところがあります。私の地元の滋賀県であったということが非常に情けない、恥ずかしい事件でもありますが、こうした状況を何とかして食いとめていかなきゃいけない、そんな思いもありまして、今回の法改正に正直取り組ませていただいたところであります。

 きょうは、参考人で警察庁からお越しをいただいておりますが、例えば虐待の状況というものをひもといていきますと、例えば、確固たる根拠があるわけではありませんが、評論家等によっては、いわゆる今日の凶悪犯罪の前ぶれがこの動物虐待であるというような、そんな論調を示される方々も出てきました。神戸の児童殺害事件等々を振り返っても、動物の首を何匹も並べたというあのような事件が、一定の関連があるのかというような想像すらできてしまうようなその評論家の意見は、あながち間違っていないような、そんな気も私はするわけであります。

 凶悪犯罪の捜査に当たっていただいている警察は、当然、こうした状況を恐らく調査検討課題として視野に入れていらっしゃるのではないかというふうに思うのですが、例えば、こうした動物虐待に関する通報であるとか苦情、こうしたものを情報として収集し、統計化を図るというようなお取り組みをされているのかどうか、お答えいただけませんでしょうか。

○荒木政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在のところ、動物虐待に関する通報などを統計化している都道府県警察はないものと承知をいたしております。

 各都道府県警察におきましては、動物虐待の通報等がございました場合には、動愛法等刑罰法令に触れる行為につきまして所要の捜査を行い、検挙したものについては統計化をしているというのが実情でございます。

○田島(一)委員 これも何かの御縁でしょう、私、荒木審議官には、かつて滋賀県警にお越しのときに県議会で大変お世話になりました。そしてまた、今例示に挙げたのが、滋賀県の本当に悲惨な事件であります。私、決して統計化をすることだけがすべてこの解決につながるとは考えられません。しかし、根拠はないにしろ、こうした凶悪犯罪とこうした動物虐待との関連性というものについては何らかの相関関係があるのではないかというような気がいたします。

 荒木審議官の主観で結構です。この辺の考え方について、どのようなお考えを持っていらっしゃるか、御所見をちょっとお伺いできませんでしょうか。

○荒木政府参考人 お答えいたします。

 実は、平成十二年に当庁で実施いたしました少年による特異・凶悪事件の前兆等に関する調査というものがございます。それによりますと、二十二件の少年による凶悪犯罪を調査したんですけれども、そのうちの三件について、その前兆的な行動として動物の虐待が見られたということになっております。

 動物虐待を認知いたしました場合には、今後とも、その適切な捜査を行うことはもちろんでありますけれども、御指摘がありましたように、少年による凶悪犯罪の未然防止の観点からも、適切な対応がなされますように都道府県警察を指導してまいりたい、かように考えております。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 二十二分の三というのは何か非常に微妙な数字なものですから、これをすべて根拠だということは非常に言いにくいのかもしれません。ただ、全くゼロではないという実態を踏まえると、これから調査また情報の収集の対象として考えてもおかしくないものだろうというふうに思います。今後、こうした凶悪犯罪はあってはならないと思いますが、こうしたことを未然に防ぐためにも、こうした予兆をどのように把握していくのかという点に、ぜひ努力をいただきたいと要望をしておきたいと思います。

 さて、同じく警察の方で、皆さん、現場で大変御苦労をいただいている、遺棄された動物の拾得物についてのお尋ねをさせていただきます。

 これまでも、犬や猫に限らず、いろいろな種類の動物が拾得物として届けられているかというふうに思います。新聞紙上等では、それこそ外来種にも指定をされたカミツキガメなどが、拾得物と呼ぶには余りに似つかわないんですけれども、でも、残念ながら、持ち込まれたらそれは拾得物として扱われるのが警察の役目であろうかというふうに思います。

 こうした犬、猫以外の動物が拾得物として届けられた場合、それこそ初めて見る外来生物等々も出てこようかと思います。現場で御存じの状況が私には想像ができないんですけれども、どのような処置をされているのか。また、こうした動物の拾得物について、例えば種類別に件数の統計等々をデータとしてお持ちなのかどうか、お答えいただけませんでしょうか。

