平成20年 どのように動物実験を削減していくのか
第169回国会 参議院環境委員会 7号 平成20年05月22日
○川田龍平君 おとといの審議でも、EUなどの諸法制との比較が、この動物福祉、スリーRという言葉も出ておりました。このペット飼料の安全性についてそこで、人間でいえば人権ということですけれども、動物の場合には、この保護に関する、愛がん動物であるペットと実験動物の福祉に関しては動物の愛護及び管理に関する法律の中で示されております。
日本における実験動物の保護に関しては、EUとの比較において、今後、現状よりも強い規制などを検討されていく必要性についてどのような認識を持っているかということで質問したいと思います。環境省、お願いします。
○政府参考人(櫻井康好君) 実験動物の関係でございますけれども、平成十七年の動物愛護管理法の改正によりまして、動物を科学上の利用に供する場合の方法に関する規定が設けられたところでございます。環境省では、その法改正を受けまして、平成十八年の四月に、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準というものを定めまして、実験動物について、代替法を活用するとかあるいは使用数を削減するあるいは苦痛を軽減するといったスリーRの考え方を導入しているところでございます。
この法律あるいはこの基準を踏まえて、動物実験施設を所管いたしております各省庁あるいは日本学術会議が具体的な指針を作成して、各実験施設はそれらに基づきまして実験動物の適正な取扱いに十分配慮をするということになっているところでございます。
○川田龍平君 日本においても、国際的に普及、定着している動物実験及び実験動物の福祉の基本理念としての動物の苦痛の軽減、リファインメント、使用数の削減、リダクション、代替法の活用、リプレースメントのスリーRを推進していると今お答えもありました。ただ、市民団体からは、実験動物使用数の削減をどのような形で進められているのかなどの声が上がっております。
厚生労働省、文部科学省管轄下にある施設において、動物が実験に使用される数を把握し、一定期間内に実際に削減されているかどうかを管轄官庁において把握できる仕組みがあるのかどうか、また環境省はそれら動物福祉の観点から評価はどのように行っているのかについて、各省庁からお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。
厚生労働省の所管施設におきまして動物実験を行う場合は、実施機関ごとに設置されています動物実験委員会におきまして、できる限り動物実験の使用数を少なくすること等の観点に配慮しつつ実験計画を審査することが動物実験に関する指針で定められているところでございます。
さらに、指針におきまして、動物実験の指針への適合性等の評価の結果につきまして適切な方法により公開することなどが規定されており、これらを適切に行うよう今後とも指針の周知徹底を図ってまいりたいと、このように考えております。
○政府参考人(藤木完治君) お答え申し上げます。
文部科学省におきましては、平成十七年にこの動物愛護管理に関する法律の改正がされましたことを踏まえまして、平成十八年に、研究機関等における動物実験等の実施に関する基本方針を告示しておりまして、これで、所管の大学を始めとする関係の研究機関などに対しまして適切に対処するように要請を行っているところでございます。
同指針におきましては、動物愛護の観点から適正に動物実験を実施するという観点から、研究機関などの長の責務の明確化、動物実験委員会の設置や教育訓練の実施、そういったことに加えまして、動物実験に使用する動物の数を科学上の利用の目的を達することができる範囲においてできる限り少なくする、そのような実験方法の選択あるいは適切な方法による動物実験に関する情報の公開等を規定しているところでございます。
ライフサイエンス研究は多岐にわたりますので、大学を始めとする広範な研究機関等で大変多様な実験を行っております。このため、文部科学省として、実際に使用されている動物の数について調査するということはしておりませんけれども、既に述べましたとおり、基本指針を定めまして、それに基づき各研究機関において動物実験の取扱いは適切に行われ、そしてその取扱いについて情報公開等も適切に行われるということで、動物実験における動物愛護の観点は守られているものというふうに考えてございます。
○政府参考人(櫻井康好君) ただいま文部科学省、厚生労働省から答弁ございましたように、我が国では、この実験動物の取扱いに関する基準に基づきましてそういった動物実験施設を所管する各省庁がそれぞれ動物実験施設を適切に指導するということで、実験動物の適正な取扱いが確保されるものというふうに考えております。
環境省といたしましては、海外の動向あるいは所管省庁の取組などを踏まえながら、我が国における枠組みが有効に機能するように所管省庁あるいは日本学術会議などとの一層の連携を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。