新年早々嫌な記事…
クローン牛が食卓へ 内閣府委「ゴーサイン」の方針
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090106-00000519-san-soci
ブログに書く時間がなかなかなかったけれど、12月8日に食品安全委員会のワーキンググループが開かれていて、少しだけ傍聴できました。
報告書の内容は、けっこう「エーッ」な点が多かったように思うのだけど、なぜだか結論は安全だになっちゃうんですね…。
報告書の案段階のものから、超特急でデータ等を拾って入力してみました。

人工授精や受精卵移植等、他の繁殖技術でも見られる流産、死産、過大子等が、体細胞クローン家畜では他の繁殖技術と比較して発生頻度が高くなっている。
雌牛に移植された3,374個の体細胞クローン胚から317頭(9%)しか誕生しない。
出生後24時間ではそのうち278頭(8%)が生存。
出生後150日以上ではそのうち225頭(7%)が生存。
日本の牛では、死産や事故死等の死亡率は
人工授精      5.3%
体内受精卵移植 4.6%
体外受精卵移植 7.5%
受精卵クローン  15%
体細胞クローン  31%
人工授精や受精卵移植とちがって、クローン技術では妊娠のいずれの時期においても妊娠の中断が見られる。
人工授精や受精卵移植の胎子と比較して、体細胞クローン牛の胎子の肝臓と腎臓は大きいetc
牛や羊の体細胞クローンの胎盤で異常な胎盤葉が観察された報告が多数ある。
妊娠後期の流産は、水腫、肥大した臍帯、異常な胎盤の報告をともなっており、主な原因は胎盤の発生異常であるとされている。
体細胞クローン牛の胎子で、水腫が高頻度に観察される。
7頭の体細胞クローン牛の胎子の出生時の胎盤の組織学的検査の結果、全ての胎盤で異常が確認された。
体細胞クローン牛451頭において、
死産     74頭(16.4%)
生後直死  65頭(14.4%)
※これは、従来の牛の繁殖技術より優位に高い
死産の主な原因は、難産、窒息、羊水誤嚥等の呼吸障害
生後直死の主な原因は、窒息、羊水誤嚥等の呼吸障害
生後直死した体細胞クローン牛では、過大子の傾向あり。
過大子の発生は、体細胞クローン牛の妊娠で頻度が高い。
それによって、難産や罹病、死亡を招くことが多い。
過大子の発生は、培養条件が原因か?
生後直死した体細胞クローン牛では、ほかに心臓の構造異常、心筋組織、腎臓の結合組織、腱等の軟部組織に異常が観察されている。
生後1週間までに死亡した9頭を調べた研究では、過温症、臍ヘルニア、呼吸困難、腹水症、脂肪肝、四肢奇形、消化管異常などが報告された。
体細を胞クローン牛の血液学検査では、生後直後から24時間までの赤血球数、白血球数が有意に低く、造血機能が低いことが示唆されている。出生直後の血清たんぱく、マグネシウム及び無機りんについては高い。
帝王切開も多い。
若齢期では、調査した体細胞クローン牛482頭のうち、病死が94頭(19.5%)
生後200日齢までは、死亡率が高い傾向
生後2~3日は、呼吸障害や心臓奇形、それ以降は、肺炎によるものが多い
離乳後4歳までの体細胞クローン牛の年間死亡率は8%。主な原因は、筋骨格異常により予後不良という判断に基づく安楽死。
体細胞クローン牛の30%は、6ヶ月前にさまざまな原因で死亡する。


で、数ヶ月経つとほとんどの体細胞クローン牛が通常の牛と変わらず成長するから安全だという結論なのですが。
にしても、なぜわざわざ大きなコストをかけてクローン牛を生産しなければならないのか、よくわかりません。去年行ったシンポジウムでも、種牛のクローンくらいしか経済的にペイしそうな分野はない(肉だとペイしない)という話が出ていたのを思い出します。
1/7追記
この日、傍聴に来ていた一般人は、私ともう一人、企業の人だけでした。
ちらっと見えたその会社名は……


双日。
(わー書いちゃっていいのかなー!? どきどき。)
総合商社ですね。
何のために来たの?
消費者団体とかが来ると思ったのに…