○荒木政府参考人 お答え申し上げます。

 拾得物として取り扱った動物の数や種類についての全国統計はとっておりません。県によっては統計をとっておりまして、参考までに神奈川県警察の例を申し上げますと、平成十五年中の統計でありますが、約三千五百匹の動物を拾得物として取り扱っておりまして、その内訳は、犬が約三千匹と最も多く、その他、猫、ウサギなどの哺乳類、インコやハトなどの鳥類、カメや蛇などの爬虫類も取り扱いをいたしております。

 動物が拾得物として届けられた場合におきましては、他の拾得物と同様でございますが、各警察署におきまして保管をし、落とし主、この場合は飼い主だと思いますが、これを調査して返還するように努めております。

 しかしながら、落とし主が見つからないような場合には、遺失物法あるいは動愛法等の規定に基づきまして、保健所あるいは動物園等に引き取ってもらっているというのが一般的であるというふうに承知をいたしております。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 神奈川県警は多分自分のところで勝手に調査をしているという言い方は大変失礼だと思うんですね。私自身も、神奈川県警でやっていらっしゃるんだったら、なぜ、これは全国でこうしたデータをおとりになられて、全国の動物遺棄、動物の拾得物としての数字を把握されようとされないのか、このあたりは非常に疑問に思うんですけれども。

 どうですか、何かやはり全国的にこういう数字は、今回の法改正も含めて見ていくと、やはり数字として一定ある方がいいというふうにお考えにはなられませんでしょうか、審議官。

○荒木政府参考人 遺失物法全体の問題なんですけれども、動物だけではなくて大変たくさんの遺失物を取り扱っておりまして、実は、それにつきましても全国的な統計というのは必ずしも十分ではないと考えておりまして、そういう全体的な問題であるというふうに存じております。

○田島(一)委員 動物だけをデータ化することは非常に今難しいという、そんな意味であろうかというふうに思いますが、全国のこうした動愛法の改正に伴った動きが、環境省等々だけにとどまらず、それこそ現場で大変御苦労をいただいているということも踏まえると、国民に広く終生飼養ということを訴える意味では、全国でこうした数字、捨てられようとしている、拾得物として飼い主から見放されているという数字を私はぜひ示していただきたいというふうに思います。

 警察の方で把握が難しいというお答えではありますけれども、何とかやはりこのあたりは努力をぜひしていただきたいと思います。当然減らすことが目的でありますので、その点についてはぜひとも御理解をいただくとともに、捨てることは犯罪であるという意識をしっかりと国民に周知徹底できるようお努めをいただきますように、心からお願いをしておきたいと思います。

 もう一点、警察庁には最後の質問なんですけれども、今回、虐待の定義というものは大きく拡大をするということはありませんでした。罰則の強化という点では、若干の違いといいますか、進展を盛り込むことができたというふうに思うんですけれども、これまでもほとんどその件数が少ないにもかかわらず、摘発であるとか立件ということができるのかどうか。

 虐待についてのいろいろな考え方、とらえ方の違いで、私たちも正直踏み込むべきかどうかという迷いもある中でありましたが、例えば、平成元年の四月十三日に、総管第一四七号、内閣総理大臣官房管理室長から、警察庁の保安部防犯企画課長あての照会回答というものがあります。飼育怠慢の一例としての照会に御回答をいただいているこのやりとりの中を見ても、適切な治療行為を施さずに死なせたような不作為のケースについても、やはりしっかりと取り締まっていただかなければ、このような解釈があいまいなままで無残に命をなくしてしまうようなことにつながるのでは、いかがなものかというふうにも思います。

 こうした点での厳しい取り締まりを何とぞお願いを申し上げたいと思うんですけれども、どのようにお考えか、最後にお聞かせいただけませんでしょうか。

○荒木政府参考人 適切な治療を施さずに放置したことによりまして死亡させた事案そのものではございませんけれども、昨年中、ペットショップの経営者が犬にえさや水を与えず死亡させた事案、あるいは、養鶏場の経営者が、経営不振のために鶏にえさを与えることができずに餓死をさせた事案などを動物愛護法違反として検挙した事例がございます。

 お尋ねのような適切な治療が行われず死亡させた事案がもしあれば、都道府県警察におきまして、法に基づいて厳正な対処がなされるものと認識をいたしております。

○田島(一)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、愛護動物の範囲についてお尋ねをしたいと思います。

