環境省の動物愛護管理基本指針
※2012年の法改正後に動物愛護管理基本指針も改正されています。以下は、2005年の法改正後に、初めて動物愛護管理基本指針が定められた際の記述を記録として残してあります。最新の内容はこちらをご参照ください。
また、基本指針の実施状況のアンケート調査については、下記に移しました。
2005年の法改正後、動物愛護法第五条にもとづき、環境省が「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」(動物愛護管理基本指針)を策定しました。
その中でも、動物実験については述べられています。関係する部分を以下に抜粋してみました。
全文(制定当時):
動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針(平成18年10月31日環境省告示第140号)
抜粋:
第1 動物の愛護及び管理の基本的考え方
(合意形成)
国民が動物に対して抱く意識及び感情は、千差万別である。例えば、家庭動物等の不妊去勢措置、ねこの屋内飼養、動物実験、畜産等における動物の資源利用、様々な動物を食材として利用する食習慣、狩猟等の動物の捕獲行為、動物を利用した祭礼儀式、外来生物の駆除、動物の個体数の調整、安楽殺処分等については、これらの行為が正当な理由をもって適切に行われるものである限り、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105 号。以下「動物愛護管理法」という。)やその精神に抵触するものではないが、現実には、これらの行為に対する賛否両論が国内外において見受けられる。
このように、個々人における動物の愛護及び管理の考え方は、いつの時代にあっても多様であり続けるものであり、また、多様であって然るべきものであろう。しかし、万人に共通して適用されるべき社会的規範としての動物の愛護及び管理の考え方は、国民全体の総意に基づき形成されるべき普遍性及び客観性の高いものでなければならない。また、動物愛護の精神を広く普及し、我々の身についた習いとして定着させるためには、我が国の風土や社会の実情を踏まえた動物の愛護及び管理の考え方を、国民的な合意の下に形成していくことが必要である。
(中略)
第2
今後の施策展開の方向
1 基本的視点
(2) 長期的視点からの総合的・体系的アプローチ
動物の愛護及び管理に関する施策の対象となる動物は、家庭動物のみならず、展示動物、実験動物、産業動物等であり、人の占有に係る動物が幅広く対象とされている。その施策の分野も、普及啓発、飼養保管、感染症予防、流通、調査研究等、広範囲にわたっており、様々な実施主体によって、それぞれに関係法令等に基づく施策が進められている。また、動物の愛護及び管理に関する問題は、国民のライフスタイルや価値観等の在り方に深く関わるものであるという性質を有しており、原因と結果が複雑に絡み合っていることから、施策の効果や結果がすぐには現れないものが多い。このようなことから、動物の愛護及び管理に関する施策を着実に進めていくためには、長期的視点から総合的かつ体系的に各種施策が取り組まれるようにしていく必要がある。
(中略)
(6) 実験動物の適正な取扱いの推進
①現状と課題
実験動物の飼養等については、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18 年4月環境省告示第88
号。以下「実験動物の飼養保管等基準」という。)に基づき、自主管理を基本としてその適正化を図る仕組みとなっているが、本基準の遵守指導等を円滑に行うための体制整備が十分にされていない施設が一部にある。動物を科学上の利用に供することは、生命科学の進展、医療技術等の開発等のために必
要不可欠なものであるが、その飼養及び科学上の利用に当たっては、動物が命あるものであることにかんがみ、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、国際的にも普及し、定着している実験動物の取扱いの基本的考え方である「3Rの原則」(代替法の活用:Replacement、使用数の削減:Reduction、苦痛の軽減:Refinement)を踏まえた適切な措置を講じること等が必要とされている。
②講ずべき施策
ア 関係省庁、団体等と連携しつつ、「3Rの原則」や実験動物の飼養保管等基準の周知が、効果的かつ効率的に行われるようにすること。
イ 国は、実験動物の飼養保管等基準の遵守状況について定期的な実態把握を行うこと。