アメリカ
日本の研究者は「日本もアメリカ式の自主規制で」と言っていますが、アメリカにも、EUほど強い規制ではありませんが、動物実験施設の登録制が存在します。これは、家庭で飼育されている犬が盗まれ動物実験に使われていることが問題になり、1966年に成立した動物福祉法(Animal Welfare Act)において定められています。
連邦動物福祉法は、ほかに展示業者・販売業者を許可制としていますが、いわゆる家庭動物の保護についての規定はほとんどなく、いわゆる動物虐待罪などは州法などによって個別に規定されています。
一方、動物実験施設は州法ではなく連邦法で規制を受けています。動物福祉法成立の事情からしても、実験動物の取り扱いが日本と同じような状態ではないのは明らかです。この法律の中で、動物実験施設は登録制となっており、農務省による年1回の査察や年次報告などが義務付けられています。担当部局は、動植物検疫局です。
ただし、アメリカの動物福祉法は、実験用のマウス・ラット・鳥類を対象から外していることが大きな問題で、このことについての、保護団体による訴訟の歴史などはこちらをご覧ください。
動物実験については、もう一つ、NIH(国立衛生研究所)の研究費を受ける場合に限り、保健福祉省公衆衛生局
(Public Health Service:PHS)による「実験動物の人道的ケア及び使用に関するPHS方針」(the PHS Policy
on Humane Care and Use of Laboratory Animals:PHS方針)を守らなければならないことになっています。こちらは、マウス・ラットもカバーするものです。
アメリカ農務省:動物福祉法(Animal Welfare Act)に関するページ
- 動物福祉法に基づく研究施設の査察基準:
“Animal Care Inspection Guide” 第7章
以前使われていた“Research Facility Inspection Guide”は、2012年3月より新たに“Animal Care Inspection Guide”にまとめられました。 - IACUC(動物実験委員会)チェックリスト:
“Institutional Animal Care and Use Committee (IACUC) Guidlines” - 研究施設向け動物福祉法Q&A:
Questions and Answers about the Animal Welfare Act and Its Regulations for Biomedical Research Institutions
- 動物福祉情報センター:
Animal Welfare Information Center (AWIC)
動物福祉法のもとで許可・登録されている施設の検索ができます。アメリカの登録動物実験施設一覧2015.01.01現在
参考まで登録施設の一覧をダウンロードしてみました。 - IACUC(動物実験委員会)に関する調査:
USDA Employee Survey on the Effectiveness of IACUC Regulations
NIHのOLAW(Office of Laboratory Animal Welfare)のページ
- Public Health Service Policy on Humane Care and Use of Laboratory Animals(PHS方針)
- アメリカの各種ガイドラインなどのリンク集:
州法:
・カリフォルニア州
アメリカ・カリフォルニア州の民法より一部抜粋