 一九九九年のこの附帯決議をひもときますと、熱帯魚などの観賞魚も含めるということを検討するというふうにありました。しかし、残念ながら、今回、検討をしたにもかかわらず、愛護動物の範囲の中には熱帯魚などの観賞魚を含めることは見送りとなりました。

 御承知のように、全国に広がって、瞬く間にコイの養殖に大打撃を与えてしまったコイヘルペス、ある説には観賞用に海外から輸入されたペット用観賞魚が原因ではないかという、そんな説も出てきております。また、つい最近では、皇居のお堀のコイがコイヘルペスで大量に死んだというニュースも、恐らく皆さん御存じだというふうに思います。

 愛護動物は、もちろん皆さんも御承知の目的のものでありますけれども、遺棄を禁止する、終生飼養をするという動物が大前提でありますので、こうした愛護動物の対象とする範囲の拡大も、もちろん次の課題として検討に入っていかなければならないというふうにも考えます。しかし、こうした、先ほど申し上げたコイヘルペスの由来等々を考えると、やはりこの範疇はもう少し拡大をしていくべきではないかなと私自身思いながら、実際、環境省として、この動愛法に基づく愛護動物の範囲、いかにあるべきというふうにお考えか、お答えいただけませんでしょうか。

○小野寺政府参考人 今回御提案の改正案では、委員御指摘のとおり、取り扱いの範囲は今までどおりでありまして、哺乳類、鳥類、爬虫類ということになっております。熱帯魚、コイを含めた観賞魚については対象になっておりませんので、罰則の適用とか遺棄の禁止とか、あるいは飼養保管の基準をつくるというわけにはいきません。

 それは法律的な考えでありますが、ペット、動物愛護の精神というのは、要するに、対象であるか否かということにかかわらず、生きているものをどう大事にしていくか、つき合うかということであると思いますので、直接的な対応は難しいかと思いますが、例えば、犬、猫なりペットを通じて、広く、命のある、魚も含めたものについてどういう気持ちを持って接するか、取り扱うかということについては、広めの普及啓発ができるように何か工夫をしてまいりたいと思います。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 その工夫に期待を寄せたいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、それも含めて、終生飼養についての質問に入らせていただきたいと思います。

 終生飼養、今さら改めて私が解説するまでもなく、いわゆるやむを得ない事態として、所有権の放棄に伴う緊急避難措置として、犬及び猫の引き取りという措置が位置づけられているわけであります。猫の引き取り、そして殺処分数が前回の法改正以降も一向に減少をしていないというのは数字が物語っていますが、こうした現状を深刻にとらえながら、引き取りのあり方について、やはり引き続き検討を行っていかなければならないと思います。

 また、あわせて、都道府県と、それからNPOが適切かどうかも含め、協力をいただきながら、新たな飼養希望者を募っていくであるとか、可能な限り殺処分の数を減らしていくということが何より大切ではないかなというふうに思うわけであります。

 こうした中で、国がどのような支援を各都道府県等にすることができるのか、この辺が大きな課題であろうかなというふうに思います。殺処分の減少を図るための取り組みについて、環境省としての考え方、そして引き取りのあり方について、具体的な検討、どのようにお考えでありますか、お尋ねをいたします。

○小野寺政府参考人 御指摘のとおり、犬については減っておりますが、猫については横ばいないし微増という結果になっております。

 この原因は、恐らく、犬は鎖あるいは室内で飼われるにもかかわらず、猫に関しては、野良猫あるいは時々えさをやるだけの事実上の野良猫というのが外で繁殖をしているというのが一番大きな原因じゃないかというふうに思います。

 したがって、引き取り数、結局殺処分されるわけですけれども、その減少のためには、不妊去勢等の手術などをどう広げていくかということになると思いますし、おかしな飼い方をしないように、地域というか一人一人がどう考えるかということが重要だというふうに考えております。

 今一部着手もしておりますが、御指摘のように、確保した野良猫その他について里親探しみたいなことを、都道府県と相談しながら、とりあえず、ことしやりたいと思っているのは、インターネットで情報ネットワークを整備して、もうちょっと広めに手配をするといいますか、情報交換をするようなことを今始めたところでありますし、また、改正の法律で、基本方針を国がつくって、都道府県がそれに基づいて愛護の推進計画をつくるということになっております。

