『クジラの死体はかく語る』
オビに、「高濃度の水銀、PCB、そしてドーモイ酸の恐怖!」とあったので、クジラ肉の汚染問題だけを扱った本なのかと思って読み始めたところ・・・それに留まらないクジラ学あれこれを知ることができて、とても勉強になりました。保全サイドの立場の本なのは確かですが、でもいわゆる市民運動的な内容ではなく、学問的な追究に基づいたものなので説得力があります(ただし、一般読み物的です)。また、著者の行動力には頭が下がります。
それにしても。日本の調査捕鯨がいかに国際的なクジラ研究に寄与していないか知ると、愕然としてしまいますね。国際学会にも出ていないとは。「ネーチャー」や「サイエンス」に載るような論文がなぜ出てこない?っていうのはちょっと「そこまで期待するのは無理じゃなーい?」なんて思ってしまうけど、年間5億円の税金が使われている「科学研究」ですからねぇ・・・。
欧米の推計では、ミンククジラの数は、北半球は不明、南半球は9600頭。そりゃ話がすれ違うわけですね・・・。