平成17年 動物愛護法改正後、ガイドライン策定などについて
※動物愛護法改正後のガイドライン作成などについて、高木美智代議員の質疑より。
第163回国会 衆議院環境委員会 2号 平成17年10月14日
(前略)
○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。
私の方からは、二点お伺いをさせていただきたいと思っております。一つは、去る六月、議員立法によります改正動物愛護管理法が成立をいたしましたが、この中の動物実験につきまして。あと、限られたお時間ですけれども、先ほど来お話のありましたアスベスト問題について質問をさせていただきたいと思っております。
まず初めに、この改正動物愛護管理法につきましては、今回、動物実験につきまして、既に国際的に普及、定着しておりますスリーR原則、代替、削減、そして苦痛の軽減、この原則が明記されましたことは、関係者の方たちの長年の御努力が実ったものと賛同の声をいただいております。
実は、この改正法につきまして、取りまとめに、各党の委員長また座長の方たち、ともに協議をして迎えております。ただ、今回、この総選挙におきましてその方たちが大変残念な結果に終わってしまいまして、残った公明党の座長を務めた私の、これは今後の議員としての責任と思いまして、きょう、このことにつきまして質問をさせていただきたいと思っております。
この動物実験につきましては、私は、科学技術向上のためにも、そしてまた、人間の健康、疾病問題の解決のためにも必要であると認識をしております。
ただ、今、我が国におきまして、動物実験に関する自主管理体制は、実はすぐれた形で有効に機能しておりまして、欧米と同様の基準で行われていると思っております。しかしながら、全国的に統一されたガイドラインを持たない今の方式は、日本に動物実験の規制がない、こういう誤解を国内外に与えております。
また、自主管理の客観性と透明性を担保する仕組みがない、こういったことによりまして、一般的な理解を得られにくいという状況がありまして、自主管理体制の体系化が待たれるところでございます。
今回のこの法文にも五年後の見直しを盛り込ませていただきましたが、次の法改正では、こうした動物実験に関する統一ガイドラインができたのかどうか、そして、それを守らせるための第三者評価機関はどうなったのか、恐らくこの点が問われることは間違いないと認識をしております。
今後も日本が科学技術立国として世界に誇れる存在であり続けるためにも、その根幹となる動物実験の管理体制を明確にしまして、社会的理解を促進してまいりたいと念願をしている一人でございます。
そこで、まず最初に、動物実験ガイドラインづくりの進捗状況について、まず環境省にお伺いをさせていただきたいと思います。
○南川政府参考人 現状についてお答えいたします。
高木先生御指摘のとおり、先般の国会の法改正によりまして、欧米と同様の原則が示されたわけでございます。それを踏まえまして、自主管理を基本とした実験動物の福祉向上の仕組みづくりというものを現在急いでおります。具体的には、十月三日に専門家から成る小委員会を発足させまして、来年春を目途に取りまとめたいということで作業をしております。
その中で、例えばでございますけれども、動物を保管するについて、施設については、例えば広さ、温度などの環境の設定をどうするか、あるいは衛生的、安全な構造をどう確保するかとか、また、輸送時における休息時間の確保とか温度管理、そういったことを含めて広範な検討を行い、我が国の動物実験の仕組みづくりを確立したいと考えておるところでございます。
○高木(美)委員 続きまして、文科省にお伺いをさせていただきます。
こうした実験の適正化のための統一ガイドライン作成に向けての進捗状況をお伺いしたいと思います。さらに、第三者評価機関につきまして、これからどのように実現を目指していかれるのか。法施行が来年六月でございますので、そこを目指してどのような方向性をお持ちか、また、次の法改正を目指してどのような方向性をお持ちか、その認識をお伺いしたいと思います。
○清水政府参考人 先生御指摘いただきましたように、動物実験は、人の健康、安全の確保、医療の向上と密接不可分な、そういう意味でのライフサイエンス研究の進展にとって必要不可欠なものであります。そういう意味で、引き続き適正な動物実験が実施されることは極めて重要であるというふうに考えております。
文部科学省におきましては、動物愛護法の改正を踏まえ、この六月に大学等における動物実験の適正な実施に向けて基本的な指針、ガイドラインを策定するために専門家を集めた作業部会を設置したところでございます。
現在、既に二回ほど検討は行われておりますが、新たに加えられた、この改正の趣旨としての実験動物の福祉に関するスリーRの理念を踏まえた適正な動物実験のあり方等について、関係団体等の意見を聞くなどして検討を進めているところでございます。
御指摘の評価システムのあり方についても、当然、この中の重要な論点であるというふうに認識しておりまして、作業部会において今後検討されることになるものというふうに考えております。
私どもとしても、環境省等の関係省庁とも連携しながら、また、広く社会の御意見も伺いながら、その指針づくりを進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○高木(美)委員 今回のこのスリーR原則が明記されましたことにつきましては、清水局長、大変な御尽力をいただきまして、このような形になりましたことを、この場をおかりしましてお礼を申し上げたいと思っております。
今お話ありましたこの評価システム、やはりここまで踏み込んでもう一頑張りしていただきませんと、恐らく、このスリーR原則、せっかく盛り込んだというこれが絵にかいたもちで終わってしまうという嫌いを私は大変感じております。
ぜひとも、今後とも御努力をお願いしたいと思っております。一言、御決意をお話しいただければと思います。
○清水政府参考人 適正なガイドラインの作成に向けて全力を挙げてまいりますので、どうぞよろしく御理解、御支援のほどお願い申し上げます。
○高木(美)委員 ありがとうございました。さらに評価システムもよろしくお願いいたします。
こうした動きに対しまして、厚生労働省がどのような方向性をお考えなのか、製薬業界の実験施設等につきましてどのようにお考えか、その御認識を厚生労働省にお伺いをいたします。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省におきましても、環境省で検討されている基準や文部科学省において策定されております指針を踏まえまして、法改正の趣旨にのっとった適切な動物実験が行われるよう十分周知を図ってまいりたいと考えております。
その際には、ただいま委員からも御指摘をいただきましたし、それから、日本学術会議からも、国内で統一された動物実験ガイドラインの策定という御提言をいただいておるところでございます。関係省庁間でよく連携して、現場が困ることのない整合性のとれた対応ができるようにしていきたいと考えております。
なお、製薬業界におきましても同様に、今般の法改正の趣旨にのっとった適切な動物実験が行われるよう十分周知してまいりたいと思います。
○高木(美)委員 今の審議官の御答弁につきましては、これはこちらの認識として、環境省そしてまた文部科学省それぞれに今ガイドラインづくり等々尽力をされているわけですけれども、それが明確に発表になったときには、それに準ずる形で厚生労働省もその基準等をともに守る、このようにおっしゃったものと認識させていただいてよろしいでしょうか。
○外口政府参考人 具体的にどのような形式になるかは関係省庁間でよく詰めさせていただきますけれども、少なくとも、現場レベルにおいては、統一されたガイドラインができてきたと受けとめられるように努力してまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 ありがとうございます。大事なことでございますので、ぜひとも各省連携をとられまして取り組んでいただきたいことをお願いを申し上げます。
(以下略)