 既につくったところなどを見ますと、殺処分数、捕獲数の減少に向けてというようなことを、定量的な数字を挙げているところもあるようでありますので、これから基本方針を決定するわけですけれども、その辺の目標のつくり方についても考えてまいりたいと思っております。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 ぜひ方針の中にしっかりと盛り込んでいただくようにお願いをさせていただきたいと思います。

 きょうはこの委員会に文科省そして厚労省からもお越しをいただきました。ありがとうございます。両省には実験動物についてのお尋ねをさせていただきたいと思います。

 既に今回衆議院を通過したわけですけれども、現行法のレベルで申し上げますと、動物実験を行う場合にはできるだけ苦痛を与えないようにしなければならないという義務規定が定められているわけですけれども、努力規定というものは努力目標のようなもので、実際の状況というのはなかなかわかりにくいのが実態ではないかというふうに思います。実際にどのような実施をされているのか、これを確認する方法というのがあるのかどうか。例えば、動物実験の計画書の中に、苦痛を軽減させる、そんな措置について書くことを条件として盛り込むとか、そういったことを求めているのかどうか、まず文科省にお尋ねいたします。

○小田政府参考人 お答え申し上げます。

 まずその前に、実験動物の適正な取り扱いについての文部科学省の取り組みについて、ちょっと手短に御説明させていただきます。

 まず、一九八〇年に、日本学術会議が自主的、自律的な取り組みということで動物実験のガイドラインということを策定いたしまして、これを踏まえて文部科学省が、一九八七年に局長通達で、大学等に対して、実験のいわゆるガイドラインといったようなものを通知しております。

 その中で、動物愛護法の二十四条の第三項に基づいた基準、こういったものをまず遵守、これはもうもちろん遵守するということと、以下、その次が大事なわけでございますが、各研究機関に動物実験の指針をつくる、指針をつくって、さらにそれを審査する、先ほど先生もおっしゃいました、実験計画を審査する動物実験委員会の設置などの整備をする、そういった仕組みを設けるよう求めているところでございます。

 現に、こういったものに基づきまして、各研究機関に設置された委員会で適切な動物実験が実施されているというふうに我々は認識しておりますが、先生今御指摘の苦痛を与えない方法について、局長通知の中におきまして、留意すべき点ということで、実験操作により動物に無用な苦痛を与えないよう配慮すべきだといった旨が明記されております。

 具体的には、今、国立大学法人動物実験施設協議会などにおきましては、米国とかカナダの研究所を中心にまとめた五段階の動物実験処置における苦痛評価といったものを作成しておりまして、その苦痛分類に関する解説なども作成して、それに応じて、各機関ではこの解説を参考にして、自分の動物実験計画書に苦痛の程度を記述し、その審査を受けているといったふうなことを承知しております。

○田島(一)委員 ぜひ、これは全国的な取り組みとしてやはりきちっとうたっていくことが大切だろうなというふうに思います。

 こうした学術会議の御努力もしっかりと踏まえながら、また、漏れなくきちっと、こうした苦痛を与えないという取り組みがわかりやすく示せるような、そんな形をぜひこれからもお取り組みいただくように、御指導をぜひお願いしたいと思います。

 今回の改正案の中で、初めて動物福祉の三原則、三Rを明記させていただき、そのうちの二Rについては配慮事項ということになったわけなんですけれども、今後、この周知徹底についてどのように取り組まれるのか。やはり現場で生かしていって初めてこの改正が生きてくるというふうに思うんですけれども、文科省としてどのようなお取り組みをされようとしているのか、お答えをお願いいたします。

○小田政府参考人 ただいまの、衆議院において可決されましたこの改正案につきまして、文部科学省といたしましては、動物実験については、人の健康、安全、医療の向上と密接不可分、ライフサイエンス研究に必要不可欠なものだと思っておりまして、今回の改正の趣旨を踏まえまして、引き続きさらに適切に実施されるべきものと考えております。

