2001年、いわゆるLD50として知られる急性経口毒性試験(TG401)がOECDテストガイドラインから削除され、3つの代替試験法が採用されました(ただし、新しく採用された試験法も動物を使います)。これをもって半数の動物が死ぬまで試験を行うLD50は廃止とされ、2002年12月18日以降に実施されたデータを行政的に受け入れないことが決定されました。

テストガイドラインから削除することについては1年前の2000年12月に合意されており、そのときのOECDのリリースには以下のように書かれていました。

日本では下記の通知により、毒物又は劇物の指定等を判断するための試験法としては2002年に廃止されました。

また、化粧品・医薬部外品については質疑応答集に「受け入れられない」と明記されています。


医薬化発第号1209001
平成14年12月9日

  都道府県
各保健所設置市  衛生主管部(局)長殿
  特別区

厚生労働省医薬局審査管理課
化学物質安全対策室長

毒物及び劇物取締法における毒物又は劇物の指定等を判断するために
必要とされる試験法について(通知)

毒物及び劇物取締法における毒物又は劇物の指定等の判断にあたっては、従来より毒物及び劇物の特徴を示す毒性学的所見に基づき行ってきたところです。

経済協力開発機構(OECD)においては、試験動物の半数致死量(LD)を指標50とする急性経口毒性試験法のうちOECD化学物質試験ガイドライン401に基づく試験成績を加盟各国の行政庁が受け入れることを停止する理事会決定がなされており、我が国における毒物又劇物の指定等に当たっても、この決定を受け入れ、下記のとおり取り扱うこととしたので、御了知の上、貴管下関係業者及び関係機関に対する周知方お願いします。

なお、同旨の通知を全国化学工業薬品団体連合会会長、社団法人日本化学工業協会会長、社団法人日本化学工業品輸入協会会長、日本製薬団体連合会会長、社団法人日本薬剤師会会長及び農薬工業会会長あてに発出していることを申し添えます。

1.毒物又は劇物の指定等を判断するための試験法として、平成14年12月17日以降に開始されたOECD試験法ガイドライン401を用いた試験の結果を受け入れないこと。

2.毒物又は劇物の指定等を判断するための試験法として、OECD化学物質試験ガイドライン401に替わり、OECD化学物質試験ガイドライン420(固定用量法、)
同423(急性毒性等級法、同425(上げ下げ法)を推奨すること。

 


OECD東京センターリリースより
http://www.oecdtokyo.org/theme/envi/2000/20001219animal.htm
(リンク切れ)

OECD、不必要な動物実験の廃止に合意
2000/12/19

 OECD加盟国は、各国政府の化学物質政策や安全対策の担当者によって組織されているOECD化学品委員会を通して、残酷と批判されている動物実験を廃止することに合意しました。

 OECD化学品テスト・ガイドラインは、化学品や化学製品のテスト・ガイドラインとして世界中で受け入れられています。この合意により、テスト・ガイドライン401が削除されます。LD50ドレイズ・テスト(急性毒性テスト)として知られている401は、一年間の段階的廃止期間の後に規制当局によって禁止されることになります。

 経口の急性毒性を試験するドレイズ・テストは、ヒトおよび野生の哺乳類にとって有害な化学物質の安全性を検査するための情報を提供するものです。職場や家庭において、あるいは輸送事故により、従業員や子供、一般市民が偶発的に化学物質にさらされるリスクを考慮すると、この情報はきわめて重要です。しかし、ドレイズ・テストは約50年前に開発されたものであり、イギリスやドイツ、アメリカは、他国に先駆けて、より人道的なテストの開発に取り組んできました。現在では、最低20匹の動物にテスト用の化学物質を投与し、その結果14日以内にその半分を殺してしまうと予想されるドレイズ・テストに代わり、実験用動物の数だけでなく、動物の苦しみや死亡率も大幅に減少させる新しいテストが複数実施されています。

 OECDテスト・ガイドライン420、423、425として新たに採用されたテスト法は、企業や実験所、規制機関に新しい手法を十分に習得できる猶予期間を与えるため、今後一年の間に段階的に採用される予定です。

 
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