平成17年 輸入届出制度で実験動物に特別扱いを求めている
※動物の輸入届出制度で野生のげっ歯類は輸入禁止、繁殖されたものにも輸入規制がかかりましたが、実験用については特別扱いが認められてしまいました。国会でも、そのような要求がなされていました。
第162回国会 参議院厚生労働委員会 3号 平成17年03月15日
○足立信也君 (中略)
次は、日本へ入国する今度は動物の問題です。一昨年に改正されて今年の九月施行の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律についてです。
この改正で創設された動物の輸入届出制度が今全国の基礎医学者、医学研究者の間で大変な問題になっています。簡単に申しますと、この制度は、哺乳類、鳥類などを始めすべて対象として、輸入の際には感染症にかかっていない旨を示した輸出国政府発行の証明書、輸出国政府発行の証明書の提出を義務付けるものです。感染症予防のためには大切な制度だと思いますが、実験動物の輸入に関しては問題が生じています。三月十二日の朝日新聞の夕刊にもう報道されましたけれども、原因の究明やあるいは治療法の開発、創薬、そういったことに対して動物実験は非常に重要です。そして、私も当然動物実験やっておりましたが、今や世界じゅうの最先端の研究者同士が、互いの研究に資するために、それぞれの研究成果を反映した、トランスジェニックマウスですね、を融通し合うことが普通行われています。そのとき重要なのはマウスをやり取りするスピードなんですね。マウスは三週間で、マウスというのはハツカネズミですね、三週間で出産します。そして、三週間で離乳が終わって、そのときから実験ができるようになるわけですね。実験に用いられます。このタイミングが重要なんですね。三週間しかないということなんです。この法律が施行されることによって輸入手続に時間が取られてしまうと、全国で行われている先端的医学研究が一斉に滞ってしまう、そういう危険性があるんです。
厚生労働省としてこの問題にどのように対処しているか。これは昨年来、私も何度かこのままでは大変なことになるよという話はしておりますので、対処されていると思いますが、九月の法施行時までにどのようなスケジュールで臨んでいるか、教えてください。
○政府参考人(田中慶司君) 御指摘の制度でございますけれども、感染症を人に感染させるおそれのある動物の侵入を防止するという目的で、感染症法に基づきまして、輸入のときに動物の数量等を厚生労働大臣に届け出るとともに、輸出国政府機関が発行しました衛生証明書を提示するというものでございます。本年九月に施行されることになっております。
この制度は、感染症の侵入の防止の観点から、実験動物ではあってもその対象としております。しかし、定期的な微生物モニタリングが実施されているなど通常以上に高度な衛生管理がされている実験動物につきましては、円滑な輸入が可能となりますように衛生証明書の発行方法等につきまして検討しているところでございます。医学研究等に支障が出ないように準備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○足立信也君 今、要約いたしますと、高度な衛生管理をやっているところに対しては何らかの措置を講ずるというか考えるということだったと思いますが、じゃ、現状、今どうかといいますと、国内外の動物実験施設は確かに検体検査を含むもっと高度な衛生管理を行っていて、なおかつ施設の獣医師が発行した衛生証明書を添えて輸出しているんです。何よりも、実験が適切に行われているか、あるいは実験結果が本当に正当なものであるか。一番大事なのは感染なんですね。感染があったらだれも信じられる結果ではないし、それはもう国内外を問わず認められないことなんですね。だからこそ、動物実験センターは検体検査を含む高度で本当に厳格な万全の体制で感染対策を行っているんです。
しかしながら、この秋に先ほどおっしゃいました施行される感染症予防法では、どうやってそれを証明するかということに関しては、感染症状がないというあいまいな、そんなあいまいな証明を政府に出してもらおうとしているんですね。BSEの問題で全頭検査をしないで、歩かせてこれは大丈夫と言っているのとほとんど同じことですね。
幸いにも、アメリカやあるいはEUでは、政府がしっかり関与した形で実験動物施設の高度な衛生管理ができているんですね。ですから、その仕組みをちゃんと利用して、やっぱりスピードが第一ですから、迅速な輸入手続ができる体制を何としても九月までにつくり上げていただいて、獣医師が発行した、きちんとした検体検査に基づいた衛生の証明書、これを、あいまいな、ただ臨床症状がないという政府が発行する証明書よりはるかにもう、はるかに精度の高い証明書を何とか活用するように、それを是非お願いしたいと思います。
(以下略)