 そのために、まず法律全体の周知徹底、これは環境省において行われるものだと思っておりますが、我々も環境省と相談しながら、文部科学省としても、所管する研究機関等に対しまして、動物実験が適切に実施されるといったことの大切さ、それから、二Rの趣旨を含めまして、実験動物に関する内容について、先ほど述べました国立大学だとか公立大学等いろいろな関係の機関がございまして、そういった団体、機関などを通じて情報提供するなど、周知徹底に協力してまいりたいと思っております。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。

 この動物実験に関してなんですけれども、やはり全国統一のガイドラインというものが必要になってくるかと思います。このガイドラインの策定についてのお考え、予定についてはお持ちなのかどうか、お聞かせいただけませんでしょうか。

○小田政府参考人 ただいまの統一的なガイドラインの策定の必要性についての御質問でございます。

 この関係につきましては、関係団体等で動物実験の自主自律性に基づく自主管理のあり方といったものの検討をされておりますが、そういった状況を踏まえつつ、文部科学省としては、法律改正後速やかに、文部科学省の審議会の中に検討会を立ち上げて、指針策定といったこと、適切な対応について検討していくこととしております。

 具体的なスケジュールといったものにつきましては、環境省などの関係省庁と相談しながら進めてまいりたいと思っております。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、御答弁にありました前向きな姿勢でお取り組みをいただき、何としてもこの動物実験に関する規制のレベルが全国で統一できるような、そんなお取り組みを何とぞよろしくお願いをいたします。

 さて、厚労省さんにまずお尋ねをしたいんですけれども、動物実験施設のように大量ないろいろな種類の動物を飼育している施設というのは恐らく数多くあって、そこそこ承知をしていただいているんだろうというふうに思いますが、こうした動物が飼育をされている中で、いろいろな問題が発生するのではないかと考えます。公衆衛生の問題、感染症の問題、それぞれ縦割りの法律があるわけでありますけれども、こうした問題の発生と、その実験動物が何を目的に飼育されているのかということを考えると、例えば、毒物、劇物もそうでしょうし、感染性の微生物やウイルス、それから放射線の実験等にも使われている例はあろうかというふうにも思います。

 ただ、こうした動物が、さまざまなウイルスや感染症、公衆衛生というような観点から見たとき、やはり一番心配しなければならないのは、こうした動物の管理がしっかりできているのかどうかという点であり、とりわけ、その地域の皆さんに心配を与えるのは、災害が起こったときの問題であろうかというふうに思います。

 このところ、本当に地震や風水害が後を絶たない、予期せずに発生をしている状況等を考えると、こうした動物実験施設がその被害に見舞われることも想像はたやすく、また、その動物の離散等々、そういった問題点等も考えると、地域の行政というものが、その実験施設の所在であるとか、またその内容、それこそ企業秘密という問題がありますから、すべてを明らかにするという点は難しいかもしれませんが、地域に安心を与えるという点では、一定のレベルまで実験の内容というものを把握しておくべきではないかというふうに思うんですけれども、現状と照らし合わせながら、どのようにお考えか、お答えいただけませんでしょうか。

○松谷政府参考人 お答え申し上げます。

 震災などの場合を含めまして、その管理がどうなっているかということでございますが、万一漏出した場合などに健康に危害を及ぼす可能性がある物質の取り扱いにつきましては、それぞれの物質の性質などに応じまして、法令等により規定されておるところでございまして、こうした規定の中で、地方自治体の関与などについても規定されておるところでございます。例えば毒物、劇物、御指摘ございましたが、これにつきましては、毒物及び劇物取締法によりまして、毒物、劇物を販売する場合に都道府県知事に登録を行うこと、また、著しく毒性を有する毒物につきましては、研究に際して都道府県知事の許可を得ることが義務づけられているところでございます。

 今後とも、こうした地方自治体の関与の問題につきましては、引き続き、物質の特性等、放射性物質等もございますが、これに応じまして適切に対応してまいりたいと思っております。

