先月報道されて、少なくともネットでは話題になっていたような気がする、この話題。実験用のサルに食事のカロリー制限を行っても、制限をしないグループと比べて寿命は延びなかったという研究結果がNatureに載ったというのですが。
しかしそもそも、20年以上、実験施設の狭い個別ケージでサルを飼育すること自体が虐待なんだから、そんなストレスかけまくりの研究をした結果に意味があるのか? と疑問に思っていたのですが、やはり皆同じことを考えるようで、「サルを飢えさせても、人の寿命をのばすことにはつながらない」という論説が出ていたので、ほっとしました。
Starving monkeys won’t help humans live longer
http://www.bellinghamherald.com/2012/09/10/2683912/starving-monkeys-wont-help-humans.html
カロリー制限自体が、飢えさせる意味で虐待であり、さらに実験室はサル本来の社会生活を営めない環境なのに、寿命云々言うのは、何だかおかしいということですね。
だいたい、もし仮にカロリー制限の動物実験で2、3年寿命が延びるとわかったとして、じゃあ、数十年間カロリー制限を続けられる人なんているんですか? とも書いてありますね。そもそも人間が実行できないことを動物に強いるなんて、無駄な実験ですよね、確かに。
こっちの記事↓には、そういうことをしている人たちがいるって書いてありますけど^^;、だったら、そういう人たちとの比較をしたほうが、人間のためのデータとしては正しいですよね。
「カロリー制限」で寿命は延びるのか:最新研究から
http://wired.jp/2012/08/31/calorie-restriction-monkeys/
この記事にも実験結果がまちまちであることなどが書かれていますが、そもそも、共同通信の配信記事にも、
チームは『霊長類がカロリー制限によって寿命が延ばせるかどうかは、環境や食事内容などさまざまな要因が影響するのではないか』としている。
と書いてあり、「わかってるならやるなよ!」レベルの話なんですよね~~~。
こういった実験の問題点を通じて、そもそも動物実験自体が、左右されるファクター多すぎの手法であることにも、多くの人が気がついてほしいなあと思います。エサや環境など、影響する因子が多いのは、別にこの手の実験に限られる話ではありません。
参考:
Calorie restriction falters in the long run
http://www.nature.com/news/calorie-restriction-falters-in-the-long-run-1.11297#/b1