第21回環境省小委員会の報告、第2弾です。
既にネットで出回っていますが、先月28日の小委員会では、文部科学省が「研究機関等における動物実験に係る体制整備の状況等に関する調査結果について」という資料を出し、その説明をしました。
帰ってきたら文科省のメルマガに載っていたので、さっそく当日リリースしたのかと思い、ちょっとビックリです。今まで動物実験なんて相当無視している感じだったのに、案外、力が入ってるというか?
研究機関等における動物実験に係る体制整備の状況等に関する調査結果について
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/09/1311589.htm
実は、以前ブログで報告したカルタヘナ法説明会で「回収率100%」をめざすと言っていたのは、このアンケートのことだったみたいなんですね。環境省のアンケートはかなり低い回収率ですが、こちらはほんとに回収率100%になっていたので驚きました。相当、督促したんじゃないかと想像してしまいます。
というのも、動物実験を行っていたのは、全体の約26%、426カ所だけだったので。
(複数のキャンパスを持っている場合などは、どのようにカウントされているのかという質問には、法人として1つとして数えたという回答でした。)
ちなみに、この第21回で委員の熊本大・浦野さんが、「各省庁は動物実験をしているところは把握している」と言っていますが、それは嘘です。(厚労省のGLPでも把握できていないことは以前ご説明したとおり) 今回、この調査で初めて文部科学省が、指針の対象範囲の調査を行って、どこが動物実験を行ったかを把握したと思います。それくらい画期的なことです。
そしてさらに驚いたのは、基本指針に基づく対応をまだしていない機関に対しては、10月末までに対応することとを指導し、それまでは動物実験を行わないことを各機関に確認しているとのことでした。
(「確認した」という表現でしかないので、タイトルの「差し止め中」はちょっと大げさかもしれないですが、でもそういうことでしょう!?指針守ってないんだから!!と思い、あえて過激な表現にしてみました☆)
対象となっている機関は、もともと動物を教育で小数使うだけで、1年のうち一定の期間だけなので「支障はない」とのことでしたが、それでも文科省が指針をもとに動物実験を行わないことを各機関に確認するなどといったことは今までなく、かなり画期的なことだと思いました。
そういった、守っていなかった機関への周知は十分ではなかったとも言っていました。
調査結果は、文科省のサイトからご覧になってほしいのですが、見れば浦野さんが当日発言した「自主規制は上手くいっていると各省庁からもお墨付きをもらっている」も、嘘だとわかると思います。
事実この日も、過渡期だと文科省ははっきり言っています。
浦野発言は、実験動物学会のシンポのときの話か?とも思ったのですが、あのときも、環境省も文科省も厚労省も「ばっちりです」なんて一言も言ってません。特に文科省は「まだ始まったところだと認識している」と言ってました。(それがなぜ実験者に都合のいい話になってしまうのか? 裏でそう言ってるとしても、公式なものとしては認められませんよね!) 
例えばこの記事にも「法的な裏付けがないことで思い切った手が打てないことは現実にある」(環境省キャリア官僚)というコメントが出てます。
特に自己点検は43%の機関が未対応ですが、大型の研究費については、今年から自己点検結果を添付してもらうことにしたそうです。これで少しは厳しくなるのでは、とのことでした。いままで指針が守られていないことが理由で研究費取消になった事例はないそうですが、自己点検に43%の機関が未対応ということは、指針違反が発覚しなかっただけで、実際にはどうなのか?と思います。
大学以前の高校などの教育機関での解剖などについて把握しているか?という質問には、アンケートの対象にはしていないとのことです。
また、アンケートのとり方としては、「予定」という選択肢が入っていることについて、林座長が質問をしていました。実際、回答がNoの機関がそのせいで0件になってしまっています。実態としては「ない」のに、口だけ「予定している」と答えることはできてしまうので、厳密なYes/No形式ではなく、ちょっとずるいアンケートにはなってしまっています。
ただ、実態としてNoのものに対して実際に指導をしたという点は、非常に驚きました。今まで放置とも言える状況だったと思うので。指針自体が簡単すぎるので、手放しでよろこべるわけでは全くありませんが、非常に大きな出来事だと思います。