 なお、病原性微生物等も大いに関係するところでございますが、これにつきましては、国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部におきまして昨年の十二月に取りまとめられました「テロの未然防止に関する行動計画」の中で、厚生労働省におきましても、関係省庁とともに、当面の措置といたしまして、人の生命、身体に危害を及ぼすおそれのある病原性微生物等を保有する施設に対して、保有している病原性微生物等の種類及び保管方法を国に対して定期的に届け出るよう指導するなどとされてございまして、その趣旨に沿いまして適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 そういうようなことを考えていくと、この動物実験施設というものを、いずれはやはり届け出制等々を視野に入れていかなければいけないんだろうかというふうに思うわけであります。安心、安全というものを一定、皆さんにしっかりとお示しをしていく、そのことを担保にとる方法がやはり必要ではないかと考えるんですけれども、動物実験施設の届け出制ということについて、それこそ文科さんも厚労さんもかかわっているんですけれども、それぞれどのようにお考えか、お答えをいただけませんでしょうか。

○小田政府参考人 先ほどの厚生労働省からのお話にございましたように、実験施設等につきましては、それぞれの関係法令に基づきまして、きちっと安全確保のための取り組みがなされているというふうに我々は思っております。

 それから、特に文部科学省は、今、一部所管しております遺伝子組み換え生物といったような問題等についても、しっかり生物の多様性の確保を図るということから、法律に基づきましてあらかじめ定められた拡散防止措置をとる義務を課すといったことによって安全性の確保を図るといったことで、所要の措置が盛り込まれていると考えているわけであります。

 ただ、先生おっしゃるような大学等における研究活動につきましては、そういった危機管理の観点もございますし、また、地域の方々にこうした研究を理解していただくといったことも大事だと考えております。そういった観点から、先ほどの遺伝子の組み換えの実験に対する動物の拡散防止に関する取り組みなどについても、そういった地域に対する情報提供といったものも各機関において努力していただくことが大切だと我々は考えております。

 それから、先ほどの届け出制ということにつきましては、こういった点については、まさに国会の中で専門家に御議論していただくものではないかと考えてございます。
 以上でございます。

○松谷政府参考人 届け出の関係でございますけれども、先ほど申し上げましたように、危険なもの、例えば毒物、劇物、あるいは放射性の物質、あるいは病原性の微生物等につきましては、それぞれ物質の特性等に応じまして対応をするということでやってきてございます。

 ただし、テロ対策等、先ほど申しましたように、特に病原性微生物については、漏れた後の広がり等もございますので、新たに適切な届け出等の指導を考えてまいりたいと思っておるところでございます。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 ぜひ適切にお取り組みをいただきたい。これは強く要望しておくしかありませんが、ぜひよろしくお願いをいたします。

 さて、時間も迫ってまいりました。基本指針についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今回の動愛法改正の中では、一応、国が基本指針を定めて、そして都道府県がそれに基づいた形で基本計画を立てるということにさせていただきました。現状でも、動物管理の条例を持たない、そんな都道府県も非常に多い中で、動物行政については非常に地域間格差というものが大きい。それだけに、全国的に動物行政を向上させるという点では一定の効果を上げるであろうというふうに考えているわけであります。

 ここで、この基本指針の対象となる動物、すべて飼育動物なんですが、当然のことながら、基準のある実験動物、それから畜産動物というものも含まれるはずであろうと考えます。それであるならば、実験動物であるとか産業動物の福祉という観点も決して見過ごすわけにはいかないというふうに考えます。実験動物の福祉、そして産業動物の福祉の向上についてどのような取り組みを考えるかについてお尋ねしたいのが一点。

 そしてもう一点は、一例なんですけれども、東京都の動物愛護推進総合基本計画、ハルスプランですけれども、これは、施策の取り組み方針ということで、人材の育成や、動物に関する諸施策の連携、科学的根拠に基づく事業の展開といった具体的なものを挙げていただいております。非常に充実した中身を先進的にやっていただいているわけなんですけれども、この基本指針を策定するに当たって、どのような考え方で当たろうとお考えなのか、お答えをお願いいたします。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

○小池国務大臣 基本指針を策定するに当たっての方針はどんなものかという御質問でございます。

 今回、動物の愛護と管理に関しての施策を総合的に推進していくということで、まさに環境大臣が定めることとなっているものでございます。

 そして、その中で、人と動物との共生を目指すという我が国の動物愛護管理行政の基本的な方向性を示すことになるわけでございまして、今の御質問にもございましたが、その対象としましては、愛玩動物を中心として、実験動物、そして畜産、いわゆる産業動物をも含むものと理解をしております。

 環境省として、この基本指針には、虐待の防止、犬、猫の殺処分数を減らすという観点からも愛護の推進を図ること、そして、かみつきとかの事故、鳴き声、においなどの迷惑防止に関する事項などを初めとして、幅広く具体的に盛り込んでいく考えでございます。
 また、基本指針の策定に当たっては、東京都など、今御紹介ございましたような例も十分参考にしながら、広く関係者の御意見も伺った上で、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

○田島(一)委員 ありがとうございます。

 議員立法というのは、当局も扱い方が非常に悩ましい部分が多分あるのではないかというふうにも思います。しかし、どこにポイントを置き改正をしたのかという点は、恐らく環境省も、また関係する省庁もそれぞれ把握をしていただいているものというふうに思うわけであります。

 しかし、これが本当に実効性を上げるかどうかはすべて人にかかわってくる、このことは先ほども申し上げたわけですけれども、人と動物のかかわりの問題は、もはや飼い主とその地域だけに限定せず、社会全般に及んできているということを考えると、ある意味では、動物取扱業者にかかわることも、また危険動物や実験動物等にかかわることも社会問題として見てきたとき、この取り組みに一番大事な人材がどのようにして育成をしていくのかという点であります。

 今回、動物愛護推進員という規定を設けさせていただいたわけでありますが、もう少し欲を出していろいろな活動の分野を展開したかったところではありますけれども、今回は犬、猫の譲渡などに一定の限定をさせたスタートとさせていただきました。しかし、この先は、ますますこの動物愛護推進員の活動の分野、また場を幅広く持っていかなければならないと考えますし、その専門的な知識も向上させる、また人材育成をしっかりと果たしていくということを考えると、かなり大きなかぎを握る分野ではないかなというふうに思います。

 この人材育成について、まとめも含めまして、ぜひ大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

○小野寺政府参考人 御指摘のとおり、動物愛護推進員を含めたボランティア、民間の協力というのは極めて大事だというふうに思います。

 現在、まだ各都道府県で十分とは言えないと思います。我々も、研修、データベース、その他、いろいろなマニュアルをつくったり、協力していきたいというふうに思っております。努力していきます。

 さらに、どうも先進的な事例を見ていると、推進員の確保、増加について定量的な目標を掲げているということもあるようでございますので、都道府県との相談でありますけれども、我々が基本指針をつくる際に、その辺のことも頭に置いて、何とか期待にこたえられるように頑張りたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○田島(一)委員 ありがとうございました。

 せっかくきょうは副大臣も、また政務官もいらっしゃるのに質問もできていなかったので大変申しわけないのですが、最後、せっかくですから、今回のこの動愛法改正についてのお考え、そして、私は、やはり動物というものは命あるものだという視点を決して忘れてはならない、そんな思いを持ちながら今回のこの改正に当たらせてもらってきた一人であります。

 そのあたり、今後、まだ先の取り組みで、御指示をいただかなければならない、リーダーシップを発揮していただかなければならない立場なのですが、副大臣そして政務官、それぞれお考え、所見としてお聞かせをぜひいただけませんでしょうか。

○高野副大臣 人間には人間の尊厳があるように、動物にも動物の尊厳があると思っておりまして、生命の尊厳、そういうものを、動物を愛護することによって情操教育も養っていきながら、生命の尊重というのを学んでいくということは、非常に重要ではないかと思っておりまして、虐待の問題とか、あるいは遺棄のいろいろな問題があります。そういう問題についても、環境省としましては適切に対応していきたいと思います。

 一つ、つい最近ラジオで聞いた話なんですが、外国人の動物愛護にかかわっている市民活動家が、日本人は十年とか十五年、一生懸命猫や犬をかわいがって、しかし、最後は保健所へ持っていっちゃう、あるいは捨ててしまう、これはどうも信じられないというようなことを言っておりまして、動物の福祉というのも重要ではないかということを指摘しておりました。

 そういう点も含めて、いろいろまだ残された点はあるかと思いますが、これも我々としては十分に検討を加えながら、適切に対応したいと思っております。

○能勢大臣政務官 動物愛護管理法改正に当たりまして、改めて、これだけの深い意味があること、改正することによって出ること、そして先生の質問によってより深くこの中身が深まってまいったと思っております。この法が国民の皆様からしっかり根づいて適用されますことを期待いたしております。

 この決まった後の質問一時間は大変有意義だったと思っておりますので、ありがとうございました。

○田島(一)委員 ありがとうございました。
 これで終わらせていただきます。

○小沢委員長 次に、石田祝稔君。

○石田(祝)委員 まず、質問に先立ちまして申し上げたいと思います。

 先ほど、衆議院の本会議において委員長提案により全会一致で可決されました動物愛護管理法の改正案について一言申し上げます。

 本改正案は、各党がさまざまな関係者との間で熱心な意見交換を通じて取りまとめられたものと承知しております。我が党も、ペット業界、愛護団体、動物実験を行う研究者など、多くの関係者の御意見をお聞かせいただき、公明党としての考えを集約してまいりました。御協力をくださった関係者の方々には厚く御礼申し上げる次第であります。

 改正案の内容ですが、動物愛護管理施策のグランドデザインを定める基本指針や動物愛護管理推進計画の作成を法律上位置づけたほか、動物取扱業の適正化を実現するための登録制の導入、また危険な動物にかかわる取り扱い規制の全国一律化、実験動物の福祉の原則である苦痛の軽減、リファインメント、代替法の活用、リプレースメント、使用数の減少、リダクションの三原則の明示など、非常に盛りだくさんな内容になっております。これらはどれ一つをとってみても動物愛護管理の推進上極めて重要なものばかりですが、時間の関係もありますので、私としては、特に実験動物の福祉の原則であるスリーRの原則を我が国で初めて法律上に明確に規定したことについて一言申し上げたいと思います。

 このスリーRの原則規定については、動物の福祉向上と科学の振興という、時に相対立するけれども、ともに重要である要請に適切にこたえるものとして、関係者から高い評価を得ているものと承知しています。研究者の方々、文部科学省等の関係省等とは幾度となく熱心な意見交換をさせていただきました。おかげさまで、その結果を十二分に反映した内容になったと自負しております。また、法案が成立した暁には、文部科学省等においては統一ガイドラインの策定に向けてもう一頑張りしていただきたいと思っております。

 先ほど申し上げましたように、本法案は各党がそれぞれに汗をかいて取りまとめた全会派一致の法案であります。愛護団体、ペット業界、動物実験を行う研究者等の関係者の御要望にこたえるためにも、全会派の一致協力のもとでの一刻も早い成立がなされるように期待しているところであります。このことにつきまして、通告はいたしておりませんが、大臣から御感想がありましたら、一言お願いいたします。

○小池国務大臣 この後、スリーRイニシアチブの御質問があるということでございますが、その前に動物愛護法に関してのスリーRの御質問と申しましょうか、この法律に対する思いをお聞きなのだと思います。

 基本的に、動物愛護にかけるということは、先ほど副大臣もお答えになりました命の尊厳ということで、私たち人間が何ができるのか、そして動物たちとどのように共生していくのかという大きな流れがあるものと思います。

 ドイツでは動物愛護のために憲法まで変えるというような話もあるわけでございますので、こういった動物愛護の精神が、皆様方の御努力によって、より太く、そして大きく深められたこと、大変意義深いものと思っております。

 成立いたしました後には、環境省といたしまして、適切な法の運用が図れますように、また周知徹底も図ってまいりたいと考えております。

○石田(祝)委員 今大臣が、いみじくもドイツのことをおっしゃいましたので。

 今私たちも、いわゆる環境権というものをどのように憲法で位置づけられているか、こういうことも、ずっと各国のものを研究しているんですけれども、おっしゃるように、ドイツでは動物という言葉が明確に入ってきている。こういうことも、これからの憲法の改正論議の中で、特に環境の部門として、ただ人間にとっての環境ということなのか、いわゆる人間を含めた全体としての環境というとらえ方をするのか、私は大変大事な観点も含まれているのではないかと。

 ですから、これが動物愛護管理法という法律の中だけではなくて、もっと広く、いわゆる憲法という最も大事な法体系の中心にあるものにそういう動物というものも書かれていっている。これが世界の、ドイツというところでありますけれども、間違いない事実でありますので、日本としても、この動物という観点で考えても、同じく共生をしていく存在である、こういうことも考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに、今回の改正案のいろいろな作業を通して、私も痛切に感じております。

(以下略)

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